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「フツーの主婦が天下を取る」
かつてそんな歴史ファンタジーがあったでしょうか。
『竜女戦記』は、文化人類学者でもある都留泰作さんによる中近世の日本風なハイ・ファンタジーです。
壮大な世界設定や先のまったく読めない物語展開、軽妙で独特な読み心地が漫画好きの話題となり、12月に発表された「このマンガがすごい!2021」オトコ編の第5位にランクインしました。
作者の都留さんは、近未来の沖縄を舞台にした『ナチュン』や、自身の性器に謎の異星生物が寄生する『ムシヌユン』といったSF漫画を発表してきました。
『竜女戦記』は、都留さん初の歴史もの。とはいえ、日本の歴史をそのままなぞるのではなく、日本の歴史や伝奇などを引用した“日本風”な架空世界が舞台です。
都留さんが参考にしたのは、世界的に大ヒットしたドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」の原作として知られている「氷と炎の歌」シリーズ。中世のイギリス周辺をモチーフにし、竜や魔法が登場するこのハイ・ファンタジーと同様に緻密な世界が作りあげられています。
『竜女戦記』の舞台となる「陀国」は、世界地図をちょうど180度回転させたような地形の国です。
日本人や欧米人のような馴染みのあるキャラクターから、タイトルにある“竜”や、狷文(ケンモン)といったまるでビッグフットのように全身が毛で覆われた猿人など、空想上の生物も登場します。
都留さんの言葉を借りるなら、「どこかが巧妙に違うので、そのまま置き換えが効かず、頭の中がねじまがって想像力が掻き立てられる」(「こころ」Vol.55,42ページより)世界が作り上げられています。
特に、小野不由美さんの「十二国記」やJ・R・R・トールキンさんの『指輪物語』、映画「STAR WARS」シリーズが好きな人の心に深く刺さるのではないでしょうか。
この壮大な世界設定を舞台に、少々勝ち気な性格の主婦・たかが天下取りを目指します。
奇妙で奇天烈なある人物によって、夫・与一郎は正気を失い、3人の子どもは呪いをかけられミイラのようにされてしまいます。
家族を救うため、たかは理不尽な男社会や降りかかる幾多の困難を前にしても天下を目指して歩みを進めます。
「ほんのひきだし」では、本作の第1話と第2話を試し読みで公開します。この壮大な歴史ファンタジーをぜひ読んでみてください。