• fluct

  • ことばを巡るキュレーション《幸服箱》で特別なクリスマスギフトを 伊勢丹リ・スタイルと文喫がコラボ

    2020年12月17日
    楽しむ
    日販 ほんのひきだし編集部 浅野
    Pocket

    伊勢丹新宿店本館のショップ「リ・スタイル」が、本と出会うための本屋「文喫 六本木」とコラボレーションし、10の〈ことば〉に着想を得てキュレーションしたアイテムを提案・販売する《幸服箱》を、12月25日(金)まで展開しています。

    「ワラワ、新しい古いタイプです。」(眞木準)
    「本当の涙は頬を落ちないで瞼の中を光らせるだけ」(鈴木晴香/歌集『夜にあやまってくれ』収録)
    「てのひらがもしも地図なら僕たちは感情線でときどき迷う」(伊波真人/歌集『ナイトフライト』収録)

    10のことばは、眞木準さんによるコピーからリ・スタイルが5本、歌人の鈴木晴香さん・伊波真人さんの短歌作品から文喫が計5首をセレクトし、それぞれのことばから想像を巡らせて、一つのことばにつきファッションアイテムなど約20点と本10冊を厳選。10の〈箱〉を次々に開いてアイテムを手に取り、自分の用意した〈箱〉に入れて持ち帰る――そんな空間をつくり上げています。

    リ・スタイルは、2021年に25周年を迎える自主編集ショップ。携わるスタッフ一人ひとりの個性を打ち出したセレクトが特徴です。

    今回のコラボレーションは、リ・スタイルとしてこれまでファッションを中心に“時代の先をいくモード”を提案してきたなかで、文喫のコンセプトとセレクトに共感したのがきっかけ。「お客様に対していま以上に、リアルな場でしかできない体験と、文脈あるセレクトに触れる豊かさを提供できるのでは」と考え、服や化粧品、リビンググッズ、食品に加えて「本」をキュレーションする《幸服箱》を企画したのだと、同店バイヤーの神谷将太さんは語ります。

    店内を巡ってみると、天井や床、姿見などあちこちで〈ことば〉に出会います。自分のなかに眠る“こうなりたい”にはっと気付かされるような眞木さんのコピーや、強さと弱さを同時に感じさせる鈴木さんの歌、情景が目の前に広がっていく伊波さんの歌。それらにアイテムが加わることでさらにイメージは鮮明になり、友人や家族、恋人など、親しい誰かのことを思わせます。

    服やバッグと同じようにハンガーラックに本がかかっていたり、本の隣にきらきらしたアクセサリーが並んでいたりするのも新鮮で、身につけたり読んだりしているときの“気分”そのものをコーディネートしているような感覚に。

    ▲一冊一冊に挟まれたコメント入りの栞は、その世界に深く潜るためのガイドとなってくれます

    「ファッションと本で扱っているものは違っても、『好奇心を刺激し出会いのきっかけをつくる』『情緒的な豊かさを大切に考えている』という点で、最初にお話をいただいたときからリ・スタイルさんとは同じ思いを持っているなと感じました。今回のテーマである〈ことば〉についていうと、美術館の展覧会が『それが生まれた過程や現場』をたどるものだとするならば、《幸服箱》は『それを受け取った先』を提案するものです。単に『商品を買う』のではなく、ここに広がる物語を構成しているピースの一つを持ち帰っていただく。味わった体験ごと買っていただけるような工夫を、随所に織り交ぜています」(「文喫 六本木」副店長 林和泉さん)

    「《幸服箱》では、服や雑貨、アクセサリーだけでなく、香水やカレースパイスなど、百貨店だからこそできる、枠にとらわれないキュレーションをお楽しみいただけます。いまの時代、何を買うにもネットのほうが楽にいくらでも候補を探せるし、価格もすぐ比較できて便利かもしれません。しかしその一方で、私たちが“提案”に意志を込めることの必要性はますます高まっていると思います。リ・スタイルのDNAとして、当店はこれまでにもリモデルを繰り返しながら“新しい提案”にチャレンジし続けてきました。今回のように文学やアートとの結びつきを強めることで、当店をご利用いただいている文化的感度の高いお客様に、いっそう私たちらしい価値をお届けできたらと思っています」(「リ・スタイル」バイヤー 神谷将太さん)

    取材の最後には、アシスタントバイヤーの奥田詩保子さんに、ご自身が手がけた〈ことば〉の空間を紹介していただきました。

    「私は夜が好きなんです。ラジオや音楽を聴いたり、映画を観たり、罪悪感を感じながら甘いものを食べたりするのが大好きで。『夜出した手紙はポストの底にあり夜明けを思う 集荷は十時』(伊波真人)――夜中ってやけに無防備に素直な気持ちになってしまって、私も、盛り上がったテンションの変なメールを送っちゃったことがあるんですよね。短歌に詠まれている“誰か”もきっと、昼間にはとても書けない照れくさい言葉をしたためて投函しちゃったんだろうな、と。でも、もういまは、ドキドキしながら夜明けを待つしかない。そんな情景を、部屋で夜の時間に浸る自分を重ねつつ、服やバッグのほかに、ルームフレグランス、マグカップ、それからホットケーキミックスとシロップを選ぶことで表現しました」

    「文喫 六本木」林副店長によると、実はこの歌を詠んだ伊波さんも夜が好きで、短歌をつくるのも基本的に夜なのだそう。「夜の時間に日常のなにげない出来事を思い出して、それをつなぎあわせて短歌にしていらっしゃるんだそうです。『ナイトフライト』というタイトルだけあってこの歌集には夜のことを詠んだ短歌がたくさんおさめられていますが、そのなかでも『夜出した』から始まるこの歌は特に、夜が朝へ向かっていく間のそわそわした気持ちや、一人の時間ならではの“素の自分”を感じさせる一首ですよね」。

    《幸服箱》では〈ことば〉のまわりに、アイテムだけでなく、キュレーターが自らの想像した情景や心情を綴ったパネルも並んでいます。

    「いつもとはちょっと違う特別なクリスマスギフトを」と考えている方に、おすすめです。

     

    《幸服箱》について

    ・期間:2020年12月9日(水)~25日(金)
    ・会場:伊勢丹新宿店 本館3階 リ・スタイル(東京都新宿区新宿3-14-1)
    ※営業時間 10:00~20:00

    《幸服箱》のためにセレクトされた10のことば
    ◆眞木準さんのコピー
    ・人の半分は後姿です。/眞木準(1991年)
    ・ワラワ、新しい古いタイプです。/眞木準
    ・恐いもの着たさ。/眞木準
    ・恋を何年、休んでますか。/眞木準(1988年)
    ・恋が着せ、愛が脱がせる。/眞木準(1989年)

    眞木準(まき・じゅん、1948-2009)
    クリエイティブディレクター、コピーライター。愛知県知多市出身。
    1971年博報堂に入社、多くの企業のコピーを手がける。フリーに転身後、伊勢丹の広告のクリエイティブディレクターとして、多くのファッションキャンペーン広告を制作。「ファッションの伊勢丹」と呼ばれるイメージを広げた。

    ◆鈴木晴香さんの短歌
    ・もう一度(例えば恵比寿の改札で)振り向こうと思えば振り向ける
    ・本当の涙は頬を落ちないで瞼の中を光らせるだけ

    鈴木晴香(すずき・はるか)
    東京都生まれ。塔短歌会、京都大学芸術と科学リエゾンライトユニット所属。歌集『夜にあやまってくれ』(書肆侃侃房「新鋭短歌シリーズ」)。2019年「パリ短歌イベント」短歌賞にて在フランス日本国大使館賞。2020年1月、日本画家の佐貫絢郁氏と個々展を開催した。Readin’ Writin’ BOOKSTOREにて〈現代短歌〉教室「31文字のせつなさ」を毎月開催中。来夏、第2歌集を左右社より出版予定。

    夜にあやまってくれ
    著者:鈴木晴香
    発売日:2016年09月
    発行所:書肆侃侃房
    価格:1,870円(税込)
    ISBNコード:9784863852341

    ◆伊波真人さんの短歌
    ・夜出した手紙はポストの底にあり夜明けを思う 集荷は十時
    ・ふたり連ればかりのシネマに空席は六等星のごとく散らばる
    ・てのひらがもしも地図なら僕たちは感情線でときどき迷う

    伊波真人(いなみ・まさと)
    歌人。1984年、群馬県生まれ。大学在学中に短歌の創作を始める。2013年、「冬の星図」により角川短歌賞受賞。雑誌、新聞を中心に短歌、エッセイ、コラムなどを寄稿。ポップスの作詞なども行なう。著書に歌集『ナイトフライト』などがある。

    ナイトフライト
    著者:伊波真人
    発売日:2017年12月
    発行所:書肆侃侃房
    価格:2,090円(税込)
    ISBNコード:9784863852938




    Pocket

  • GoogleAd:SP記事下

  • GoogleAd:007

  • ページの先頭に戻る