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  • 『いないいないばあ』700万部突破 日本の絵本で初 半世紀以上読みつがれる“あかちゃん絵本”

    2020年11月26日
    楽しむ
    ほんのひきだし編集部
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    松谷みよ子さん(文)・瀬川康男さん(絵)による絵本『いないいないばあ』が、11月24日(火)付の重版をもって、日本の絵本で初めてとなる「累計出版部数700万部」を突破しました(339刷・701万7,500部)。

    いまから半世紀以上前、1967年に初版が発売された『いないいないばあ』は、「いない いない ばあ」と語りかけて一緒に楽しむことで、あかちゃんも大人も笑顔になれる超ロングセラー絵本。「あかちゃんがほんとうに笑うんです」と読者の体験が口コミで広がり、昭和、平成、令和と時代を超えて読みつがれています。

    なおこのたび、絵本の最初に登場する「にゃあにゃ」の指人形がついた『いないいないばあ にゃあにゃのゆびにんぎょうセット』が発売。こちらは11月下旬頃より、全国の書店店頭に並びます。

    いないいないばあにゃあにゃのゆびにんぎょうセット
    著者:松谷みよ子 瀬川康男
    発売日:2020年12月
    発行所:童心社
    価格:2,970円(税込)
    ISBNコード:9784494007660
    いないいないばあ 改版
    著者:松谷みよ子 瀬川康男
    発売日:1982年11月
    発行所:童心社
    価格:770円(税込)
    ISBNコード:9784494001019

     

    松谷みよ子さんの“母の思い”から生まれた「日本初の本格的なあかちゃん絵本」

    『いないいないばあ』制作当時、いわゆる“あかちゃん向け絵本”は、口に入れたりのしかかったりしても壊れにくい、丈夫な合紙絵本が主流でした。

    「あかちゃんに精神が芽生えはじめたこの時期に、(中略)美しい日本語を伝えたいし、よい絵本で育てたい」(※1)そう考えていた著者・松谷みよ子さんは、2人目の子どもを身ごもったとき、自らあかちゃん絵本を作ろうという思いを強くしていました。そんな折、松谷さんと親交があり、同じ思いをもつ母でもあった童心社初代編集長の稲庭桂子さんが「0歳からの絵本をつくりたいの。0歳からの文学があると思うの」(※2)と松谷さんに依頼し、『いないいないばあ』の制作が始まります。

    その後、画家の瀬川康男さん、当時絵本を手がけることは珍しかったブックデザイナー・辻村益朗さんとともに試行錯誤を重ね、『いないいないばあ』は、日本初の本格的なあかちゃん絵本として誕生しました。

    ※1… 月刊「絵本」1974年10月号(すばる書房盛光社刊)
    ※2…「子どもを見つめて 稲庭桂子遺稿集」(1977年10月24日/稲庭桂子遺稿集刊行委員会)

     

    『いないいないばあ』であかちゃんが笑う秘密は?

    『いないいないばあ』であかちゃんが笑う理由、読み聞かせのポイントとは?

    ここでは、乳幼児期の脳と心の発達が専門の、京都大学大学院教育学研究科・明和政子教授によるコメントをご紹介します。

    【ポイント1】
    笑顔は“予測”から? あかちゃんを魅了する展開と本づくり

    『いないいないばあ』は誰もが知っている遊びを絵本にした、非常にシンプルなつくりになっていますが、なぜあかちゃんは笑うのでしょうか。そこにはあかちゃんの脳の発達、特に “予測する能力” の発達が深く関わっています。生後9ヶ月くらいになると、いわゆる「人見知り期」に入りますが、これは予測する能力が発達してきた証拠です。いつも聞いている親の声で「ばあ」という声を聞きながらページをめくる経験を積み重ねると、あかちゃんは「次に何が起こるか」を脳内で予測するようになります。予測のとおりになると、不安から安心へと気持ちが変化し、あかちゃんは笑います。

    言い換えると、予測できない場面に直面するとあかちゃんは人見知りや場所見知りを示します。見知らぬ誰かが、“いないいないばあ”をやっても、あかちゃんは最初は笑わないでしょう。なぜならこの時期のあかちゃんにとって、いつもとは違う誰かからの働きかけは予測が難しいからです。しかし、知らない人と『いないいないばあ』を読んで、その経験を積み重ねていくことでその人の声や表情が絵本と結びついて記憶されていきます。

    『いないいないばあ』の特徴のひとつは、絵本のキャラクターの白目と黒目のコントラストがはっきりしていることにあります。生まれたばかりのあかちゃんでも、白目と黒目のコントラストに反射的に注意を向けることが知られています。あかちゃんは「ばあ」のページで、とくに目に注意を向けているはずです。

    また『いないいないばあ』は、日常生活の中に溶け込むようなやわらかく温かいタッチ、色刺激が強すぎない日常場面で目にする質感に近い色彩で描かれていることも、あかちゃんが顔に注意を向けやすい一因になっていると思います。

    【ポイント2】
    気持ちのいい感覚がわきたつ! 絵本を楽しむ中でうまれるスキンシップ

    親は読み聞かせと同時に、あかちゃんの手を触ってあげたり、ぎゅっと抱きしめてあげたりと、スキンシップをしています。ヒトを含むほ乳類動物は、スキンシップによって子どもだけでなく親の側にも「心地よい感覚」をわきたたせる身体の仕組みをもっています。身体を優しく接触させることで、オキシトシンという内分泌ホルモンが脳内から分泌されるからです。脳が最も発達する乳児期に親との身体接触の機会を豊かにもつ、つまり幼少期からコミュニケーションに対して心地よさを感じる経験は、将来親以外の他者との安定した対人関係を築くための土台となります。

    【ポイント3】
    今こそ大切! 絵本を読みあう時間は親子ともに笑顔になる最高の場面――家族にとってのファーストブック

    『いないいないばあ』を読むことで、あかちゃんには笑顔がうまれます。一方で親にとって育児は手応えを感じづらく、自分がやっていることはあかちゃんにとって良いことなのかと不安に感じることが多いのではないでしょうか。日常の育児場面であかちゃんと絵本を読みあうことは、「自分があかちゃんに対してやっていることは間違っていない。喜んでくれている。」という自信、つまり”育児効力感”を高めることにつながります。親子がともに笑顔になれる最高の場面です。

    昨今の新型コロナウイルスの影響によって変化する日常があかちゃんの脳と心の発達にもたらしうるリスクについても危機感を持っています。ヒトは顔らしい刺激に特化して活動する神経細胞をもっていますが、それを働かせるには、日常場面で多様に「動く」顔(喜怒哀楽といった表情)をたくさん見る経験が不可欠です。豊かな表情で声かけを行いながら、絵本を読む中で積極的にコミュニケーションをはかっていただきたい。マスク着用で口の動きが覆い隠されることが当たり前となりつつある今だからこそ、あかちゃんにとってそうした機会が重要となるでしょう。

    明和教授のコメントは、700万部突破記念特設サイトにて公開中のWebムービー「700万の、あかちゃんの笑顔のひみつ」でも見ることができます。

    なお特設サイトでは、700人の著名人・書店員・図書館関係者・読者の方々からのメッセージも紹介。「自分だけのオリジナル帯」付き絵本が抽選で当たるキャンペーンも、近日スタート予定です。

    〉『いないいないばあ』特集ページはこちら
    https://www.doshinsha.co.jp/special/inaiinaiba/




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