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『ティファニーで朝食を』『冷血』など、時代を超えて愛される“文学界の寵児”トルーマン・カポーティ。
その生涯を知れば、さらに作品の魅力がわかるかも。映画『トルーマン・カポーティ 真実のテープ』鑑賞前に代表作をおさらい!
ニューヨーク文壇の寵児として、また、ゲイを公言したセレブリティのアイコンとして、文学界と社交界を席巻したトルーマン・カポーティ。天才作家と時をともにした人々の証言をもとに、彼の生い立ちや未完の問題作『叶えられた祈り』執筆の裏側を解き明かし、その複雑な人間性に迫る文芸ドキュメンタリー『トルーマン・カポーティ 真実のテープ』が、Bunkamuraル・シネマほかにて公開中です。
今回は、没後36年、時を越えて今も読み継がれている彼の小説の数々をたどり、作品と人間性で人々を魅了し続けるカポーティの魅力を紐解いていきます。
1924年9月30日にアメリカ・ニューオーリンズで生まれたカポーティは、両親の別居による複雑な家庭環境のもとで育ち、10代半ばに憧れの街ニューヨークへ移住。19歳の時に執筆した初めての作品『ミリアム』が、優れた短編小説に贈られる権威ある賞、O・ヘンリ賞を受賞し、その若さもあって「恐るべき子ども(アンファン・テリブル)」と呼ばれました。
その後1948年に『遠い声 遠い部屋』で本格的に作家デビューを果たすと、独自のレトリックで表現する文才はもとより、裏表紙を飾った彼自身の肖像が大きな話題に。「文学界にあらわれた“美しき時代の寵児”」として、作家トルーマン・カポーティは一躍有名になります。
▼『遠い声 遠い部屋』アメリカ発売時の裏表紙。カポーティの肖像が全面に使用されている
主な著作は、『ミリアム』を含む20代の執筆作を集めた短編集『夜の樹』、オードリー・ヘップバーン主演で映画化され、誰もが一度はタイトルを耳にしたことのある代表作『ティファニーで朝食を』など。
また、アメリカの片田舎で実際に起きた殺人事件を題材に、およそ5年間にわたる関係者への取材を経て執筆された『冷血』は、カポーティ自身が「ノンフィクション・ノベル」と呼び、小説に新たなジャンルを切り開きました。
そのように作家として活躍する一方、おちゃめでゴシップ好きな一面のあった彼のもとには、多くのセレブたちが集まりました。その華やかな交友関係で、彼自身もニューヨーク社交界におけるセレブリティのアイコンとして知られています。
特に有名なのは、1966年に彼が主催した「黒と白との舞踏会」。ハリウッドスターや政治家など500名を超える世界のセレブが集まり、招待客のリストがニューヨーク・タイムズ紙で公開されたことでも話題に。また彼はテレビのバラエティショーにも多数出演し、毒舌を披露してお茶の間の人気者にもなりました。
“世界で最も新作を待たれる作家”となったカポーティ。いよいよ彼は、100万ドルという莫大な契約金を受け取り、新作『叶えられた祈り』の執筆を始めます。
社交界のセレブたちを描いた同作は、彼の最高傑作となるはずでした。しかし1975年に第一部が発表されると状況は一転。「ニューヨーク社交界の裏側を暴露する内容だ」と大バッシングを浴び、カポーティは社交界を追放。アルコールと薬物にたよるようになり、1984年に、60歳の若さでその人生の幕を閉じることとなります。
カポーティの人生を変えた『叶えられた祈り』は、死後に未完のまま発売され、今も未発表部分の原稿の行方がわかっていません。
彼はなぜ、多くの人を傷つけ、自身をも追い詰めることになったこの小説を書いたのか。その執筆の裏側が、『トルーマン・カポーティ 真実のテープ』から見えてきます。
『トルーマン・カポーティ 真実のテープ』
監督・製作:イーブス・バーノー
出演:トルーマン・カポーティ、ケイト・ハリントン、ノーマン・メイラー、ジェイ・マキナニー、アンドレ・レオン・タリー
2019年/アメリカ=イギリス/英語/98分/カラー・モノクロ/ビスタ/5.1ch
原題:The Capote Tapes
字幕:大西公子 字幕監修:川本三郎
後援:ブリティッシュ・カウンシル
配給:ミモザフィルムズ公式サイト:capotetapes-movie.com
© 2019, Hatch House Media Ltd.
・波乱に満ちた天才作家の人生――娘が語る「トルーマン・カポーティ」の素顔とは