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地球惑星科学の研究者という異色の経歴を持ち、『月まで三キロ』で高い評価を得た伊与原新さんの新作『八月の銀の雪』が、10月20日(火)、新潮社より発売されました。
伊与原さんは、東京大学大学院の博士課程を修了し、その後研究者として大学に勤めていた経験のある理系作家。
専攻していた地球惑星科学は、地球はどのように誕生し、どのような変化をとげてきたのかを問う研究分野です。
そんなバックグラウンドを持つ伊与原さんの小説では、エンターテインメント性の高いストーリーの中にその経験や視点が存分に活かされています。人間ドラマと自然科学のエッセンスをかけあわせる作風が注目を集め、前作『月まで三キロ』では第38回新田次郎文学賞や第3回未来屋小説大賞などを受賞しました。
『八月の銀の雪』は、天文・気象・生物などをテーマにした短編集。表題作は、鬱屈とした日々を送る理工学部の大学生・堀川がふとしたことからある論文の一部を見つけたのをきっかけに、ベトナム人のコンビニ店員・グエンの秘密が徐々に明らかになっていく……という内容です。
表題作を含め、本書に収録された5つの物語では、登場人物たちの傷ついた心が、日常にひそむ科学のエッセンスによって優しく包み込まれ、癒やされていきます。
自然科学のロマンチックな魅力にはっとさせられると同時に、自然科学を正しく知ること・伝えることの大切さ、科学の世界の責任についても描かれているのが特徴です。
帯には、恐竜研究の世界的権威である真鍋真さん、『大家さんと僕』で知られる矢部太郎さんのコメントが載せられています。
5つの「出会い」の物語を読むと、地球と、自然と、語り合える気がする。人と会うことが難しい今こそ、ぜひ手にとってほしい。
―― 真鍋真(国立科学博物館・恐竜博士)
人間に疲れた人間の小さな心を、大地や空や海や鳥たちの大きな物語が癒してくれる。そんな小説でした。
―― 矢部太郎(芸人・漫画家)
表紙に描かれた雪の結晶には銀の箔押しが施され、キラキラと輝く一冊。これからの季節にぴったりの本となりそうです。
・科学に潜む「人間くささ」が傷ついた人の心を変えていく 『月まで三キロ』著者・伊与原新エッセイ