'); }else{ document.write(''); } //-->
10月12日(月)、有楽町朝日ホールにて「映画と音楽 みをつくし料理帖スペシャルイベント」が開催されました。
登壇したのは、“最後の監督作”として本作に臨んだ角川春樹監督と、主題歌「散りてなお」の作詞・作曲を手がけた松任谷由実さん。松任谷さんが20代の頃からの仲だというお二人が、角川映画フリークである横山雄二アナウンサー(中国放送)のMCで、タッグを組むことになった経緯をはじめとした本作「みをつくし料理帖」への思いを、思い出話を交えながら語りました。
まず登壇した角川監督は、いよいよ公開を10月16日(金)に控え、本作について「なんともいえない気持ちですね。73本作ってきて、“今回の映画だけ”ということがいくつもあるんですよ。クランクアップした後いつもはあまり引きずらないんですが、撮影現場を夢に見たり、編集したフィルムを見たりして2か月間引きずりました。73本作ってきたので73本分の打ち上げの写真がありますが、部屋に飾ってあるのは今回だけ。決して思い入れを強く撮ろうという思いはむしろなく、淡々と楽しんで撮っていたんです。だから映画に余計な力が入っていなくて、誰よりも自分が楽しんで撮っていたのがこの作品です」。
角川監督は、1982年公開の草刈正雄さん主演「汚れた英雄」で映画監督デビューし、映画監督としては今作が8作目。「汚れた英雄」のときは「興行成績が芳しくなかったら腹を切る」と覚悟し傍らに短刀を置いておくほどだったといいますが、今ではそんな思い出も「その後、ガンで本当に腹を切ることになって。麻酔が切れたときの痛さを思うと、あの時『汚れた英雄』が成功してよかったなと思います」と笑っていました。
それから約38年。なぜ「みをつくし料理帖」を最後の監督作に選んだのでしょうか。
「最初は、この作品を監督しようとは思ってなかった。2年前に妻と子どもと伏見稲荷に行った時、3か所で不思議な老人に会ったんです。老人といっても実は人間ではなくて、会った時はっきりと『サルタヒコノカミか天狗だ』とわかった。そして別れ際、その老人が妻に言うんです。『この神社のことを調べてね』と。そうしたら突然2~3日後に、『みをつくし料理帖はあなたが監督しないと意味がない』と言い出した。だから、神に作らされたというほうが正しいんです」
そして、そんな「みをつくし料理帖」を作る“共犯者”となったのが、1981年公開「ねらわれた学園」の主題歌「守ってあげたい」で初めて角川作品の主題歌を手がけた松任谷由実さん。松任谷さんは、蝶の描かれた着物に、蜘蛛の巣のようなデザインをあしらった帯で舞台上に現れました。
「主題歌の依頼がきたときの気持ちは?」と聞かれた松任谷さんは、「来たー!という感じで(笑)、逃れられない縁を感じました」とコメント。「でもね、手嶌葵さんにぜひ歌っていただきたいという監督のご希望で、私も手嶌さんの歌唱には前々から興味があったので、手嶌さんの質感に寄り添うように作りました」
これに角川監督は「最後の作品だから絶対引っ張り出さなきゃって。初めからユーミンしか頭になかった」。松任谷さんも「80年代前半によくご馳走になったんですよ。その後払いですね」と答え、仲の深さをみせました。
監督から松任谷さんへのオーダーは、「『春よ、来い』を超える楽曲を作ること」。「獄中でずっと聴いていたということなんですけど、曲っていうのは“出会い”ですから、そんな出会いにはどんな曲作ったって勝てないと思いました(笑)。だからたいへん難しいお題だったんですが、『散りてなお』ではそれができました。故郷をなくした方も、遠く離れていてなかなか帰れない方も、皆さん誰にでも故郷はある。子どもの頃過ごした場所があるんです。それを『すぐ近くにある』と思えるような、ぴったりの曲になったと思います」(松任谷さん)。
これに監督も、「『この楽曲で絶対春樹さんを泣かせるから』って言われたんです。泣きました」。
これに続けて松任谷さんは「映画の世界観をギュッと凝縮して表したい、5分間のドラマとしてふさわしいものであったらいいなと思っています。角川さんの“少女性”ともいうべきデリケートな面がこの曲を作らせてくれたので、角川さんのお人柄や雰囲気もすごく反映されていると思います」とコメント。そしてイベントの最後には、サプライズとして、福岡市内のスタジオからリモートで手嶌葵さんが登場し、主題歌「散りてなお」
さまざまな候補があったなか、角川監督が撮影初日を終えて夜眠る前、突然候補の一人だった手嶌さんの歌が頭の中に流れてきた……というエピソードから、主題歌の歌い手に決まった手嶌さん。
松任谷さんから曲を受け取った時を振り返り、手嶌さんは「(曲を聴いて)すごく懐かしく感じて、小さい頃の思い出がたくさん蘇ってきました。角川監督のこんなにも優しい作品に関わらせていただけたこと、松任谷さんの美しい歌を歌わせていただけたこと、とても幸せでした。たくさんの方に観て、聴いていただければと思います」とコメントしました。
「手嶌さんの声が、川景色を連れてきてくれました」という松任谷さんの言葉どおり、「散りてなお」は、古語を交えて書かれたゆかしい歌詞の雰囲気とともに、川沿いで風に吹かれる草のそよぐ音が聞こえてくるような、やさしく懐かしい曲となっています。
なお12月1日(火)には、「散りてなお」の松任谷由実さんによるセルフカバーを収録した新アルバム「深海の街」が発売予定。映画鑑賞とあわせて、曲の聴き比べも楽しんでみては。
・「みをつくし料理帖」完成披露試写会に角川春樹監督・メインキャスト8名 “ラスト監督作”への思いを語る
・映画「みをつくし料理帖」関連グッズなどがもらえる!全国1,085書店でキャンペーン開催
・映画「みをつくし料理帖」予告編・場面写真一挙解禁!“料理”で道を切り拓く主人公・澪の苦労と成長を描く
・『みをつくし料理帖』の髙田郁さんから全国の書店員さんへのメッセージ「バックヤードへ愛を込めて」
ストーリー
時は、享和二年。大坂。8歳の澪(松本穂香)と野江(奈緒)は、暮らし向きが違えども仲の良い幼馴染だった。「何があってもずっと一緒や」と約束を交わす二人だったが、その約束の夜から大坂に大洪水が襲う。
――それから時は流れ、江戸の神田にある蕎麦処「つる家」に、女料理人として働く澪の姿があった。あの大洪水で両親を亡くし、野江とも離れ離れになってしまった澪は、「つる家」の店主・種市に助けられたのだった。種市に天性の料理の才を見出され、女でありながら料理人として働いていた。
しかし江戸の味に馴染めず試行錯誤の日々を過ごしていたのだが、やがて「つる屋」の看板料理を見出していく。たちまち江戸でも評判になっていく店にある日、吉原の扇屋で料理番をしている又次(中村獅童)という強面の男がやってきた。吉原で頂点を極めるあさひ太夫のために澪の看板料理を作ってくれと頼むのだった。そして、この日を境に運命の歯車が動き出す。
果たして、澪と野江は再会を果たせるのか? 幾度となく訪れる艱難辛苦を乗り越えながら、料理に真摯に向き合い、運命を切り開いていく女料理人の成長と、不変の友情を描いた爽快な物語。
出演:
松本穂香 奈緒 若村麻由美 浅野温子 窪塚洋介 小関裕太 藤井隆
野村宏伸 衛藤美彩 渡辺典子 村上淳 / 永島敏行 松山ケンイチ 反町隆史 榎木孝明 鹿賀丈史
薬師丸ひろ子 / 石坂浩二(特別出演)/ 中村獅童
製作・監督:角川春樹
脚本:江良至、松井香奈、角川春樹
原作:髙田郁『みをつくし料理帖』(角川春樹事務所)
主題歌:手嶌葵「散りてなお」作詞・作曲:松任谷由実 編曲:松任谷正隆(ビクターエンタテインメント)
料理監修:服部幸應
音楽:松任谷正隆
制作統括:遠藤茂行
制作:楽映舎
配給:東映
©2020映画「みをつくし料理帖」製作委員会