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  • 天才ボクシング女子×ヘタレ男子が“最強”を目指す!『乙女高校ボクシング部』

    2020年10月25日
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    黒田順子:講談社コミックプラス
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    乙女高校ボクシング部 1
    著者:沢田ひろふみ
    発売日:2020年09月
    発行所:講談社
    価格:704円(税込)
    ISBNコード:9784065214367

    女子ばかりの高校で、ヘタレ男子の主人公が、可愛い女の子に釣られてボクシング部に入部。そんなあらすじに、ヒロインはきっと見るからに元気印の活発な子だろうと思っていたのですが、想像とは違いました。
    とにかく、可愛い!!!!
    見た目は可憐で柔和なのに、芯があって性格も良くて、女の私から見ても大事にしなきゃ! と思える女の子なのです。

    スポーツ漫画の王道は、弱かった主人公がだんだん強くなっていく過程が描かれますが、この作品は魅力的なヒロインのお陰で、それだけではない面白さになっています。

    スクールカースト・ヘタレ部門からの脱出を図るため、女子校から共学になったばかりの聖真(せいしん)高校に入学した雷田大樹(らいでんたいじゅ)。
    登校中に出会った妖精のように美しい百瀬(ももせ)ひなたを「よし あのコをハーレム1号に認定しよう!!」と宣言します。

    なにがハーレム1号だ!? 失礼な!! と思っていたら、案の定初日からやらかしてしまった大樹は、女子から殴り倒され、ヘタレ確定。
    女子達に追いかけられ、たまたま逃げこんだところがボクシング部でした。
    そこで、「仲間になってもらえませんか?」と誘って来たのが、ハーレム1号こと百瀬ひなた。
    大樹を含め、たった4人の男子生徒全員で、ひなたしか部員がいないボクシング部に入部します。

    その直後、練習に来た他校の生徒といさかいになり、いきなりスパーリングをすることになった大樹。

    カッコいい!! 可愛い顔でこのセリフ、痺れます!!

    マネージャーだとばかり“思い込んでいた”ひなたが、実はかなりの実力を持つ選手だということを知る大樹。
    とまぁ、ここまでは読者も察する展開だと思うのですが、ここからがちょっと違って来ます。

    ある日、ボクシング部のOGで、グラビアでも活躍する日本チャンピオン北川佐和子の練習相手として、リングに立つことになったひなた。
    プロを相手に素晴らしい動きを見せるひなたに、とんでもない才能があることを知った大樹たち。
    ひなたが掲げた「インターハイ全員優勝」という目標に、彼らはこんな思いを打ち明けます。

    実際にスポーツ選手を取材したときに感じたことですが、個人競技は1人で戦っているように見えて、実はチームワークや仲間をとても大事にします。
    勝ったときの喜びも、仲間がいてくれると倍増するのだと言います。

    決して運動能力に長けているとは思えない4人が、人のために自分ができることを見つけ出したこのシーンは、ボクシングシーンに比べ地味に見えますが、じんわりと来ました。

    そしてこの作品は、既成概念や思い込みに対する読者への問いかけを感じます。
    プロボクサーの北川佐和子は最初、可愛い風貌のひなたに対し偏見を持っていました。
    しかしそれは、かつて顔だけで判断され嫌な思いをした自分が、ひなたに対して同じことをしたのだと気づき、潔く謝罪します。

    大樹が部活初日にリングに上がったときもそうです。「女は弱い」「女に負けるわけがない」と大樹は思っていたし、ひなたと走り込みの練習をしたときも「女のコは男の脚にはかなわない」と決め付けていました。
    そこには、つまらない男のプライドがあったのです。

    ボクシングのことだけでなく、こうした人間の内面についても描かれているから、どんどん読み進めたくなるのだと思います。

    新しい環境で、新しい自分に生まれ変わるのは容易ではありません。
    それでも、もがき続ける大樹を思わず応援したくなる作品です!

    試し読みはこちら

    (レビュアー:黒田順子)


    ※本記事は、講談社コミックプラスに2020年10月8日に掲載されたものです。
    ※この記事の内容は掲載当時のものです。




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