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第6回小説すばる新人賞を受賞した『天使の卵 エンジェルス・エッグ』や、第4回中央公論文芸賞・第16回島清恋愛文学賞・第22回柴田錬三郎賞のトリプル受賞で話題となった『ダブル・ファンタジー』など、女性の共感を集める恋愛小説家として知られる村山由佳さん。
9月25日(金)に発売された『風よ あらしよ』では、アナキスト・女性解放運動家の伊藤野枝の生き様を描いた評伝小説に挑戦します。
明治・大正時代、女性の解放運動に尽力した活動家といえば平塚らいてうが特に知られています。「元始、女性は太陽であった」という有名な句から始まる文芸誌「青鞜」に文章を寄せ、女性の自由を主張していました。
本書の主人公である伊藤野枝は、平塚と対照的なスタンスで女性の解放を目指します。
福岡の海辺の町で生まれた彼女は、貧しく不自由な境遇で育ちます。決死の努力で上野高等女学校へ編入するものの、卒業間近に親に取り決められた結婚に納得できず、英語教師であった辻潤と出奔。
その後、辻に薦められた雑誌「青鞜」に感銘を受けた野枝は、自分自身も雑誌の編纂に携わるようになります。
野枝が目指したのは女性の解放。結婚や堕胎など、現代社会が突き付けられている女性問題を一早く扱い頭角を現していく一方で、辻と結婚後にアナキストの同志・大杉栄に惹かれ「四角関係」を繰り広げるなど奔放な生活を送ります。
1923年の関東大震災後、混乱の最中で起こった「甘粕事件」により28歳の若さで殺されるまで、「吹けよ あれよ 風よ あらしよ」といった短くも鮮烈な人生を送りました。
彼女の生き方を追っていくと「あなたは、真に自由に生きているのか」と問われているような感覚を覚えます。一度本書のページをめくると、「伊藤野枝」の生き様に圧倒されること間違いなしです。