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YouTubeやニコニコ動画にて楽曲を投稿しているボーカロイドプロデューサーのカンザキイオリさん。
2017年にYouTubeで公開した「命に嫌われている。」は1,400万再生を超えるメガヒットを記録し、2018年からは人気バーチャルシンガーの花譜さんが歌う、すべてのオリジナル楽曲の作詞・作曲・編曲を手がけています。10代を中心に絶大な支持を得ているボカロPの1人です。
そんなカンザキさんのデビュー小説『あの夏が飽和する。』が、9月18日(金)に発売されました。カンザキさんの代表曲と同名の本作は、楽曲と密接にリンクする、ある夏の逃避行が舞台となっています。
あの夏のはじめ、流花は千尋を残して自ら命を絶ってしまった。
それから13年、流花のことが忘れられず、ただ無気力な毎日を送っていた千尋の前に、流花に生き写しの高校生・瑠花が現れる。千尋は瑠花に強烈に惹かれていくが、彼女には人知れぬ闇が隠されていた。さらに、瑠花の同級生の武命は、壮絶な虐待のはてに悲劇的な計画を決意。2人はそれぞれ破滅への道へ転がり落ちていた。
それに気づいた千尋の脳裏に、13年前の出来事が蘇る。哀しみ、苦悩、そして後悔。千尋は今度こそ、あの時言えなかった言葉を伝えて、2人を救おうとするのだが……。命を懸けたひと夏の闘いが始まる。
千尋、瑠花、武命、各登場人物の視点で話が進んでいき、徐々にそれぞれが抱える壮絶なトラウマが明らかになっていきます。
カンザキさんの美しくも切ない曲の世界観はそのままに、登場人物が複雑に絡み合うストーリーと終盤にかけてのスピード感溢れる展開から目が離せません。
心にひそむ闇と自分の弱さに向きあい、それを乗り越えた先には何があるのか。読者の予想を裏切るラストは必見です。
本書の原曲となった「あの夏が飽和する。」をあわせて聴くことで物語の世界観をより感じることができます。
Webメディア「Web河出」では、本作のスピンオフとなるプロローグが公開中。千尋と流花による13年前の逃避行の詳細が語られます。
音楽×小説という、新しい読書体験を味わえる1冊です。