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本や雑誌に始まり、卒業アルバム、チラシ・ポスター、お菓子の箱やペットボトルのラベル……私たちの身の回りにはいつも、さまざまな“印刷物”があります。
今回紹介する漫画『刷ったもんだ!』は、意外と知らない「印刷会社のお仕事」を描いた作品です。
普段目にするあれこれは、どんなふうにできあがり、私たちのもとへ届いているのか? 個性豊かなキャラクターたちの織りなすお仕事コメディとしても面白い、第1巻発売後たちまち重版された注目作です!
主人公の真白悠(ましろ ゆう)は、かつて「西中の白虎」と恐れられた元ヤンキー。
その後「デザインの仕事に就きたい」という夢を追いかけた彼女は、見事「虹原印刷」に採用され、配属された企画デザイン課で、憧れのデザイン職に就くことになりました。
“人生刷り直し”とばかりに元ヤンの過去は隠し、日々の仕事に励む真白。
しかし現役時代の名残りか、身にまとった威圧感とたまに出てしまう目つきの悪さで、職場のみんなからはちょっと怖がられています……。
『刷ったもんだ!』では、そんな新人印刷マンの彼女の視点を通して、印刷物ができあがっていく過程や、それに関わる人々が描かれていきます。
真白が就職した虹原印刷は、東京の外れにある中小印刷会社。一般商業印刷物から、同人誌、公式グッズ、卒業アルバムなど、幅広い印刷物を手がけています。
彼女が配属された企画デザイン課は、印刷物のデザインやデータ作成が主な仕事。……なのですが、“わりと何でもやる会社”ゆえか、印刷物のデザイナーだけでなく、映像製作をメインで担当する人、サーバー管理やネット関連を担当するSEなど、さまざまな人が働くごった煮状態の部署となっています。
物語序盤では真白は同人誌を担当していますが、ストーリーが進むごとに、それ以外の仕事にも関わっていくことになります。「印刷会社って、こんなこともやってるんだ」と驚く人も多いかも。
依頼主とやりとりしながら、印刷用データを作って印刷機で出力し、製本する。大まかな流れだけを追うとシンプルに見えますが、細かく見ていくと、一般的な印刷もいろんな工程を経ています。
『刷ったもんだ!』では、シチュエーションの要所要所で、その工程や作業内容がわかりやすく解説されているのも見どころの一つ。「こんなふうに人の手が加わっているんだ……」と思うと、本も、紙一枚のチラシも、なんだか愛おしくなってきます。
しかし、働いている人たちにとってはこれが「日常」。
真白はまだまだですが、慣れた手さばきで作業を進めていく先輩社員たちが大勢います。特に「メタルしおり」を作る時の、同僚・黒瀬のカーニング技術には注目です。
真白もなかなかの変わり者ですが、職場の同僚たちも一筋縄ではいかない曲者ばかり!
特に、先ほど紹介した「黒瀬」という人物は相当な曲者です。
「絶対目を合わせないマン」こと黒瀬さん。目を合わせないだけでなく、パーソナルエリアが広いのか、ちょっと近寄るとスス……と避けるので「私、嫌われてるのかな」と思っている人も多いようす。
良くも悪くもまっすぐな真白とは見るからに馬が合わなそうですが、ひょんなことから黒瀬さんとの“ある共通点”が判明し、急接近することになります……! くわしくはぜひ単行本で!
新人印刷マンの真白ですが、「西中の白虎」と呼ばれた負けん気の強さは一級品。
ある時、黒瀬さんの何気ないアドバイスにカチンときた真白は、「次からは放っておいてくださって結構です」「私は一人で十分できますから」とついケンカ腰な態度を取ってしまいます。
しかしその翌日、真白が担当した印刷済みの原稿にミスが見つかり、1,000部もあるリーフレットに訂正シールを貼らなくてはならないことに。大見得を切った手前、後に引けない真白は、この事態にも「一人でできます」と強がりますが……。
自分の仕事を嫌な顔一つせず手伝ってくれる同僚たちに、自分のちっぽけなプライドを恥じ、仕事において何が大切なのかを身をもって学んだ真白。
持ち前の根性と律儀さで、仕事の面白さ、印刷マンとしての誇り、仲間の大切さを知り成長していく一生懸命な真白の姿は、つい応援したくなるとともに「さあ、私も頑張るか」と明日への活力をチャージしてくれます。
『刷ったもんだ!』の魅力、伝わりましたか? 「西中の白虎」だった真白の人生がこれからどうなるのか、気になった方はぜひ、第1話を通して読んでみてください!
『刷ったもんだ!』は「モーニング」(講談社)にて連載中。第2巻は11月20日(金)発売予定です!