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  • 『窮鼠はチーズの夢を見る』行定勲が意識した「空白づくり」、水城せとなが感じた「映画版今ヶ瀬の子犬っぽさ」

    2020年08月28日
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    日販 ほんのひきだし編集部 浅野
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    9月11日(金)に公開される映画「窮鼠はチーズの夢を見る」。8月27日(木)、5日連続で開催される夏休み限定イベントの第4夜が行なわれ、原作者の水城せとなさんと行定勲監督が登壇しました。

    冒頭、原作漫画を読んだ感想を聞かれた行定監督は、「いやあ、困ったなあ、という。漫画と映画って似ているようでまったく違っていて、漫画は世界のすべてが一人の作家の脳から生まれているのに対して、映画はいろんな条件のなかで形にしていくという特徴があるんです。すでに確立されている漫画を映画化することには、いまだに懐疑的なところがあります。映画というまったく違うものになることの違和感を払拭しなければならないのは、非常にプレッシャーでした」。

    そんな中で考えていたのは「漫画を読んでいる時に感じた圧を、どう描くべきか」。原作漫画は、登場人物たちのセリフの応酬も読みどころの一つ。「セリフがすばらしくて、洪水に呑み込まれるような圧を感じました。絵は動いていないのに迫ってくるものがあって、この圧が、映画の観客にとっても同じようにならないといけない。それが難しいなと思いました」

    それに対して出した答えは「できるだけ抑えた脚本づくり・演出をし、生まれた空白の中に、観客が能動的に参加できるようにすること」「そのうえで、原作にも登場する“名言”をふさわしい形で機能させること」。このために、脚本づくりには約2年を要したのだといいます。

    一方の水城さんは、フランス映画のような「ああ言えばこう言う」強い言葉の応酬を常にイメージして作品を執筆していたのだそう。「行定監督からいただいた最初の企画書と仮シナリオを見たとき、ちゃんと共通する空気感がそこにあったので、これは(企画を)動かしてもらっていいんじゃないかと思いました」と語りました。

    その後、初号試写を鑑賞しての感想に話題が移り、水城さんは「漫画の今ヶ瀬に比べて、成田さんが演じる今ヶ瀬は、最初から『フラれたら死んじゃう』くらいの空気を出していて、子犬感というか、無防備なんですよね。異性愛者の恭一に対して自分がどう入り込むか考えたとき、女性を凌ぐほどの『かわいらしさ』で迫ることが、彼の戦略だったのかなと想像しました」。これに対して行定監督も「たぶんそうです。特に部屋でのシーンになると、彼は急に解放感が出て甘えっぷりが増すんですよ。本当に子犬のようにスキンシップをとろうとするんだけど、大倉はそっけないんですよね」と笑いながら振り返りました。

    大倉さんが演じた恭一については、「漫画の恭一は単純なところがあったり、まさに“窮鼠”という感じで追い詰められる瞬間もある。でも、大倉の恭一は奥底が見えない。それを覗こうとして溺れてしまう。だから恭一という人物は、人たらしなんですよね」と行定監督。「この漫画から映画が生まれたということは確かなことなので、見比べてみると本当に面白いと思います」と語りました。

    イベントの最後には、2人からのメッセージが。水城さんは「この映画に限らず、今の時代、お一人お一人が何か思う前に『この作品はこう感じましょう』『こういうふうに観なきゃいけない』ということに無意識に呑み込まれてしまうことが多いんじゃないかと思います。お友達やSNSで見る意見と違っても、『私はこう思った』ということをぜひ大事にしていただきたいです。是であれ否であれ、『こう思った』ということが、その方が真剣に観てくださったということだと思います」。

    行定監督は「漫画を読んだときにも感じましたが、『個人の選択』が重要なポイントになってきているように思います。人と人が向き合って愛し合うという不確かな行為を、この映画で描けたと思います。これまでも恋愛を題材に扱ってきましたが、これは本当に胸を張って『恋愛映画だ』といえる作品になりました」。

    完結から10年以上が経った現在も“傑作”として愛読者の多い、『窮鼠はチーズの夢を見る』『俎上の鯉は二度跳ねる』の実写映画化。本作で描かれた「どうしようもなくその人を好きになってしまうこと」は、それぞれの価値観や過去の恋愛と交わったとき、観客一人ひとりの心にどんな感情を生むのでしょうか。

     

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    映画「窮鼠はチーズの夢を見る」作品情報

    7年ぶりの再会 突然の告白 運命の歯車が動き出す――
    学生時代から「自分を好きになってくれる女性」と受け身の恋愛ばかりを繰り返してきた、大伴恭一。
    ある日、大学の後輩・今ヶ瀬渉と7年ぶりに再会。
    「昔からずっと好きだった」と突然想いを告げられる。
    戸惑いを隠せない恭一だったが、今ヶ瀬のペースに乗せられ、ふたりは一緒に暮らすことに。
    ただひたすらにまっすぐな今ヶ瀬に、恭一も少しずつ心を開いていき……。
    しかし、恭一の昔の恋人・夏生が現れ、ふたりの関係が変わり始めていく。

    原作:水城せとな『窮鼠はチーズの夢を見る』『俎上の鯉は二度跳ねる』(小学館「フラワーコミックスα」刊)
    監督:行定勲
    脚本:堀泉杏
    音楽:半野喜弘
    出演:大倉忠義 成田凌 吉田志織 さとうほなみ 咲妃みゆ 小原徳子
    配給:ファントム・フィルム

    映倫区分:R15

    https://www.phantom-film.com/kyuso/

    ©水城せとな・小学館/映画「窮鼠はチーズの夢を見る」製作委員会




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