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  • 勝てば賞金1千万!盲目の青年が「ブラインドサッカー」で仲間と奇跡を起こす!

    2020年08月15日
    楽しむ
    黒田順子:講談社コミックプラス
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    ブクロキックス 1
    著者:松木いっか
    発売日:2020年06月
    発行所:講談社
    価格:726円(税込)
    ISBNコード:9784065202487

    ブクロでブラサカ。この意味がすぐにわかる人は、なかなかの人だと思います。
    東京パラリンピックで日本チームの初出場が決定しているブラインドサッカー(5人制サッカー)。
    それなりに知っているつもりでしたが、実は知らないことだらけでした。
    池袋(ブクロ)を舞台に、1人の全盲の青年と多種多様な人々が織り成すお話は、今までのスポ根漫画とはちょっと違ってハートフルです。

    生まれつき全盲の整体師・小山田千洋(おやまだちひろ)は、勤務先である「はるかわ整体院」の院長の息子・春川ハルカから誘いを受けます。

    これは、小山田に対する偏見がハルカにないからこそ言えるセリフなのですが、小山田がトイレから戻って来たときの2人のやり取りは、もう最高です。

    ハルカ「ったく~ 長かったじゃねぇかァ~~ うんこだろ~」
    小山田「そーそー あんたの顔くらいデカいの出たわー」
    ハルカ「ハァ~~ッ!? てめぇオレの顔 見たことねぇだろ このうんこ野郎ォ」
    ハルカ「み…見えねぇ お前のために言っとくけど~ 意外とオレ 顔小さいんだぜ~? 豆みたいって よく言われるしなァ~~」
    小山田「それ 顔じゃなくて 器がだろー」

    こういうことが言える関係って、いいなぁと思うのです。

    結局、小山田はハルカと共にナナが勤めるクラブに行くのですが、そこでブラインドサッカーチーム「ブクロホッチキス」に加入することに。
    実はナナこと智彗(ジヘ)は韓国人で、このチームの監督をしている葉山司の娘だったのです。

    葉山がチームを立ち上げた理由は、賞金1千万円を勝ち取るため。ブラサカの強豪チーム「玉帝新宿」が、自分たちに勝ったら賞金を出すというのです。

    一体、何のために? なぜそんな大金を持っているの? と聞きたくなりますが、「玉帝新宿」のエース・越智豪(おちごう)は、いかにもサッカーやってます的なタイプではなく、大金持ちの御曹司かIT企業家風で哀愁があり、私としても気になる存在です。

    その「玉帝新宿」との対戦が急遽決まった「ブクロホッチキス」は、急ごしらえでメンバーを揃えることに。ところがこれが、近場で集めた感が半端ないポンコツ集団。

    ゴールキーパー(GP)は晴眼者か弱視者というルールがあるので、監督の葉山がつとめ、相手のゴール裏で指示を出すガイドは、ジヘ。
    4人いるフィールドプレイヤー(FP)は、小山田、ハルカ、ハルカの父、そして葉山の行きつけのバーのママ(年齢不詳)。

    この元高校球児の強烈なママが、オネェ言葉でブラサカをするというギャップ、これが笑えます。

    しかし、この対戦はどう考えたって無理がある。「ブクロホッチキス」が負けるに決まってるでしょ、と思っていたら小山田の意外な才能が発揮されます。

    以前、ハルカと街を歩いていたときも、公園から飛んできたボールを事も無げにさばき……、

    この流れるような一連の動作をハルカに気付かれることなくやってしまう小山田って、一体何者?

    『ブクロキックス』は、こんな謎があちらこちらに散らばっています。
    小山田がなぜサッカーをやっていたのか、5歳年上のあゆちゃんという女性と何があったのか。「玉帝新宿」が1千万円の賞金を出す理由も、監督がそれを狙う理由も、ジヘが日本に来た理由も謎のまま。
    ここに出てくる誰もが色々な背景を持っていて、そういう雑多な感じが池袋という街とよくマッチしています。

    今回、この漫画がきっかけでブラサカの動画を見たのですが、想像していたよりスピードがあって凄いので、ぜひ動画も一緒に見て下さい。もっと、小山田たちを近くに感じることができますよ。

    (レビュアー:黒田順子)


    ※本記事は、講談社コミックプラスに2020年7月26日に掲載されたものです。
    ※この記事の内容は掲載当時のものです。




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