'); }else{ document.write(''); } //-->
いまや、どこの書店にもBLコーナーがあるくらい、BLは一般的な趣味ジャンルになっています。
しかし、BLが真面目に、学問的に研究されているってご存じでしたか? 社会学部や文学部の学生の卒論テーマとして近年人気が高まっているそうです。7月20日(月)に発売される『BLの教科書』は、日本初のBL研究入門の決定版となっています。
▲黒猫は「攻め」、三毛猫は「受け」の暗喩だそうです///(「攻め」「受け」の意味がわからない方がもしいたら、ググってください)
本書は3部に分かれていて、第Ⅰ部「BLの歴史と概論」では少年愛からはじまるBLの歴史と概論を、第Ⅱ部「さまざまなBLと研究方法」では多様なBLジャンルと研究方法を、第Ⅲ部「BLとコンフリクト」ではBLと社会とのかかわりを扱っています。
はじめに なぜ、BLは重要な研究対象となっているのか
第Ⅰ部 BLの歴史と概論
第1章 少年愛・JUNE/やおい・BL――それぞれの呼称の成立と展開(藤本由香里)
第2章 少年愛と耽美の誕生――1970年代の雑誌メディア(石田美紀)
Column① 竹宮惠子×西炯子――『JUNE』「お絵描き教室」が果たした役割(倉持佳代子)
第3章 同人誌と雑誌創刊ブーム、そして「ボーイズラブ」ジャンルへ――1980年代~90年代(西原麻里)
第4章 BLの浸透と深化、拡大と多様化――2000年代~10年代(堀あきこ・守如子)
Column② BLと百合、近くて遠い2つの世界(田原康夫)
第5章 BLはどのように議論されてきたのか――「BL論」学説史総論(守如子)
Column③ 海外におけるBL文化の広がりと海外の研究(ジェームズ・ウェルカー)
付論 BL小説ブックガイド(『BLの教科書』編)
第Ⅱ部 さまざまなBLと研究方法
第6章 やおい同人誌を研究する――物語とキャラクターの分析(石川優)
第7章 「BL読み」という方法――BL短歌、クィア・リーディング、二次創作短歌(岩川ありさ)
第8章 ポルノとBL――フェミニズムによるポルノ批判から(堀あきこ)
Column④ BLマンガとゲイコミック(田亀源五郎 聞き手:藤本由香里)
第9章 やおいコミュニティにおける実践(東園子)
第10章 男性アイドルとBL――BLのまなざしで男性集団の<絆>の描かれ方を読み解く(西原麻里)
Column⑤ 2.5次元舞台におけるBL的実践(須川亜紀子)
第11章 BLゲームとアーカイブ(木川田朱美)
第Ⅲ部 BLとコンフリクト
第12章 社会問題化するBL――性表現と性の二重基準(堀あきこ)
第13章 ゲイ男性はBLをどう読んできたか(前川直哉)
Column⑥ 生身の人間にファンタジーを押しつけないために(守如子)
第14章 BLとナショナリズム(金孝眞)
おわりに ――なぜ、「BLの教科書」なのか(守如子)
筆者自身もBL好きでいわゆる腐女子なのですが、Twitterで日々同好の士と交流していると、腐女子・腐男子の熱量の高さに圧倒されることもしばしばです。みんなどんどん新刊を買っていて、出版不況なんて嘘みたいです。
そして熱心にBLマンガやBL小説を読むだけでなく、作品の細かい分析をして共有するなど、根が真面目で勉強好きな人が多い気がします。
『BLの教科書』を紹介しても、多くのフォロワーさんが興味を持ち予約してくださいました。オタクには、作家や作品を「買い支えよう」という文化があるので、予約するという行動につながるのだと思っています(本当に、大変ありがたい……!)。
さて本書、発売数か月前から執筆者や主な目次を公開してきました。書名検索や社名検索でTwitterでの反応をみていると、「あの『六法全書』のおかたい有斐閣が!?」という驚きの声が一番多いです。
▲有斐閣といえば『六法全書』! 世間ではそういうイメージみたいですが、法律書以外も出していますよ!
一方で、「有斐閣から出るのなら信頼できる」といったありがたいお声もたくさんありました。
有斐閣は1877年の創業以来、学術書ひとすじ。この『BLの教科書』の企画の話も「BLはまだ『そんなものが研究対象になるの?』といわれるなど軽くみられることも多いので、学術書・教科書に定評のある有斐閣さんにぜひお願いしたい」という意図があったと、編者の堀あきこさん・守如子さんにうかがいました。
また本書の内容面では、「萩尾望都や竹宮惠子など『少年愛』の時代からBLに至るまでの歴史に興味がある」「ポルノグラフィとしてのBLの分析でまとまったものを読みたかった」「ゲイ男性とのかかわりを知りたい」といった声が多かったです。
本書はColumnも充実しています。『弟の夫』で知られる田亀源五郎さんへの「BLマンガとゲイコミック」についてのインタビューや、テニミュ(ミュージカル「テニスの王子様」)などの2.5次元舞台におけるBL的実践、BLと「百合」の比較など、バラエティー豊かです。
Twitterでは、2.5次元と百合について読んでみたいといわれている方が多かったです。
▲第1章の冒頭部分。小口部分にインデックス(つめ)がついています
6月に発売され、映像化BL作品にスポットを当てた特集が組まれた「ダ・ヴィンチ」(KADOKAWA)7月号では、堀さんと守さんのインタビュー記事「社会学者が語る 学問としてのBL」が掲載され、こちらも大きな話題となりました。
『BLの教科書』が多くの人の手にわたって、BL研究がよりいっそう大きく花開くことを願っています。