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  • “彼氏が欲しい”クセ者揃いの女子サッカー部が大暴走!『アオハれ乙女』

    2020年06月27日
    楽しむ
    花森リド:講談社コミックプラス
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    アオハれ乙女 1
    著者:ハル あかり
    発売日:2020年05月
    発行所:講談社
    価格:693円(税込)
    ISBNコード:9784065196588

     

    ギャグなのに、なんだか常時まぶしい!

    『アオハれ乙女』はまぶしい。切れ味のいいギャグと絵のアップダウンが言語野と視覚にバシバシ突き刺さる。そして脳の別の場所も刺激される。

    ボールになりたい女子高生って初めて見たし、男子でも知らない。そして彼女がボールになりたい理由はユニークかつダイレクトな夢と欲にまみれている。でも、「ダメだ~」と笑いながら、私の中のどこかが正座して彼女たちをカッと見つめている。なんなんだ。

    『アオハれ乙女』は女子サッカー部を舞台にしたギャグマンガです。が、念の為お伝えすると第1巻でサッカーの風景は少ないっていうか乙女らは全然サッカーやってません。なぜなら「別のこと」に夢中だからです。でもなんだかサッカー的な疾走感がある! ああもう、なんなんだ! サッカーって何なの!? みんな何しにサッカー部に来てるの!?

    冒頭で紹介した「ボールになりたい!!!!」とゴリゴリな顔で叫ぶ少女は、同時にこんな美しい瞬間を知る乙女でもあります。(口からよだれが出そうになっているけれども)

    そう、これ青春マンガなんですよね。恋と、サッカーと、ギャグの嵐。そりゃテンション高いし、まぶしいわけです。

     

    王子様はサッカー部にいる!!

    主人公の“佐藤有赤(さとうゆら)”は高校1年生。高校生になったら自動的に彼氏ができると思っていた私のように「おかしいぞ?」と膝を抱える日々を送っています。つまり彼氏はいません。

    待っても待っても始まらない私の青春。なんなんだ。

    有赤は、あまりにもそれっぽいイベントが我が身に起きなくて、ついに「ボールになりたい!!!!」と口走っているんですね。あのボールのように男子に追いかけられたい、と。

    で、ボールになりたい彼女には、男子ではなくボールがぶつかってきます。ぶっ倒れる有赤。やがて目を覚ますと……!

    イケメンきました。有赤の顔面にボールを蹴り込んでしまったサッカー部員の“渡辺羽白(わたなべしゅう)”です。

    渡辺くんのイケメンオーラを浴びた有赤は恋に落ちます。蓮の池に写り込んだ自分のブサイクな顔を見ても怯まないタフな恋心で「渡辺くんのそばにいたい!」と願うんです。ここで有赤は「マネージャーとかモブキャラの自分には無理」「じゃあサッカーをしよう」と即方針を決め、女子サッカー部へ駆け込むことに。

    女子サッカー部のドアを開けたら、こんな場所でした。

     

    人生の試合に勝ちたいんだ

    女子サッカー部のメンバーは以下の通り。

    お互い友達でもないし、サッカーする気がないし、有赤の呼びかけにだって当然反応しません。ボールを追いかける青春には程遠く、クズ待った無し。でも、有赤は自分と彼女たちに共通点を見つけるんです。

    「主人公になれなくて、青春が始まらない自分」です。私たちは毎日何をしているの? 毎日ごはん食べて寝て学校に通うだけ……ここで有赤のパッションが火を吹きます。

    相変わらずアウトプットは「私はボールになる!!!!」ですが、私には冒頭の「あ~、ボールになりて~」とは少しだけ違う願いに見えます。で、有赤のほとばしるボール願望(=彼氏がほしい)は、メンバーの胸にも飛び火します。

    彼氏ほしさに始めるサッカー。不純? 私にはわかりません。「人生の試合に勝ちたいんだ」と願う人に不純さを見つけられないからです。たとえそれがめっちゃ滑稽でゲラゲラ笑ってしまう姿でも、サッカーが成り立たない部員数でも、とても熱い。

    イケメン揃いの男子サッカー部とミニゲーム! こっちは恋する気満々だけど、サッカー命の渡辺くんは有赤と恋じゃなくてサッカーがしたい! 大丈夫か!? 当然、あらゆる意味でまったく大丈夫じゃないし、女子サッカー部員は豪快にバカなことばかりやってしまいます。なのに本作は一貫して品がよくて、明るい気持ちにさせるんです。彼女たちがすでに青春という試合に出場しているからでしょうか。うらやましい!

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    (レビュアー:花森リド)


    ※本記事は、講談社コミックプラスに2020年6月6日に掲載されたものです。
    ※この記事の内容は掲載当時のものです。




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