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東京の「ガエハウス」に3週間、京都の「ガエまちや」に1週間。ひと月を2軒の家で過ごす永江朗さん。京都の町家を手に入れたのは、茶道を始め、茶室がほしくなったことがきっかけ。2都市の行き来はいい気分転換になっている。
出版業界に詳しく、書店に関する著作も多い。「特に京都は書店環境に恵まれている。(どちらの土地にいても)毎日散歩に行って、いろいろな書店をのぞきます」。編集者との打ち合わせ場所もブックカフェを利用している。
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新刊『51歳からの読書術』のタイトルは、かつて作家・小林信彦さんのエッセイ『人生は五十一から』を読んで、「大人の文化」を意識したことから。取り上げるのは、和歌や漢詩、哲学書から絵本まで、ジャンルを問わない本の魅力や、読書にまつわるツールの活用方法など幅広い。「体験をもとに、読む側もアクションして構築していく」。「読書が楽しくなる方法をいつも考えている」という達人のアイデアが、大人ならではの読書生活を豊かにふくらませてくれる。
玄関を入ると、1階の吹き抜け部分から地下の仕事場が見える。「慣れると座っているより楽」と、食事の時以外は、ほぼ1日を立って過ごす。そのため、パソコンのキーボードも白木の台で高さを調整。必要な“長さ”を計算してオーダーしたはずの本棚は「あっという間に満杯に。建築家にもっと収容量を多くすれば良かったと言ったら、どんなに広く取っても同じだよ、と言われました(笑)」。2軒の家づくりについては『狭くて小さいたのしい家』『そうだ、京都に住もう。』に詳しい。
中央下の黒く細長いブックウエイトと書見台は、本を見ながら執筆するときの必需品。丸い缶には、ページを挟んで栞や付箋替わりに使えるブックダーツ。メモパッドはサイズ違いが机上のあちこちに。
永江 朗 Akira Nagae
1958年、北海道旭川生まれ。法政大学文学部哲学科卒。西武百貨店系洋書店アール・ヴィヴァン勤務、雑誌「宝島」「別冊宝島」編集部を経てフリーの著述家となる。処女出版『菊地君の本屋』以降、書店を紹介する本も数多く手掛ける。読書術やインタビュー術に関する著作が多く、書評などの評論活動にも力を尽くす。近著に『茶室がほしい。』『「本が売れない」というけれど』など。