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JPIC読書アドバイザー(JRAC)が創設した「親子で読んでほしい絵本大賞」の第1回大賞に、『字のないはがき』が決定しました。
『字のないはがき』は、向田邦子さんのエッセイの中でも名作とされる「字のない葉書」を絵本にしたもので、角田光代さんが文を、西加奈子さんが絵を担当。向田さん・角田さん・西さんという直木賞作家3名による共作ともいえる一冊です。
その内容は、向田邦子さんのちいさな妹・和子さんを主人公に、いつも怖いお父さんのエピソードを綴ったもの。原作となったエッセイは、『眠る盃』に収録されています。
【あらすじ】戦争時代、ちいさな妹が疎開するとき、お父さんはちいさな妹に、「元気なときは大きな○を書くように」と、たくさんのはがきを渡しました。しかし、大きな○がついたはがきは、すぐに小さな○になり、やがて×になり・・・。(小学館公式サイトより)
今回の大賞は、40名の選考委員が400冊の中から候補作12作を選び、JPIC読書アドバイザー123名の投票により決定。
投票に参加した読書アドバイザーからは、戦争の悲惨さと、不器用ながら確かにある親の深い愛情にあらためて感動するとともに、それが親子で読める「絵本」という形になったことを高く評価する声が多く寄せられました。
気難しい父親が、幼い娘をひとりで疎開させることへの心配が、痛いほど伝わってきました。素直にマルとバツで様子を伝えてくる娘の純真さにも心打たれます。戦争のもたらすつらい側面を親子の交流から理解でき、親子でその気持ちを語り合えたら、と思いました。
(26期 瀧澤有希子さん)
西加奈子さんは人々の表情や戦火の街をまったく描いていません。末娘を抱いて慟哭する父親が蹴散らかした下駄と汚れた足の裏を描くことで、戦争の悲惨さを強く想像させます。字のないはがきの絵が、平和の尊さを強く訴える1冊だと思います。
(25期 二田水ゆかりさん)
直木賞作家3人による素敵な共演! 向田さんの戦時中の実話を、平易でありながら切々と伝える角田さんの文と、西さんの大胆な構図と色彩の画が見事。教科書掲載される名作が、絵本独自の味わいに昇華され心に響きました。
(25期 川瀬理恵さん)
育児・教育の専門家とも、書店員とも異なり、「本をつくること・届けること」「読書の輪を広げること」「書店について」などを幅広く学んだ“読書アドバイザー”の推薦する絵本。
くわしい紹介は、「この本読んで!」2020春号にも掲載されています。
JRACとは……
「JPIC(出版文化産業振興財団)読書アドバイザー養成講座」の修了生有志による自主運営組織。1993年に設立され、現在の会員数は全国約600人にのぼり、各地で読書推進活動を進めている。
第1回「親子で読んでほしい絵本大賞」選考について
雑誌「この本読んで!」2019年春号~冬号(計4冊)で紹介された400冊の新刊絵本から、JRAC会員の選考委員40人が12点をノミネート。この中から、同会員123人が各々第1位~第3位を選んで投票した。