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  • シンナーの代わりに本を吸う?!ヤンキービブリオ漫画が爆誕

    2020年03月14日
    楽しむ
    黒田順子:講談社コミックプラス
    Pocket

    どくヤン! 1
    著者:左近洋一郎 カミムラ晋作
    発売日:2020年01月
    発行所:講談社
    価格:704円(税込)
    ISBNコード:9784065182079

    ヤンキー漫画と聞いて真っ先に何を思い浮かべるかは、世代によって違うと思いますが、『どくヤン!』はそのどれにも当てはまらない全く異質のギャグ漫画です! しかも、思い出し笑いのニマニマが止まらなくなります。

    不良高校の中でも一際異彩を放っている「私立毘武輪凰(ビブリオ)高校」に、授業料がタダという理由で転校してきた野辺雷蔵(のべらいぞう)。
    この名前からして間違いなくノベライズ好きだろうと思ったら、読書はあまりという極々普通の、というより全く冴えない高校生。
    早速、登校初日から“ブッカツ”の洗礼を受けます。
    “ブッカツ”とはブックカツアゲのことで、狙われるのはお金ではなく本!!

    さすが読書ヤンキーが集う「毘武輪凰高校」。
    学校での授業は、1限から6限まですべて「読書」。そして教育理念は、

    “読書上等” !!

    この暴走族感あふれる四文字熟語にワクワクしてしまいます。
    となれば当然、スプレーの落書きも「夜露死苦」かと思いきや、こんなものも。

    「団鬼六(だんおにろく)」と「銀色夏生(ぎんいろなつを)」が入ってくるこのセンス!!
    ちなみに団鬼六はSMなど官能小説の第一人者で、銀色夏生は80年代アイドルの作詞も手掛けたオシャレ感漂う作家。
    こうした随所に出てくる細かい設定に、思わずニマニマしてしまうのです。

    そして、ヤンキーのお約束とも言える喧嘩のシーンでは、こんなセリフが……。

    てめぇ 何
    犯人教えてんだ
    殺すぞコラァ!

    こんな「どくヤン」にぴったりなセリフってある!?(笑)
    さらにヤンキーの定番、うんこ座りでスハスハする“アンパン”はシンナーではなく……。

    しかし、こうしたヤンキーは底辺の部類。一本筋が通っている本物の「どくヤン」は、それぞれ得意なジャンルを持ち、それに相応しい名前があるのです。

    “ブッカツ”に遭った野辺雷蔵を助けてくれた獅翔雪太(ししょうせつた)は、私小説が大好きな“私小説ヤンキー”。
    多くの私小説作家が病に蝕まれたのと同様、時々、吐血します。
    同じく私小説ヤンキーに域狭間刻(いきざまきざむ)というのもいて、玉川上水に入水してしまわないかとヒヤヒヤしています。

    ほかにも“まんま”すぎて笑ってしまったのが、時代康尚(じだいこうしょう)。彼は、“時代小説ヤンキー”。
    橙併次(だいだいぺいじ)は、“レシピ本ヤンキー”。
    阿奈沢流人(あなざわるうど)はというと、“異世界転生ラノベヤンキー”。

    でも秀逸なのは、“絵本ヤンキー” 夜見木粕男(よみきかすお)。

    野辺雷蔵と共に落とした“おむすび”を追いかけ、無法地帯といわれる学校の地下に足を踏み入れてしまうのですが、そこにあったのは……。

    このシーンは、悔しいくらい大爆笑してしまいました!

    でもビジュアル的に好きなのは、阿符織瞑(あふおりつむる)。

    やっぱヤンキーは特攻服(トップク)でなくちゃ!!
    しかし彼は、“ブッカツ”よりタチが悪い“箴言狩り”をする極悪非道な男だったのです。

    しかし、彼の特攻服に刺繍されていたのは……。

    『どくヤン!』を読む前、そんなに本を読んでないのだけれど……という不安がありましたが、毎回、作者たちによるこんな「燐棄斗(リスト)」が付いてくるので全く問題ありません。

    ん? 「燐棄斗」!? フランスの漢字表記「仏蘭西」みたいに、リストを漢字で書くとこうなの!?と思った私、やられましたよ。

    夜見木粕男のプロフィールに使われていた当て字も「斧髏噴威竜(プロフイル)」。
    いやいや読めないから! でも好きだわぁ、こういうの。
    すっかり『どくヤン!』に毒された麗撫亜(レビュア)として落書きするなら、もうコレしかないでしょ。「汚喪死露漫画参上!! 夜露死苦!!」。

    試し読みはこちら

    (レビュアー:黒田順子)


    ※本記事は、講談社コミックプラスに2020年2月11日に掲載されたものです。
    ※この記事の内容は掲載当時のものです。




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