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小説投稿サイト「小説家になろう」に掲載していた『君の膵臓をたべたい』で小説家デビュー、同作が2016年の本屋大賞にもノミネートされた住野よるさん。今年2月には単行本2作目となる『また、同じ夢を見ていた』が刊行され、ますます注目が集まっています。
友達のいない少女、リストカットを繰り返す女子高生、アバズレと罵られる女、一人静かに余生を送る老婆。彼女たちの“幸せ”は、どこにあるのか。「やり直したい」ことがある、“今”がうまくいかない全ての人たちに贈る物語。
(双葉社『また、同じ夢を見ていた』より)
本屋大賞の結果も気になる今(今年は4月12日が発表日です)、ほんのひきだし編集部は「住野よるさんって一体どんな方なんだろう?」という疑問を本人に直接ぶつけてみました。
―― 思っていたよりずいぶんお若い方で、驚きました。そもそも男性だということが、知ってはいても毎度びっくりしてしまう事柄なんですが……。少し住野よるさんご自身について伺いたいのですが、趣味や好きな食べ物を伺ってもいいですか?
作中にも出てくるんですけど、グリコアイスの「パピコ」が好きですね。定番のチョココーヒー味が好きですが、1月に発売された“大人の濃い苺”味はまさに苺そのものといった感じでかなり気に入りました。
―― 気に親近感がわきました(笑)。『君の膵臓をたべたい』がヒットするまではいち読者だったわけですが、今のブレイクっぷりを見てどうですか?
『君の膵臓をたべたい』は賞に応募していたけれど、何度も審査に落ちていた作品なんです。それが出版社の方の目に留まって、読者さんにも受け入れてもらえているというのは不思議な気分ですね。
―― 今回の『また、同じ夢を見ていた』は、いつ頃執筆されたものなんでしょうか。
『君の膵臓をたべたい』の次に一つ、賞に応募するための作品を書いていて、『また、同じ夢をみていた』はその次に書いた作品ですね。『君の膵臓をたべたい』が刊行されるよりも前に書きました。いわゆる“素人だったとき”の作品ですね。
――『また、同じ夢を見ていた』の好きなシーンはどこですか?
アバズレさんが、主人公の奈ノ花が泣きながら部屋を訪れたときに言う「いつでも、いつまででも聞くよ」というセリフが好きです。何でもないシーンなんですけど、奈ノ花を“ただの子ども”だと思っていないというか、きちんと“友達”として見ているのが伝わってくるシーンだと思っています。
―― 小説家デビューは『君の膵臓をたべたい』がきっかけだったわけですが、小説を書こうと思ったきっかけは何だったんでしょう?
中学生の頃に宗田理さんの「ぼくら」シリーズ(第1作は『ぼくらの七日間戦争』)が流行っていて、すごく好きでした。たくさん読んでいるうちに、勢い余って自分で書いちゃったという感じですね(笑)。
初めて小説を書いたのは、中学3年生から高校1年生くらいの頃です。プロの小説家になりたいと思ったのは、大学生くらいでしょうか。毎年、電撃小説大賞の募集にあわせて1作ずつ書くというのを続けていました。
「ぼくら」シリーズもそうですが、有川浩さんや西尾維新さん、乙一さんの作品からも影響を受けていると思います。ちょうど本をよく読むようになった頃にデビューした作家さんなんですよ。時雨沢恵一さんの『キノの旅』なんかも好きでしたね。
―― デビューといえば、この1年で変わったこととか、たくさんあるんじゃないですか?
作家専業になったので、本を読む時間が増えましたね。本を読むスピードが本当に遅くて、年に20冊くらいしか読んでなかったんですけど……。
―― えっ! 私、相当な読書家なんだなと思っていました。『君の膵臓をたべたい』がデビュー作だと聞いて驚いた方もたくさんいらっしゃいましたが、これはもっと衝撃的な事実なのでは……。
少ないですよね、年に20冊って(笑)。中学生から大学生くらいまでは読んでいたんですが、20歳を超えたあたりから本当に読まなくなって……。
―― じっくり読んでいるのかもしれないですね。「作品を生み出すための燃料効率」という観点からは、かなり燃費がいい(笑)。
そうかもしれないですね(笑)。
―― そういえば『君の膵臓をたべたい』も『また、同じ夢を見ていた』も、女の子目線の作品ですよね。住野さんは男性ですが、何を参考にしていらっしゃるんでしょうか。
書店員さんからも「文章が女性的だ」とよく言われますね。想像を働かせて書いております(笑)。この2作が思春期世代のお話なので、今後は自分よりも年上のキャラクターが出てくるような話も書きたいなと思っています。
―― 今はどんな作品を書いていらっしゃるんですか?
小説新潮で「かくしごと」という連載をやっているんですが、3月半ばあたりに書き終わるんです。なので今、3冊目の単行本について話し合っているところです。描き下ろしの予定なんですが、まだ全然どんな作品にするか決まっていなくて……、楽しみに待っていてください(笑)。
―― ほかに挑戦してみたいジャンルはありますか?
『君の膵臓をたべたい』や『また、同じ夢を見ていた』は文芸書として出版されましたが、ライトノベルも好きなので連作には興味がありますね。
あとは作家業を終えるまでに、内臓を全部揃えたいなと思っています(笑)。高校生の読者さんが、学校で「どの“内臓”が好き?」「私は腎臓が好きかな」って話してくれるようになったらいいなあと。
作品を読んでナイーブな印象を受けていた住野よるさんですが、楽しく和やかなインタビューの時間となりました。ありがとうございました!
取材日:2016年2月24日(聞き手:日販 販売企画グループ 古幡瑞穂)
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