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  • 「母の友」はパンクな雑誌!?キーワードは自由と反骨、そして「普通」

    2020年03月06日
    楽しむ
    日販 ほんのひきだし編集部「日販通信」担当
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    1953年の創刊以来、子どもに関わるすべての人に「子どもと楽しく生きる」ヒントを届けている「母の友」。一見クラシカルな誌名でありながら、“パンク”という言葉が示すその心とは。また伊藤康編集長が考える同誌の役割について、綴っていただきました。

    母の友 2020年 04月号
    著者:
    発売日:2020年03月03日
    発行所:福音館書店
    価格:580円(税込)
    JANコード:4910075110404

     

    パンクかな?

    「『母の友』、ですか。なかなか渋いお名前ですなあ」と言われることがあります。67年前、1953年創刊の雑誌で、誌名はその頃からずっと同じです。逆に「わ! 今っぽいお名前ですね」と言われたことは(少なくとも自分は)ない気がします。

    そんな「母の友」なのですが、先日、とある書店さんで店主の方が「見かけはかわいいけど(2013年から毎月100%ORANGEさんが表紙絵を描いてくれています)、中身はけっこうパンクですよね」と言ってくれました。

    ありがたいお言葉と思いつつ、パンクかな?とも思ったのですが、あ、そういえば、と思い出したことがありました。

    「母の友」は2020年1月号で通巻800号を迎えました。その号の特集をどうするか。実は当初、自分は、過去記事を束ねて紹介する特集をぼんやり想定していました。

    「母の友」は児童書の福音館書店の雑誌ですから、加古里子さんら絵本作家はもちろん、クレイジーキャッツの植木等さんら“意外な方”も過去にご登場いただいています。

    しかし、編集会議で、それだと単に「昔はすごかった」という号になってしまうのでは、という意見がでました。現在の読者であるみなさんに向けて今の私たちに何ができるかを考えたい、と。

    それ……すごくいいじゃないですか、となりまして、じゃあ、どうしよう、と。

    今、日本社会で進む(進んでいるのかな?と思うときもありますが)、働き方改革、ジェンダー改革で「母」のイメージも変わりつつあるように思います。今の、そしてこれからの「母」は?

    とはいえ「母の友」は以前から「理想の母親像」なんてない、と言ってきた雑誌です。人はひとりひとり違いますから、生き方もそれぞれ。また別の何か新しい一つの母のイメージを作りたいわけではない。

    じゃあ、さまざまな立場の方に、いろいろな視点から「母」について語っていただくのはどうだろう、となりました。

    特集タイトルは「子どもと私たちの未来のために『母』を考える」。編集部5名全員が寄稿をお願いしたい方のアイデアを持ち寄り、依頼を始めることとなりました。

    そして絵本『ぐりとぐら』の作者である中川李枝子さんや、女性学を切り拓いてこられた上野千鶴子さん、小説『リボンの男』の作者、山崎ナオコーラさん、独立研究者の森田真生さん、2019年に「子どもが騒いでも、お母さんが謝らなくていい書店」をオープンさせた夢眠ねむさんら総勢20名の方に「これからの『母』」をテーマに言葉を寄せていただきました。

    結果的に、どんな号になるのか、編集部もわからないまま進んでいったのですが、出来上がってみると、特集全体で繰り返し登場する、3つの言葉が印象的でした。その3つは「自由」「反骨」、そして「普通」でした。

    「自由」と「反骨」。あ、そういえば“永遠のパンク”川久保玲さんによるコムデギャルソンが定番で出しておられるTシャツに「MY ENERGY comes from freedom and a rebellious spirit.」という言葉がプリントしてある……と思い出しまして、そんなわけで、すみません、長らく引っ張りましたが、そう思うと「母の友」もパンクなのかも、と思ったのでした。

    さて、もうひとつのキーワード「普通」。普通ってなんだろうなと考えています。800号特集では、多くの方が「ちょうどいいくらい」とか、あるいは「例えば性を問わず自由に生きることが“特別なこと”ではなく“当たり前”なことであるように」といった意味合いで使っていました。

    そういえば、800号でインタビューにこたえてくれた方は「自由」や「反骨」という言葉を、にこにこ笑顔で穏やかな口調で話していました。大事なことを日常会話のような、友人との世間話のような、当たり前の温度感でお伝えしていくことも「母の友」の役割の一つなのかもな、と個人的には考えております。


    福音館書店「母の友」編集長
    伊藤 康 ITO Kou  
    2004年に福音館書店入社。「母の友」編集部を経て「こどものとも」編集部へ。佐々木マキさん作品『へろへろおじさん』など担当。2015年度より「母の友」編集長。


    (「日販通信」2020年3月号「編集長雑記」より転載)




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