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  • “古参デブ”がヤセられない理由とは?『脱ぽちゃ』した漫画家の実録コミックエッセイ

    2020年03月03日
    楽しむ
    花森リド:講談社コミックプラス
    Pocket

    脱ぽちゃ。20kgヤセてぽっちゃり人生脱出しました。 1
    著者:蟻子
    発売日:2020年02月
    発行所:講談社
    価格:1,100円(税込)
    ISBNコード:9784065185483

     

    「ダイエットに悩んでる」

    中学生の頃、英語の授業で「dietはダイエットという意味です」と疑いなく答えて大恥をかいた。“diet”には日本でいうダイエットの意味もあるけれど、教室での正解は「毎日の食事」だったんです。今なら「dietって食事だし、ダイエットも食事だよね!」と納得できるけれど、思春期ごろに想像していた「ダイエット」は、曖昧で、よくわからなくて、なのに存在感だけは異様に強い言葉だった。以後ずーっと私の身の回りで悩ましげに飛び交っている。

    『脱ぽちゃ 20kg ヤセてぽっちゃり人生脱出しました。』はダイエットにまつわるエッセイマンガで、作者の蟻子さんが20kgヤセるまでの物語。冒頭のこのページで「ああ、わかる」と心をつかまれました。

    26歳のダイエッターが、いつもダイエットのことを考えて、悩んで、お菓子を食べている。出口がなくて悩みだけがムクムク育つダイエッターモードに覚えがある人はきっといるはず。

    「ズルい」「私のほうがヤセたい気持ち強い」こんなネガティブな思考も残さず描かれている。容赦なく切り込むのに、とても優しいマンガだ。

    第1巻である本作には、蟻子さんが悩めるダイエッターから一転してダイエットを本格始動させた経緯と、初期の頑張りが描かれています。ダイエットのハウツーだけじゃなく、誰かに背中を押してもらえるような心強いマンガです。

     

    失敗の原因をハッキリさせる

    ダイエットってなんで何度も失敗してしまうんだろう。なんで「ちょっと後ろめたい」んだろう。そんな疑問へのヒントがこちら。

    ダイエットを応援するんじゃなくて、あきらめさせるために現れた“ダイエットおじゃまシスターズ”。そう、ダイエットがなんで失敗するのかというと「あきらめるから」なんですよね。ダイエットに悩む蟻子さんの周りをダイエットおじゃまシスターズが飛び始めます。

    この2つはわかりやすい。やっかい! でも、最後の1つ。ここに切り込める人はあまりいないなと思う。

    ミエもダイエット失敗の原因?

    参りました。わかる。これも強敵だ……。

    この3人の妖精たちがビシバシ指摘する言葉のセンスがどれも良い。たとえば「古参デブ」。

    自分の「ヤセビジョン」を知らないことによって成功から遠ざかっている、というわけです。確かにゴールが見えないと走り方がよくわからないもんね。

    こんな風に「お前にはできないぞー」とキーキー責めたてる妖精の言葉をあびまくって、スイッチが入った蟻子さん。あきらめさせる理由(=敵)がクリアに整理できたから、具体的に頑張ることができたんです。

     

    「なれるよ」と信じること

    蟻子さんはコツコツコツコツとダイエットを励みます。たとえば小麦粉を制限するダイエット。

    利点と苦しみ! 大丈夫か!?

    運動は家庭用ゲーム機のフィットネスマシン。ここでもダイエットおじゃまシスターズの怒りの助言(?)が効いている。

    ダイエットに少し勢いがついてきたらエステティシャンと二人三脚でさらに追い込み。どれもヘルシーでいい方法だ。参考になる。

    コツコツとがんばって、少しずつ薄紙をはがすように痩せていく蟻子さん。でもダイエットおじゃまシスターズは消えることなく蟻子さんの周りを飛び、大きな壁をたくさん見せつけます。たとえば「今ダイエット中なの」と友達に言うこと。

    頑張って8kgもヤセたけれど、誰にも気づかれず、今でも自分が土偶のように見えてしょうがない絶望感。そんなときに「ダイエット中なんだ」と打ち明けて「え、どこが?」なんて言われたら……想像するだけで胸がシクシクする。精神的な葛藤がダイエットにおける一番の敵なのかもしれません。あー胸が痛い。

    ガマンして、がんばって、勇気をだして。ダイエットが進むにつれて蟻子さんの心は少しずつほぐれていきます。とても癒されて元気がでる。誰かが「すてきになりたい」と悩んでいたら「なれるよ!」とめっちゃ盛り上げたい。ダイエットだけに収まらない優しくてポジティブなマンガです。「できっこない」とあきらめそうな自分のことも応援してもらえます。

    (レビュアー:花森リド)


    ※本記事は、講談社コミックプラスに2020年2月13日に掲載されたものです。
    ※この記事の内容は掲載当時のものです。




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