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「プリングルズ」や「アルフォート」など、誰でも知っているお菓子の箱を使った立体作品で知られる“空箱職人”はるきるさん。昨年10月末から池袋で開催された個展の来場者数は2万人超、Twitterのフォロワー数は43万人を超えるなど、そのクリエイティビティの高さで人気を集めています。
『お菓子の箱だけで作る空箱工作』は、そんなはるきるさんの初の著書。SNSで話題の作品を写真や制作秘話とともに紹介するだけでなく、初心者でも作れるようにアレンジされた5つの空箱工作が、型紙とプロセス写真付きで紹介されています。
小学生から大人まで幅広い層から注目を集め、4刷3万部と版を重ねている本書について、編集を担当したワニブックスの森摩耶さんと、営業担当の綱川聖子さんにお話を伺いました。
(左から)
ワニブックス 書籍編集部 副編集長 森 摩耶 氏
同 営業部 販売促進第二課 綱川聖子 氏
――本書はどういったいきさつで企画されたのですか。
森 私がはるきるさんにご連絡したのが2018年11月でした。すでにTwitterでかなり話題になっていて、作品を見てすごいなと感動したことがきっかけです。
はるきるさんは現在芸術大学の4年生で、当時から自分の作品を一冊にまとめたいという思いがあったようです。ただ、弊社はいわゆる“作品集”を出す感じの出版社ではないので、みなさんも作れるような、実用的な本にしたいとご相談のうえ制作に入りました。
――前半部分には、「プリングルズの紳士たち」や「アルフォートの空飛ぶ船」など、はるきるさんの代表作が収録されています。
森 作品の撮影に際しては、ご本人のTwitterのシックでスタイリッシュな世界観を再現できるように考えました。お菓子の箱はカラフルなものが多いので、バックを濃い目にして、なるべく作品が映えるようにしています。
また、写真でただ見せるだけではなくて、はるきるさんが工夫されている、ロゴの使い方やイラストの建物に奥行きを出す方法、成分表示で遊び心をプラスするといった、制作上のポイントについても解説しています。
プリングルズ の空箱たちで工作しました! pic.twitter.com/s1tGJaKjTw
— 空箱職人 はるきる (@02ESyRaez4VhR2l) 2018年11月17日
▲本書にも収録されている、はるきるさんの代表作「プリングルズの紳士たち」(はるきるさんのTwitterより)
――型紙付きで収録されている作品は、お菓子の箱さえあれば実際に作ることができますね。
森 本書は子どもたちの夏休みの工作に間に合うようにと、2019年7月に発売しました。後半のChapter2では、初心者用にアレンジした作品を、全プロセスカット付きで掲載しています。この5作品は小学生のお子さんでも作れるようにと難易度を下げて、はるきるさんに新たに作ってもらったものです。型紙は原寸になっているので、そのまま切って使うことができます。
道具の使い方やどうやるとしっかりきれいに接着できるかといったアドバイスも掲載していますので、参考にしていただきたいですね。
――はるきるさん自身は、設計図などは使わずに制作されているそうですね。
森 はるきるさんは普段、頭の中で構想を練って、実際に形にしつつ作品にしていくのだそうです。型紙を作るという試みもそうですが、「誰でもできる」という難易度の調整がご本人にはかえって難しかったようで(笑)、その点は苦心されていました。
その甲斐あって、どれも程よい難易度かなと思っています。小学校低学年のお子さんでも、親御さんと一緒なら楽しく作れるのではないでしょうか。
綱川 小学生が夏休みの宿題として提出したら、クラスでかぶってしまったという声もあったんですよ。
――本の発売時には30万人だったというはるきるさんのTwitterのフォロワーは、現在43万人と続々と増え続けていますね。
綱川 一つ作品をアップするたびに、数万人というペースでどんどん増えています。これまではるきるさんのことを知らなかったという方たちも、Twitterのリツイートで作品を知ってファンになり、フォロワーになっているようです。
――本書も好調に部数を重ねていますが、そういったTwitterとの相乗効果は感じていらっしゃいますか?
綱川 はるきるさんのファンの方が買ってくださるのはもちろんなのですが、むしろTwitterを見ていない小学生などには本の方が届きやすいのかなと感じています。この本の魅力が店頭で伝わる方法は何かと考えて、森と私で実物を作って、それを店頭で展示してもらったり、書店さんが自発的に作ってくださったりしています。
その作品を店頭で見て、「子どもが本を欲しがったので買いました」という感想もいただいています。
特に「くま」などは耳を変えるとうさぎになるといったアレンジも可能なので、基本の作り方をマスターしたら、ぜひオリジナルに挑戦してみてください。
▲紀伊國屋書店アミュプラザおおいた店の店頭に飾られた「くま」
――ほかに効果のあった販促方法はありましたか?
綱川 重版のたびに特典を付けています。書店さん向けには希望を募り、お菓子の「アルフォート」をご注文数に応じてセットでお送りしました。発売時から40代女性の購入者の割合が多くて、小学生くらいのお子さんがいらっしゃる方ならば、「チョコレートも付いているからすぐ作れるね」と喜ばれるのではないかと。
はるきるさんのファンに向けては、「アルフォートの空飛ぶ船」のクリアカードを作成して、これもご希望の書店さんに特典として配布しました。読者層が幅広いので、それぞれのニーズに沿った特典を今後も考えていきたいです。
▼この限定クリアカードを10名様にプレゼント。詳しくはこちらをご覧ください。▼本書にはこちらの「アルフォートで作る小さな船」の型紙を収録
――読者からはどのような感想が届いていますか?
森 読者の方からは、「もっと難しい作品が作りたい」「もっと簡単に作れるものがほしい」といろいろなご意見をいただいています。
実は私、最初にはるきるさんに「アルフォートの空飛ぶ船」の作り方を紹介したらどうなりますかと聞いたんですけれど、「一冊それで終わります」と言われてしまって(笑)。今回まずは導入編として5作品紹介したのですが、続編がもしできれば、ひとつは難しいものを掲載したいと思っています。
はるきるさんは、小さいころからNHK Eテレの工作番組「つくってあそぼ」に出演していたワクワクさんに憧れて、工作をはじめたそうです。この本で工作の魅力に出あったお子さんが将来アーティストになったらうれしいですし、次々と成長していくお子さんたちにも、毎年新たに手に取ってもらえれば素敵だなと思っています。
綱川 ご高齢の方の購入も意外と多くて、お孫さんと一緒に作っていますというおハガキもいただいています。家族みんなで楽しめるのもこの本のよいところだと思いますので、書店さんには、特に長期の休みの前の定番商品にしていただけたらうれしいですね。