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『BLUE』『レッド』などの過激な描写とメッセージ性の強い漫画で熱狂的なファンの多い漫画家・山本直樹さん。
女学生を中心に絶大な人気の詩人(?)「ペンギン」と、ペンギン宛にファンレターを届ける郵便局員、そしてペンギンに「妻になりたい」と言い寄る謎の女性「月夜の星」の奇妙な三角関係が描かれた「ファンシー」は、その独特な世界観で人気のある短編です。
本作が、廣田正興監督による独創的な脚色を施され実写映画化されました。2月7日(金)からテアトル新宿ほかで上映されています。
出演者には、永瀬正敏さんや窪田正孝さん、宇崎竜童さん、田口トモロヲさんといった実力派の役者と、本作が商業映画初出演となる気鋭の新人俳優・小西桜子さんが揃い、公開前から注目を浴びていました。
映画の公開を控えた2月4日(火)に、原宿・ベースヤードトーキョー2階にある漫画専門書店「バックヤード」で、廣田監督、山本直樹さん、小西桜子さんによるトークショーが行なわれました。
映画のカットやキャストのサイン、「ファンシー」が収録された『夕方のおともだち』がレイアウトされ、作品の世界観が作り上げられた会場の中、映画の制作裏話や立ち見を含む70人以上のファンとの交流で大いに盛り上がりました。
左から、山本直樹さん、小西桜子さん、廣田監督
トークショーの前半は、3人による映画「ファンシー」の制作裏話が中心に。
廣田監督は、小学4年生の頃に当時「スピリッツ」で連載していた『極めてかもしだ』を読んでから山本ワールドの虜に。その後「ファンシー」を読んだとき、「男と女、人生の“すべて”が詰まった作品だ」と感動したそうです。
山本さんは、「映画は廣田監督のもの」と前置きを入れつつ、「不思議な原作が、映画化されてもっと不思議になった」とコメント。
「ペンギンは実在した詩人の横瀬夜雨がモデルになっています。ファンシーな詩を書き、女学生から絶大な人気を得ていた横瀬は、生まれつき足が不自由。詩を読んで、好きになった人が現実の横瀬を見て幻滅することもあった。これは面白いと思って漫画になったのが『ファンシー』です」と、原作を解説しました。
「ペンギン」は比喩ではなく、鳥類のペンギン。
シュールな原作を実写映画にするにあたり、廣田監督は悩んだそう。「山本さんの漫画が、ペンギン役の窪田さんと重なるように撮影する」ギミックを入れ、表現しようと考えていたことも明かしました。
悩んだ末、モデルが実在する詩人ということもあり「人に戻すのもアリだな」と感じた廣田監督は、「窪田さんなら、『ペンギンやれるな』と思った」と考え、特にギミックを加えることもなく、“詩人のペンギンのフリをする可愛らしい人間”という複雑な役柄を演じてもらったと解説しました。
本作で初の映画出演となった小西さん。一番最初のオーディションを受けた帰り道に、本屋ではじめて原作を手に取り、山本さんの繊細な絵のタッチや、温度の低い世界観に美しさを感じたそうです。
「(オーディションを受けたころは)他の作品のオーディションも受け始めたころで、手探り状態でした。月夜の星は、変わっている女の子のようですが、演じてみると意外と人間らしいというか、若者らしい感情があり共感できた」とコメント。
「小西さんを見たときは“少女”だったので『どうしよう……お願いできるのかな』と思った」と、廣田監督。セックス&バイオレンスがウリの山本作品に出ることに心配があったものの、体当たりの演技と可愛らしい声にすっかりファンになった様子で、イベント中も「すごいよ! 小西さんは! 僕がファンだよ」と小西さんが思わずたじろいでしまう場面もありました。
トークショーの後半には、イベント前にファンが投稿したポエムの中から3人が選んだお気に入りの作品の発表があり、作品に出演している“詩人”の朗読がされ会場が一体となり盛り上がる場面も。トークショー後には、会場で『夕方のおともだち』を購入した人へのサイン会が行なわれ、3人はファンとの交流を楽しんでいました。