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  • ノグソ歴46年の著者がおくる!ウンコから考える新しい自然論『ウンコロジー入門』

    2020年02月09日
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    偕成社のウェブマガジン「Kaisei web」
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    とあるきっかけから、現代のウンコの処理方法への疑問を持ち、長年ウンコを自然に返す生活を続けてきた、著者の伊沢正名さん。

    自らを「糞土師(ふんどし)」とよび、これまで書籍や講演会で「野糞」の意義を伝えてきました。『ウンコロジー入門』は、その伊沢さんの奥深い研究の集大成ともいえる1冊です。

    ウンコを通して、自然との共生、そしてわたしたちの未来について考えてみませんか? 伊沢正名さんにこの本への熱い思いを伺いました!

    ウンコロジー入門
    著者:伊沢正名 小池桂一
    発売日:2020年01月
    発行所:偕成社
    価格:1,650円(税込)
    ISBNコード:9784036347506

    ──ウンコロジーという言葉について改めて教えて下さい。

    この本で使っている「ウンコロジー」は、ウンコで考えるエコロジー(生態系)という意味です。

    自然界には「食物連鎖」とよばれる「食う・食われる」の関係がありますが、その一方で「下りの食物連鎖」ともいえる「腐食連鎖」が自然の循環を支えています。

    そのキーワードである「ウンコ」が支える自然のことを書きたいと思い、この言葉を選びました。

    ──自然との共生を、ノグソというかたちではかっている伊沢さんですが、ノグソをはじめる前とあとでは、生きることの心持ちに変化がありましたか?

    これはかなり大きかったです。それまでは、自然に命を返すことなんて、ぜんぜん意識していませんでした。

    子どものころから自然が身近にあって、近所の野山で遊んだり、木の実やキノコ(チチタケ)をおやつに食べたりということをやっていました。自分が生きることの基盤が自然だったのに、中学、高校と進むうちにそこからだんだん離れてしまった。

    そうして、ついには人間不信におちいり、仙人のような生活にあこがれて、高校を中退しました。

    その後、1970年に自然保護運動をはじめるのですが、その3年後の秋に、キノコの分解力のおかげで死んだ動植物やウンコが土に還り、新たな命によみがえることを知りました。

    そして暮れ近くに、し尿処理場建設反対運動のことを知ったのです。そのころは水洗トイレも下水道も十分整備されていなかったので、汲みとり便所のウンコをバキュームカーで処理場に運んでいました。その処理場の建設予定地の近くの住民たちが、建設に反対しているというものでした。

    処理場ができれば、毎日のようにバキュームカーが行き来します。臭くて汚いからいやだ、という住民の気持ちもわかりますが、そこで処理するのは自分たちが出したウンコやオシッコです。自分で汚いウンコをしていながら、その処理は遠いところでやってくれだなんて、なんて身勝手なんだろうと憤りました。

    しかし、そういうわたし自身も、トイレにウンコをしていたのです。

    わたしのウンコは、みんなが嫌がる処理場に運ばれて、だれかに迷惑をかけながら処理されているはず。自分もその無責任な人間のひとりだということに気がついて、トイレにウンコをすることの意味について、まじめに考えるようになりました。それで、年が明けた1974年の1月1日、人知れずひっそりとノグソをはじめたのです。

    ▲伊沢さんがノグソをしている林。木の枝が立っているところが目印になっている

    ノグソをはじめたことで、それまでの人生はまるっきり変わりました。

    これまで自分が熱心に続けていた自然保護運動が、結局のところ人間中心のうわべだけのきれいごとのように見えてきましたし、もっと広い視野で、自然と共生していくために人間がすべきことについて考えなくてはと思うようになりました。

    ──長年ノグソを続ける中でいちばんの発見はなんでしょうか?

    ノグソ掘り返しの調査をやってみて、ヒトのウンコが自然の中ではどのようになるのか、その実態を知ることができました。

    それまでも、ウンコが自然に還るというのは知っていました。しかし、それはただの概念で、具体的なことはなにもわかっていなかった。

    それが、100個以上のノグソを掘り返して調べていくうちに、ウンコがどんなふうに分解されていくか、またどんな生きものがくるかということが明らかになっていったのです。

    これは、わたしひとりの発見というよりは、人類の発見といってもいいくらい。(笑)

    また、もうひとつの大きな発見だったのが、葉っぱでおしりをふく気持ちよさ。もともとは紙を使ってノグソしていたのですが、オイルショックのとき、とにかく紙をつかうのをやめようとおもって葉っぱでふくことをはじめました。

    でも、はじめてみると触りごこちのよい葉っぱというのがたくさん見つかって、あっというまに夢中になりました。これついては『葉っぱのぐそをはじめよう』(2017、山と溪谷社)という本にくわしく書いています。

    葉っぱのぐそをはじめよう
    著者:伊沢正名
    発売日:2017年01月
    発行所:山と渓谷社
    価格:1,540円(税込)
    ISBNコード:9784635500395
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