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8月28日(水)、「日本ど真ん中書店大賞2019」の受賞作が発表されました。
2017年9月に創設された「日本ど真ん中書店大賞」は、日本の“ど真ん中”である東海3県(愛知県・三重県・岐阜県)の書店員・図書館員が「東海3県の読者に、ぜひ読んでもらいたい作品」を選ぶというもの。3回目となる今回は、354名が投票に参加しました。
ジャンルは、過去1年間に刊行された文芸書から選ぶ「小説部門」、過去3年間に刊行され、舞台やタイトルなどが東海エリアに関連している作品から県ごとに1冊ずつを選ぶ「ご当地部門」の2つです。
小説部門の大賞に輝いたのは、松井玲奈さんの『カモフラージュ』。
愛知県豊橋市出身の松井さんによる、初の短編集。「小説すばる」2018年11月号で発表された小説デビュー作「拭っても、拭っても」をはじめ、“食”をテーマとした恋愛からホラーまで、バリエーション豊かな6つの物語が収録されています。
投票した書店員からは「ストーリーと心理描写に引き込まれ、読み終えたあとにさまざまな思いが心の中に生まれる」「“人を見る目”は、アイドルだからではなく彼女が持って生まれた才能のひとつだと思う」など絶賛のコメントが寄せられました。
発表会当日は受賞者の表彰が行なわれ、松井さんも登壇。会場に集まった書店員らに対し、感謝の言葉を述べました。
このような素晴らしい賞を本当にありがとうございます。
初めて書いた小説でしたが、担当の編集者さんたちにたくさん助けていただきながら、1冊書くことができました。それが書店に並んでいるのを見た時はすごく嬉しかったです。そして、今回この賞をいただけたのも、子どもの頃から本が大好きだった自分にとって嬉しい出来事です。
物書きとしては第一歩を踏み出したところですが、本離れ・読書離れが進んでいる中で1人でも多くの方に本を手に取ってもらうお力添えができるように、これから先も小説を書いたり、読書が楽しいことだと知ってもらえるように発信していきたいと思います。
『カモフラージュ』担当編集による作品ガイド:
「心の底から楽しみながら小説を書いている」と感じた
【愛知】からは、久住祐一郎さんの『三河吉田藩・お国入り道中記』が受賞しました。
豊橋市美術博物館の学芸員である久住さんが、三河吉田藩の若殿様が参勤交代をした時の詳細な記録をもとに執筆した「参勤交代のリアル」。
三河吉田藩の目付役・大嶋左源太が書き残した「御道中日記」によると、参勤交代の集合時間は「夜九時(ここのつどき)」=真夜中の0時。そこから日の出前に江戸を出発し、40キロ以上歩いて宿泊場所の戸塚に到着するのが夕方6時。つまり18時間連続勤務だったということ。
そのうえ、決まらない日程、馬に乗れない老家臣、ダブルブッキングなど、次々と沸き起こる難題に翻弄された“働く武士の実態”が明らかにされます。
【岐阜】からの受賞は、かのうゆきさんの『奇跡は段ボールの中に』。
岐阜市・柳ヶ瀬商店街の再興のために生まれたご当地キャラ「やなな」。
頭の部分がアーケードの形を模した「ダンボール」という奇抜すぎる個性から、当の柳ヶ瀬商店街にすらなかなか受け入れられなかったものの、地道なファンサービスで、ついには「ゆるキャラまつり in 彦根~キグるミさみっと2010~」で「ゆるキャラグランプリ2010」第3位を獲得するほどの人気者に。
本書は2008年に誕生してからの活躍、2013年の突然の引退までと、それからの5年間を、フィクションを織り交ぜた「物語」に仕立てた作品です。書店員からは「心折れそうになってもあきらめない気持ちにぐっときた」というコメントが寄せられました。
【三重】からの受賞は、堂場瞬一さんの『帰還』でした。
警察小説の名手として知られる堂場瞬一さんによる、三重県四日市市や津市を舞台とした長編小説です。
東日新聞四日市支局長・藤岡裕己が、工場夜景の撮影中に水路へ転落し死亡。
警察は事故死と判断したが、藤岡とともに新人時代を三重県で過ごした同期組、松浦、高本、本郷の3人は、水が大の苦手だったはずの藤岡の死亡状況に疑問を持ち、真相究明に乗り出します。
▼発表会当日、登壇した受賞者の皆さん。左から久住祐一郎さん、松井玲奈さん、堂場瞬一さん、かのうゆきさん。
今回の発表を受け、東海3県の書店店頭には、オリジナル帯のついた受賞作が並んでいます。
一部の書店では作家サイン色紙も展示されていますので、ぜひ店頭へ足を運んでみてください。
日本の“ど真ん中”東海3県の書店員・図書館員が選ぶおすすめ本「日本ど真ん中書店大賞2018」発表