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  • “裸の大将”山下清が描く岐阜の「紙の大仏」:わが店のイチオシ本(vol.29 自由書房EX髙島屋店)

    2019年08月16日
    本屋を歩く
    日販 ほんのひきだし編集部「日販通信」担当
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    全国の書店員さんが一押し本を紹介する連載「わが店のイチオシ本」。

    第29回は、岐阜市の自由書房EX髙島屋店の統括課長である渡辺建至さんにご登場いただきました。

    渡辺さんが紹介してくれたのは、“裸の大将”として知られる山下清さんの『日本ぶらりぶらり』の一節「紙の大仏」。その卓越した描写力と語り口が味わい深い、文章とスケッチで綴られた放浪記です。

    日本ぶらりぶらり
    著者:山下清
    発売日:1998年04月
    発行所:筑摩書房
    価格:748円(税込)
    ISBNコード:9784480033963

     

    「岐阜に大仏?」

    自由書房は岐阜市に店舗をかまえておりますので、岐阜に関する本をご紹介したいと思います。

    今回は、山下清の『日本ぶらりぶらり』の中の一節、「紙の大仏」を特にお薦めしたいのですが、山下清は全国津々浦々に放浪の旅をされているので、この本には皆さんがお住まいの所のことも綴られているかもしれません。

    ところで皆さんの中には、「岐阜に大仏?」と思われる方も多いと思うのですが、地元民は頑なに岐阜大仏(正法寺)が日本三大仏の一尊だと思っているのではないでしょうか(無論、三大仏がどれかというのは諸説あります)。題名に「紙の大仏」とあるように、岐阜大仏は銅造や木造ではなく、木や竹の枠組みに紙を張り付けて造られた、江戸時代の仏像です。乾漆仏としては日本一の大きさを誇ります。

    また、岐阜は意外と大仏にゆかりのある土地でもあって、奈良の大仏建立には、美濃・雄総の金丸という少年が仏師として参加し、落慶法要のときに空から降ってきた鉢を、天皇から賜ったという伝説があります。ちなみにその鉢は、今も岐阜市の護国之寺に伝わっており、国宝指定されています。同じかたちの鉢が正倉院にもありますが、それよりも作りが良いそうです。

     

    「裸の大将」の語り口による独特の読後感

    山下清というと、私はどうしてもテレビで「裸の大将」を演じた芦屋雁之助を思い出します。この本を読んでいると、どうもあの語り口とオーバーラップして、なにか微笑ましいような気になるのですが、作中には観察力や洞察力の鋭さにドキッとさせられるところが多々あります。何度読んでも飽きのこない文章で、表現し難い、独特の読後感があります。

    中身を話してしまうとその読後感が失われてしまうため、山下清が大仏について何を書いたかはここでは一切ふれませんが、もし岐阜に観光に来て、岐阜城や鵜飼だけでなく、この大仏を訪れた後に読むと、なんとも言えない気持ちになる一冊です。

    この本を薦める自分としては、著名な作家ではなく、放浪の画家・山下清がこの文章と絵を残してくれたことに感慨を覚えます。

    ◆作り手からのメッセージ◆
    4万部突破のロングセラー! 山下清、と聞くとドラマでの、ランニングに半ズボンの姿がおなじみかと思います。本書は、その愛された人間味があふれんばかりにつづられた放浪記。笑いを誘い、かつ考えさせられる文章で、現実の山下清に会えたような気がします。スーツ姿の写真も掲載!(筑摩書房 営業部 販売一課 高瀬有輝さんより)

    日本ぶらりぶらり
    著者:山下清
    発売日:1998年04月
    発行所:筑摩書房
    価格:748円(税込)
    ISBNコード:9784480033963

     

    店舗紹介

    自由書房EX髙島屋店(Tel.058-262-5661)
    〒500-8876 岐阜県岐阜市日ノ出町2-25 岐阜髙島屋9F
    ※営業時間 10:00~18:30


    (「日販通信」2019年8月号「わが店のイチオシ本」より転載)




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