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全国の書店員さんが一押し本を紹介する連載「わが店のイチオシ本」。
第23回は、静岡県清水町のショッピングモール「サントムーン柿田川」にある長倉書店 サントムーン店で文庫売り場を担当する駒澤陽子さんにご登場いただきました。
駒澤さんが紹介してくれたのは、超人気時代小説家・佐伯泰英さんの作品。「居眠り磐音 江戸双紙」の続編となる「空也十番勝負 青春篇」シリーズです。
長倉書店は、伊豆の郷土史研究家だった初代が1928年に創業した書店です。伊豆の郷土史の出版も行っています。
サントムーン店は2016年3月にオープンしました。自社の出版物も含めて、郷土の書籍や伊豆にまつわる文学を揃えたコーナーを常設するなど、伊豆の玄関口にふさわしい棚作りが特色の一つです。伊豆の郷土史に関しては日本一だと自負しています。
ポイントカード、ブックカバーは、三島市在住の絵本作家えがしらみちこさんによる、温かみのある可愛らしいデザイン。地域の方のライフスタイルを楽しく豊かにする本を一冊でも多く紹介していきたいと思っています。
私は当店で文庫の担当をしています。文庫担当になったのと同じ頃、愛読していた佐伯泰英さんの「居眠り磐音 江戸双紙」シリーズが完結を迎えました。
磐音が長い戦いを終えて、平和な日々を過ごせることに安堵しつつも、完結したことで寂しさを覚えるファンは、私だけではなかったと思います。
今回ご紹介する本は、その続編となる「空也十番勝負 青春篇」シリーズです。
磐音の嫡男である空也の青春シリーズ開始を知ったときは、私自身、発売日が待ち遠しくてワクワクしました。そして上下巻の大作、一番勝負『声なき蟬』発売時には、新刊台に平積みし、佐伯先生の既刊本を時代小説コーナーの入口に大きく展開しました。
この「青春篇」シリーズでは、16歳の空也が武者修行の旅に出ます。向かった先は他国者を受け入れない薩摩。国境を支配する無法集団の外城衆徒に阻まれ、生死を彷徨う苦難を乗り越えて、心も身体も成長していくという物語です。
空也は名を捨て己に無言の行を課すことで剣の腕を上げるだけでなく、精神的にも強く逞しい青年に成長していきます。
私は息子の成長を見守る母のような気持ちで読み進めているので、下巻の第一章で空也の生存が確認できたときには安堵し、眉月との淡い恋にはドキドキしたものでした。
薩摩の東郷示現流・酒匂一派との因縁に決着をつけることでシリーズは完結しましたが、空也のその後をまだまだ知りたい、応援したいと、さらに続編を期待してしまう作品です。
◆作り手からのメッセージ◆
シリーズ累計220万部を突破した「空也十番勝負」ですが、前シリーズの「居眠り磐音 江戸双紙」とは違った魅力があります。まず、主人公・空也は若く純粋で、誰もが彼の武者修行を見守りたくなる。そして、「居眠り磐音」は51巻と長大なシリーズですが、こちらは7巻で青春篇完結。佐伯作品の「入門編」としてもお薦めです!(双葉社 文芸出版部 森 広太さんより)
長倉書店サントムーン店(Tel.055-960-7883)
〒411-0907 静岡県駿東郡清水町58-1 サントムーン柿田川アネックス3F
※営業時間 10:00~21:00
(「日販通信」2019年2月号「わが店のイチオシ本」より転載)