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出版不況が叫ばれるようになって約20年。「本を売る」ということについては、最前線の書店員さんたちをはじめ、それを生業とする人や、本や書店を愛する人々の間でずっと議論されてきました。
そんななか〈企画・発想のプロ〉と〈本のプロ〉とともに、参加者が「本の新しい売り方」を考えるワークショップが4月10日(火)に開催(主催:有限会社PREGIO)。〈企画・発想のプロ〉である高橋晋平さんの著書『企画のメモ技(テク)』(あさ出版刊)のメソッドを使って、業界の枠を越えた約50名の参加者が「本の新しい売り方」を考えました。
アイデアが枯れない企画メソッドを編み出したおもちゃクリエイター
『企画のメモ技』著者・高橋晋平さん(㈱ウサギ)
数々の本をベストセラー・ロングセラーに育ててきたカリスマ書店員
“仕掛け番長”栗俣力也さん
本のプロデューサーとして十数年にわたり数々の書籍を手がけてきた
コンセプトワークス㈱ 天田幸宏さん
まずは“仕掛け番長”の栗俣さん(写真左)から。
栗俣さんは「書店店頭=現場で得られる情報」と「所属している書店チェーンの持つビッグデータから得る情報」の2軸で企画を考えるようにしているのだそうです。
これまでに実現させた企画の一部を紹介すると……
漫画家が書店店頭で生執筆!
水着ギャルに囲まれても原稿は描けるのか?
VR×Web漫画「耳で読む漫画」をYouTuberが体験!
オトナ世代の人気作を若者へ届ける!
東野圭吾作品の表紙を「ラノベ風」に
投票すると推しキャラのサインがもらえる!
「少女漫画イケメンコンテスト」
以上のように栗俣さんは「ライブドローイング」「VR」「YouTuber」「ライトノベル」「ファンビジネス」などの世の中のトレンドを応用して、いち早く書店店頭に導入しています。
また「新刊の賞味期限は2か月(=入れ替えなければ売れない)」という業界の通説を逆手に取って「1冊の本をひたすらおすすめし続ける」ということにも挑戦し、最終的に1店舗だけで1万冊を売り上げたこともあるそうです。
一方の天田さん(写真右)は、本の企画や出版社への売り込み、著者イベントのコーディネートを通して
・興味や流行が移ろいゆくなか、その本を最後まで愛するのは“著者”である
・自分の著書を愛する書き手には根強いファンがつく
・本は講演会・セミナーといった“現場”で最も売れる
という知見を得たのだそう。
また無名の著者が多いなかで、その魅力を出版社に理解してもらうためには「とがった部分」を作ることが重要だとし、縦軸に“対象”、横軸に“特殊性”を置いたポジショニングの考え方を解説。
たとえば「キャビンアテンダント」ではなく「バスガイド」、「ユダヤ人大富豪」ではなく「華僑」、「銀座」ではなく「歌舞伎町」など、流行の主流からずらしたポジションを取った企画の事例を紹介しました。
『企画のメモ技』で紹介されている企画の考え方は、ざっくりいうと下記の3ステップ。
・材料となる欲望を集める=「ネタのメモ」
・お題×欲望の「かけ合わせメモ」でアイデアを量産する
・ 売れる企画にするために「三角メモ」でブラッシュアップする
今回は体験ということもあり、①自分の“欲望”を書き出して ②「本の売り方」に応用する という2ステップで考えていきます。
ちなみに慣れないうちは、【ステップ1】の時点でつまづくことも多いのだそう。「いきなり欲望を書き出せと言われても……」と詰まってしまったときは、「仕事帰りにどんなことを考えているか」「小学生のときにハマっていたものは?」などのように、〈場所〉や〈時間〉を限定して考えてみるといいそうです。
たとえば「眠りたい」などのようなありふれた欲望も、「いつ、どんな時に強くそう思うか?」と絞ってみることで自分事に落とし込むことができます。