'); }else{ document.write(''); } //-->
全国の書店員さんが担当ジャンルの一押し本を紹介する連載「わが店のイチオシ本」。
第6回は、長野県伊那市にあるニシザワBOOKS&CAFE いなっせ店で地元出版物を担当する書店員さんのおすすめ本『新版 信州の山』です。
長野県南部に位置する伊那谷は、水と緑の豊かな自然に恵まれています。とりわけ3000メートル級の山の連なる南アルプス・中央アルプスは目を見張る美しさです。
県内の出版社からは自然・歴史・文学、さらには郷土食や趣味など多岐にわたった本が出版されており、ニシザワBOOKS&CAFE いなっせ店では、そんな地元の出版物をたくさん取り扱っています。私は、当店で地元出版物を担当して6年目になります。地元の本に興味をもってご来店いただくお客様が大勢いらっしゃることを、とてもうれしく感じています。
今回ご紹介するのは、地元ならではの山岳ガイド『新版 信州の山』です。
このシリーズは2013年に『信州の山』として長野県を二分割して2冊発売されていた商品です。しかし、2冊では里山を伝えきれないという著者の宮坂七郎さんの思いから、新版として3冊に分けて発売されることとなりました。今年5月に発売された『新版 信州の山 南部』が1冊目で、今後あと2冊発売予定です。マイナーな里山を含め、県内のほとんど全ての山が3冊にわたって紹介されます。
『信州の山』に里山が収録されているのは、「高い山だけでなく、里山にも登ってほしい」という宮坂さんの思いからです。宮坂さんによると、里山にこそその土地の歴史があり、文化があり、触れるべきものが近くに点在しているのだそう。そのため、「ぜひ余裕をもった行程で里山歩きを楽しんでいただきたい」とも宮坂さんは話されていました。
この本では、宮坂さんがご自分で登った山が紹介されています。地図は全てイラストと手書き文字で温かみのある絵地図に仕上がっていますが、そこは山地図。いかに登山者が迷わず、安全に登って降りてこられるかを第一に考えて、正確に描かれています。
当店では、『信州山歩き地図(全4巻)』(信濃毎日新聞社)や『山怪』(山と溪谷社)などの書籍とあわせて山の関連本コーナーでご案内しています。また地元の本のコーナーや、レジ近くの平台でも展開しています。
『新版 信州の山』をお買い求めになるのは、実際に登山をされる方ばかりとは限りません。あるお客様は「登山経験はないけれど、この本を見て山に登っている気分を味わった」とおっしゃっていました。また県外のお客様は山の好きな方へお土産として選ばれていたりと、楽しみ方もさまざまなようです。
家族や友人とゆっくり里山を散策するのに良い季節になりました。歩いてこそ気付く草花、ひっそりと建つ碑に刻まれた句、里山で出会う地元の方の使う言葉を楽しまれてはいかがでしょうか。もっと知りたくなったら、書店の地元出版物コーナーへお越しください。お客様と本との橋渡しが出来れば、私は一番うれしいです。
◆作り手からのメッセージ◆
長野県の山に関するガイド本は星の数ほど発行されていますが、本書のような「絵地図」登山ガイドは稀です。読者の目を惹く美しい写真も無く、ただひたすら登山者が本当に必要とする情報をこれでもかという程掲載してあります。そして地図上で山と認識されている山はほとんど載っています。是非手に取ってご覧ください。(信毎書籍出版センター 小山義広さんより)
ニシザワBOOKS&CAFE いなっせ店(Tel.0265-77-2255)
〒396-0025 長野県伊那市荒井3500-1 いなっせ1F
※営業時間 10:00~21:00
(「日販通信」2017年9月号「わが店のイチオシ本」より転載)