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愛書家の集う街にある本屋、スタイリッシュな本屋、わざわざ足を運びたい独立系本屋……。
新刊書店から古本屋、ブックカフェまで、幅広く“本屋”を紹介するガイドブック『東京 わざわざ行きたい街の本屋さん』が、6月20日(火)に発売されます。
著者は、本屋をもっと楽しむポータルサイト「BOOKSHOP LOVER」の和氣正幸さん。サラリーマン時代に「BOOKSHOP LOVER」の前身となるブログ「本と私の世界」を立ち上げ、異業種で働きながら、魅力的な本屋の数々を紹介してきました。現在は独立し、ライターとしてWebや雑誌に執筆しながら、イベントの企画・運営なども行なっています。
今回は『東京 わざわざ行きたい街の本屋さん』の内容を紹介しつつ、和氣さんが本書に込めた思いや、人物像にも迫ります。
『東京 わざわざ行きたい街の本屋さん』に紹介されているのは、なんと約130店。東京に住んでいる方も、必ず“初めての本屋”に出合えるガイドブックとなっています。
本書では、一部を除きこれらの書店を実際に取材して、「好奇心の街」「文化の街」など、テーマをもたせエリア別に紹介。1つのテーマにつき3エリアほどが紹介されており、それぞれは電車で移動することも、歩いて移動することもできるようになっています。
『東京 わざわざ行きたい街の本屋さん』のこだわりは、持ち歩くことを想定した実用的なつくりになっていることです。
まず、開きがよくて重くない。本屋の位置を地図に落とし込んであり、お店はすべて外観写真を掲載、目印になるものや最寄り駅の出口も紹介しています。オールカラーなので、ちょっとわかりにくいところにあるお店でも安心です。
●見どころ紹介
本屋さんの基本情報には、掲載サイズは小さいのですが必ず外観写真と、目印になるものや道順を紹介しています(データ一番下)。駅から遠かったり、なかなか見つけづらい場所にある本屋さんも多いので、ぜひ本書片手にめぐっていただきたいです。見つけた時の喜びはひとしおです。 pic.twitter.com/WcHD5yLYt6— わざわざ行きたい街の本屋さん (@machihon0616) 2017年6月7日
書店の紹介は、ジャンルを示すアイコン付き。新刊書店か古本屋か、それともカフェなのか、さらにはイベント開催の有無までわかるので、どんな順番でお店を見に行くか、何時頃に出発するかなど、計画が立てやすいよう工夫されています。
●本書の見どころ紹介
住所などの基本情報の他に、本屋さんの様々なデータを掲載しています。面白いのが「SHOP NAME」。普段、教えてもらう機会がない「屋号の意味」ですが、様々な思いが込められており、それがお店作りにも関係しているのだから思わず納得、というものがたくさんあります。 pic.twitter.com/duln316alS— わざわざ行きたい街の本屋さん (@machihon0616) 2017年6月6日
そしてコラムページでは、店舗を持たない“エア本屋”や、移動式の本屋、無人の本屋など、珍しい業態で営業している本屋も紹介。
「お店があって、店員さんがいる」という従来のイメージをくつがえすこれらの本屋は、きっとあなたをもっと本屋好き・本好きにさせるはずです。
――和氣さんは最初は、サラリーマンとして働きながらブログで“本屋の魅力”を発信されてきたんですよね。
「本に囲まれた仕事をしたい」ということは、小さい頃から漠然と思っていました。就職するまでは臨床心理士を目指していましたが、いろいろあって就職することになり、あらためて自分のやりたいことを考えていったところ、「本屋をやろう」と思うようになりました。でも、自分がやりたいような小さな本屋の情報がネット上にも少なくて。それなら自分で調査しようと思って始めたのが、BOOKSHOP LOVERの前身となる「本と私の世界」です。
そうやって細々とブログを更新していたあるとき、朝日新聞(大阪版)の「あのブロガーに会いたい!」というコラムに掲載していただくことになり、その記事にスタンダードブックストア社長の中川和彦さんが目を留めてくださったんです。「本屋の社長さんが、自分の記事を読んで喜んでくださった」という経験から、情報発信の面白さを実感しました。
スタンダードブックストア心斎橋は今でも一番好きな本屋で、店舗の広さや品揃え、陳列方法、カフェメニュー、イベント、どれを取っても「こんなことをやってみたい」と思わせる本屋でした。一言で表すと「自由な本屋」でしょうか。
もしかしたら、中川さんとの出会いがなければ、いまのBOOKSHOP LOVERはなかったかもしれないと思っています。
ちなみに僕個人の“本屋の原体験”を話すと、本書でも取り上げた「伊野尾書店」がそうです。幼少時から通っており、小学校時代にお小遣いで『ドラゴンクエスト列伝 ロトの紋章』(スクウェア・エニックス)を初めて買ったことを今でも覚えています。
――和氣さんの思う“本屋の魅力”って、何でしょう。
色々ありますが、あえて挙げるとするならば「知らないことが多いことを教えてくれるから」と「好きな人が多いから」です。
本屋は「自分の知らないことがこんなにもあるのか」と、いつでも新鮮な気持ちにさせてくれます。『捨てられないTシャツ』『本の未来を探す旅 ソウル』『宇宙物理学』『シリアからの叫び』『マンガでわかる大人のADHDコントロールガイド』『彗星パンスペルミア』などなど、自分の知識を深めてくれるものから、まったく知らない知識を拡張してくれるものまで、タイトルを見ているだけでワクワクしてきます。僕にとって本屋は、「好奇心を満たしてくれる」というよりも「好奇心に火を点けてくれる」場所ですね。
――「好きな人が多い」というのはどういうことでしょうか?
不思議なんですが、話したりしていて「いい人だな」と思う方は、本屋さんであることが多いんです。なので、よく行く本屋は知り合いの営む本屋であることが多いですね。
「知らないことが多いことを教えてくれる」「好きな人がいる」。この2つが満たされる場所が、独立系の本屋だと思っています。
――「BOOKSHOP LOVER」を続けてこられて、新しいところだと年に30~40軒、行ったこともあるお店を含めれば、数え切れないほど本屋さんに足を運んでいらっしゃると伺いました。都内の書店を探訪するなかで、印象的だったことを教えてください。
雰囲気が近しい本屋の店主は、その思いにも近い部分が多かったことが印象的でした。聞いてみると修行していた本屋が同じだったりして、本屋の“系譜”のようなものが見えてきたのも面白かったです。
――東京以外のお店ではいかがですか?
台北の本屋さんが印象に残っていますね。特に「田園城市風格書店」は出版社でもある本屋で、発行する本のセンスや品揃えなどが素晴らしい本屋でした。台北の街自体に独特の熱気があって、歩いているだけでも楽しいので、もう一度行ってみたいです。
――BOOKSHOP LOVERは「本屋になりたい」という思いから始められたと伺っています。このことについて、現在考えていらっしゃることを教えていただきたいです。
「本屋になりたい」と思ってこの活動を始めましたが、各地の多種多様な本屋を見たり出版関係の方々にお会いしたりしているうちに、「本を売って生活する」だけが本屋ではないのではと思うようになりました。内沼晋太郎さんの『本の逆襲』の感覚に近いと思います。つまり、「本を扱っていれば本屋なんだ」と思うようになったということですね。そういう意味では、僕はすでに本屋だと。
もちろん現在でも「本を売る場所を経営してみたい」という気持ちはありますが、どちらかというと今までのBOOKOSHOP LOVERの活動を考えても、「本屋に関する情報のプラットフォーム」になりたいと思うようになっています。そうなることで、本屋好き・本好きの数を増やしていきたいなと。まだまだ力不足ではありますが、その点を頑張っていきたいですね。
6月23日(金)、『東京 わざわざ行きたい街の本屋さん』の出版を記念して、「旅の本屋のまど」でトークイベントが行なわれます。
テーマは「街と本屋」。当日は旅の本屋のまど、今野書店、古書音羽館の方々が登場し、和氣さんが「西荻窪にはなぜこんなに、小さくても魅力的な本屋さんが多いのか」「西荻窪ってどんな街?」「本屋以外でおすすめのお店は?」などさまざまな質問を投げかけ、本屋も含めた“西荻窪”という街の魅力に迫ります。
出版記念イベント「本屋に聴きたい西荻窪に小さい本屋が多い理由」
http://bookshop-lover-02.peatix.com/
●愛書家が集う「本の街」
荻窪・西荻窪、谷中・根津・千駄木、下北沢
Title、6次元、古書 音羽館、往来堂書店、古書ほうろう、ひるねこBOOKS、本屋 B&B、ヴィレッジヴァンガード下北沢店ほか●個性的な本屋に出合える「好奇心の街」
高円寺・阿佐ヶ谷・中野、吉祥寺・三鷹、清澄白河、神保町など
アール座読書館、コクテイル書房、BOOKS ルーエ、古本よみた屋、しまぶっく、アニメイト池袋本店、東京堂書店神田神保町店、にゃんこ堂、書泉グランデほか●スタイリッシュな本屋が並ぶ「文化の街」
表参道、明治神宮前、渋谷、恵比寿ほか
山陽堂書店、クレヨンハウス、青山ブックセンター本店、UTRECHT、COW BOOKSほか●わざわざ足を運びたい独立系本屋
新宿、神楽坂、銀座・有楽町ほか
模索舎、神楽坂モノガタリ、森岡書店 銀座店、教文館、SNOW SHOBELING、胡桃堂書
店、本とコーヒーtegamishaほか●コラム
移動する本屋さん BOOK TRUCK
架空の本屋さん いか文庫
無人の本屋さん BOOK ROAD
代官山蔦屋書店ほか