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全国の書店員さんが、担当ジャンルの一押し本を紹介する連載「わが店のイチオシ本」。
第3回は、東京・表参道にある青山ブックセンター本店でファッション書売場を担当する渡慶次(とけし)真矢さんです。ファッションの街ならでは、「美容業界で知らない人はいない」とも言われる、ある女性美容師の生涯を描いたノンフィクションを紹介していただきました。
「ABC(エービーシー)」。それは多くのお客様から呼んでいただいている当店の愛称です。私はこの呼び名が結構気に入っています。青山のA、ブックのB、センターのCの頭文字をとってABCです。
青山ブックセンター本店は、ハイブランドのショップや、美容室、デザイン・建築設計事務所に囲まれた渋谷・表参道エリアにあります。通りから奥に入ったビルの地下という、とても分かりにくい場所にあるにもかかわらず、大変ありがたいことに当店を目指して足を運んでくださるお客様が多いです。
お客様は本好きでクリエイティブな方が多く、デザイナーの方が資料を探されたり、美容師さんがヘアカタログやファッション誌を購入しにいらっしゃったりします。
そんな個性のある書店で、私が担当しているファッションのジャンルからおすすめするのは、アタシ社から刊行された『道を継ぐ』。発売前からお問い合わせの多かった本書は、今は亡き美容師のカリスマ・鈴木三枝子さんの評伝です。
『道を継ぐ』は、業界関係者200名の証言から浮かび上がる鈴木さんの人物像、そして今でも業界を問わずトッププレイヤーに目標とされるその生き様を、ご本人と関わりのあった佐藤友美さんが徹底取材して書き上げた一冊です。
この本からは、著者の語り口も勿論もちろんですが、装丁や本が出来上がった過程も含めて、本そのものに熱が感じられます。鈴木三枝子さんという方に実際にお会いしたことはありませんが、きっと素晴らしい方だったに違いありません。なぜなら、今でも多くの人に影響を与え続けているからです(美容師ではない私ですら感銘を受けました)。
著者の佐藤友美さんには、前作『女の運命は髪で変わる』刊行の際に、当店のトークイベントに出演していただきました。佐藤さんに限らず著者が直接来店してくださる機会は多く、そのような環境にあるのはとても恵まれていることだと嬉しく感じています。
店頭では現在、『道を継ぐ』を前作と並べて展開するとともに、入口のおすすめ新刊台でも目立つように平積みしています。あわせてツイッターなどのSNSでも情報発信し、少しでもお客様の目に留まるように心がけています。
駅から離れていて場所も分かりづらい当店ですが、お客様にとって、オアシスのような存在の書店になれたらとても素敵だなと思います。
利便性に優れた勝手のよい書店とはまた違う魅力を放つ書店、「わざわざ」行く価値のある書店を目指し、立地やお店の個性も含め、ABCを好きになってくれるお客様を少しずつでも増やしていけたらと、スタッフ一同、日々試行錯誤しています。
私は、本には読む楽しみだけではなく、「人を繋ぐ」素晴らしい力があると信じています。
◆作り手からのメッセージ◆
発売1週間で重版決定! ヘアライター佐藤友美が1人の美容師の生涯を徹底取材して作り上げた圧倒的ノンフィクションの最新刊。49歳でその生涯を閉じた伝説の美容師・鈴木三枝子。いまなお美容師のみならず、多くの人に強烈な影響を与え続ける彼女の「生き方」とは?(アタシ社 代表社員/髪とアタシ編集長 ミネシンゴさんより)
青山ブックセンター本店(Tel.03-5485-5511)
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山ガーデンフロアB2F
※営業時間 10:00~22:00
(「日販通信」2017年6月号「わが店のイチオシ本」より転載)