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全国の書店員さんが担当ジャンルの一押し本を紹介する連載「わが店のイチオシ本」。
第2回は、千葉市にあるときわ書房千城台(ちしろだい)店の片山恭子さんがおすすめする『九十歳。何がめでたい』です。
ときわ書房は、千葉県の船橋本店を拠点とし、現在千葉県内・都内に10店舗を展開しています。
私の勤める千城台店があるのは、千葉都市モノレールの終点・千城台駅直結の「ラパーク千城台」の3階。近隣には加曽利貝塚や、レッサーパンダの風太くんで有名な千葉市動物公園があります。1995年に開店し、昨夏12年ぶりにリニューアルを行いました。
当店では大型書店に行かずとも、ここで商品が手に入るという品揃えを長年心がけてきました。そうした中で、当店だけが突出して売れる本もこれまでに多々あり、出版社から「なぜこの規模のお店で、こんなに売れているのか」とお問い合わせをいただくことがあります。
『九十歳。何がめでたい』は、週刊誌「女性セブン」の連載が単行本として発売されてすぐに、全国的なベストセラーとなりました。ときわ書房のチェーン内では当店が突出して売り続けており、現在月平均で30冊から40冊ペースの売上で推移しています。
「一話だけ」と立ち読みのつもりが、ページを捲る手を止められず、「これは家に帰ってじっくり読もう」ということで購入に至る率が高いのが特徴です。また、佐藤愛子さんの最近のお姿に勇気づけられて、入院されている方へのお見舞いなどにこの本を選ぶ方も多く、最近は若い方が買って行かれる姿もよく見かけます。
数年前に、私が通勤で利用する自宅最寄り駅の高架下に保育園ができました。「出勤時に聞こえる子どもたちの歌声に和む」という話を75歳の母にすると、「電車の真下で難儀な世の中だ」と言われました。そうした自分自身の一面的な視点の迂闊さや、多様な見方をすることの大切さに、この本を読むと改めて気付かされます。
「ふりかかった不幸災難は、自分の力でふり払うのが人生修行というものだ。(中略)したくないこと、出来そうもないと思うことでも、力をふり絞ってブチ当たれば人間力というものが養われて行く。」
「こんな風に“喝”を入れてくれる人が昔はたくさんいたなあ」と、しばし遠い目になります。ユーモアに溢れたこの本は、あらゆる世代の人々がともに生きていくために必要とされ、この先もずっと長く売れ続ける力を持つと信じています。
「おいおい、これはただのエッセイだよ……」と愛子先生なら仰りそうですが。
◆作り手からのメッセージ◆
届いた読者ハガキは、下は9歳(!)から上は99歳(!)まで約8000通。限られたスペースにビッシリと共感や絶賛の声を書いてくださっているものがほとんどです。大病を患ったり、大切な人を喪った失意の中でこの本と出会い、励まされた、元気になった、思わず笑ってしまったといった感想も多く、「本の力」「本の素晴らしさ」を改めて感じています。(小学館 女性セブン編集部兼書籍企画室 橘髙真也さんより)
ときわ書房 千城台店(Tel.043-236-5611)
〒264-0005 千葉県千葉市若葉区千城台北3-21-1 ラパーク千城台3F
※営業時間 10:00~20:00
(「日販通信」2017年5月号「わが店のイチオシ本」より転載)