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  • 「#tanka」あなたにぴったりの「31音」をガチャガチャで。短歌を集めた読者参加型の書店フェア

    2022年09月01日
    本屋を歩く
    ほんのひきだし編集部
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    本社屋の改装に伴い、2022年6月から東京・小川町の仮店舗で営業している三省堂書店神保町本店。書店の顔となる1階では、「短歌を贈る~わたしのこころを動かした、31文字の世界~」と題したフェアが開催されています。

    本フェアは、短歌との偶然の出合いを企図したもの。地下1階から6階、エレベーター内など各所に短歌が掲示されているほか、「一首」が書かれた紙の入ったカプセルが出るガチャガチャや、それに関連する歌集が並んでいます。

    さらに読者から「本」をテーマにした短歌を募集し、寄せられた短歌を店内に掲示。SNS上では「#短歌を贈る」「#わたしのこころを動かした31文字の世界 」のハッシュタグを使うなど、読者参加型のフェアとなっています。

    「ほんのひきだし」では、この短歌との出合いを演出した三省堂書店神保町本店の店長・杉浦正人さんと、同店員・纐纈(こうけつ)さんに、本フェアの実施に至った経緯を伺いました。

     

    「流行っている」からではなく、「好きだから」

    ――「短歌を贈る~わたしのこころを動かした、31文字の世界~」がスタートしたきっかけはなんだったのでしょうか。

    纐纈 杉浦店長との、立ち話がきっかけですね。「仮店舗のオープンにあたって1階のフェア台が空いている時期があるけど、何か面白いフェアはないかな」と。私は雑誌担当なのですが、文芸担当の店長とはこの企画の前から好きな歌人の話をしていました。

    杉浦 彼女は、神保町本店の閉店企画「本みくじ」もやっていたので、「何か面白いアイデアはないかな」と思って話をしました。

    ――「#tanka」のハッシュタグが付いた投稿がTwitterやInstagramで上がったりと、若い世代を中心に短歌が流行っている印象もあります。

    纐纈 そうですね。ただこのフェアについては「流行っているからやりたかった」というより、単純に私自身が「短歌がとても好きだから」というのが一番の動機です。話をいただいた時は、「是非やらせてください!」といった気持ちでした(笑)。

    杉浦 選んだ歌集は、彼女の好みが強く反映されています。ジャンルとしては現代短歌が多く、SNSで発信している歌人の方もいらっしゃいます。ファンの方が来てくれたらな、と。また、来店のきっかけにもなるのではないかと、他の書店さんにはあまり置いていないような歌集も選びました。

    ――仕掛けの1つである「短歌ガチャ」は、企画当初から考えていたことなのでしょうか。

    杉浦 「ガチャガチャから短歌が出たら面白いね」というのは当初から考えていました。

    今回の仕掛けでは、ガチャガチャを回した人が、その歌が収録されている歌集を手に取る、といった動線作りを意識しました。ガチャガチャを引いて終わり、読まない、なんてことはないと思うので(笑)。

    纐纈 短歌は一首でも読んでもらえれば、その歌集の雰囲気や今の自分に合っているかどうかが、わかってもらえると思っています。ただ、歌集が置かれている棚に足を運んで、そして手に取ってもらうには、元々短歌が好きな人でないと少々ハードルが高い。そこを“ガチャを回して”もらって、少しでも手に取ってもらいたいと思っていました。

    ありがたいことに、老若男女問わず、多くの人にガチャガチャを回していただいています。当たった短歌を読んで爆笑している人などを見ると、思った以上に刺さった方もいたようで……。いろんな人に楽しんでもらえているなと、とても嬉しく思います。

    ――ガチャガチャはどのくらい回るのでしょうか。

    纐纈 1週間に約400回は回っていますね。内訳としては土日に200回、平日に200回ほど。毎日補充が必要なくらい回していただいています。

    杉浦 「自分が短歌をすごい好きなので手に取って欲しい!」という彼女の熱量がこの企画に至ったのだと思います。そうじゃないと、管理がずさんになったり、滅茶苦茶細かい発注もできないですしね(笑)。

    ――「他の店で真似ようとしても、纐纈さんみたいな熱量がないと成功しないよ!」と、三省堂の別の書店員さんに言われたところでした(笑)。

    本フェアを担当した纐纈さんと、メンテナンスが行き届いたフェア棚。棚にかかったボードには、フェア展開中毎日更新される短歌が掲示されます。隣の棚には、別の担当者による「詩」のフェアも。

    ――本フェアを実施するにあたって、苦労した点はありますか?

    纐纈 建物内に掲示している短歌や、企画概要のボードなどの拡材にはこだわりました。社内のデザイナーと、「こんな感じで」「いやいや、こんな感じで」とやり取りを重ねましたね。カプセル内の短歌の紙質も試行錯誤しました。最初は和紙っぽい材質にしていたんですけど、結構な値段がして……。多くの人がガチャガチャを回していただいたことで、費用の面でかさんでしまったので材質を見直しました(笑)。

    通常のフェアよりもいろんなことをしているので、やらなければいけないことはたくさんあるのですが、いろんな方に支えられていることもあって苦労はあまり感じていないです。

    杉浦 彼女も常に現場にいるわけではないので、ほかのメンバーと協力しながらやっています。メンバーも「纐纈さんが頑張っているから!」とポジティブな雰囲気が醸成されました。

    纐纈 本店の時よりも規模が小さくなったことで、個人の顔がわかるようになりました。それによってチームとしてのつながりが強くなったのかもしれません。

    纐纈 また、出品いただいた出版社様や作家の方にも多大なお力添えをいただきました。一部の出版社様には、拡材の校正もしていただいたり……。作家の方からも、「ぜひつかってください」とコメントをいただきました。SNS上でも本フェアを紹介いただいたことで、それぞれのファンの方にもリーチすることができました。

    ――ガチャをきっかけに短歌と出合った人だけでなく、元々短歌が好きな人にも楽しんでもらえたフェアになったんですね。本フェアはいつまで実施されるのでしょうか。

    纐纈 9月11日(日)まで実施しています。まだまだ多くの方に素敵な短歌と出合っていただきたいと思っています。

    ――本日はお時間をいただきありがとうございました!




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