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書店から発信する「フードロス削減」:「ONE ECO PROJECT」×「KURADASHI」でエコ活動を身近に

2022年4月にスタートした、出版業界が取り組むべきエコ活動を企画・支援する「ONE ECO PROJECT」。コミック、絵本、小説、雑誌など、魅力あるコンテンツを通じて“エコがより身近なものになること“を目的としています。

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“エコをより身近なものに” 出版業界ならではのエコ活動を発信する「ONE ECO PROJECT」

ONE ECO PROJECTでは、“書店からはじまるエコ活動”の一環として「フードロス削減」に着目。2022年4月より株式会社クラダシと連携し、書店店頭での取り組みを本格始動しています。

SDGsにおいても、「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる」というターゲットが掲げられている通り、「フードロス削減」は一人ひとりが内容を理解して取り組むべき、重要なテーマの一つであると考えています。

こういった社会課題に対しクラダシは、食品の賞味期限の切迫や季節商品、パッケージの汚れやキズ、自然災害による被害などを要因として、消費可能でありながら通常の流通ルートでの販売が困難になっている食品を買い取り、社会貢献型ショッピングサイト「KURADASHI」で販売することで「フードロス削減」を推進しています。

ONE ECO PROJECTはクラダシと連携することで、書店店頭から「フードロス削減」のメッセージを発信することに取り組んでいます。「KURADASHI」で取り扱っている食品を、ONE ECO PROJECTに賛同いただいたお取引書店様の店頭で実際に販売するだけでなく、並列販売する関連書籍・雑誌を通じて「フードロス削減」に関する知識・情報を提供していきます。

現在あゆみBOOKS仙台一番町店(宮城県仙台市)、リブロ南町田グランベリーパーク店(東京都町田市)にて、「ONE ECO PROJECT」×「KURADASHI」の店頭展開を実施しており、今後も順次導入店を拡大してまいります。

 

〈「KURADASHI」とは〉

フードロス削減への賛同メーカーより協賛価格で提供を受けた商品を最大97%OFFでお客様へ販売し、売上の一部を社会貢献活動団体へと寄付する日本初・最大級の社会貢献型ショッピングサイトです。環境保護や動物保護の団体、クラダシ基金など、さまざまな社会貢献団体を支援しています。

「もったいないを価値へ」をモットーに、廃棄される商品に新たな価値をつけて再流通させるために、「1・5次流通」という通常の流通ルートを毀損しない全く新しいサービスを提供しています。

「KURADASHI」公式サイトはこちら

 

店頭展開の様子と書店様の声

①書店ならではの発信で、息の長い取り組みに

リブロプラス 商品部 文具雑貨グループ 雑貨チーム 葛野あずさ氏
※所属は取材当時(2022年6月)のものです。

――「KURADASHI」コーナーを導入された理由について教えてください。

書籍外で長期展開できる商材を探していたところ、日販より提案をもらい、「書店から発信するフードロス削減」というテーマに共感しました。また、書店は地域から支持されることが不可欠であり、この取り組みを通してお客様にとっても価値のある場となれるよう発信ができると考えたからです。

――展開において工夫されている点はどのようなところでしょうか。

目につきやすく、誰でも気軽に手に取りやすい場所に展開しています。また店頭に注目商品を置くことで、商品自体の魅力もアピールできるよう工夫しました。

BOOKと併売することでKURADASHIの取り組みの意義を知ってもらうこともポイントです。「フードロス削減」のパネルやPOPを多く置くことで、KURADASHIへの興味・関心を喚起したり、積極的に地元メディアなどに露出することで認知を高めたりしています。

また、当チェーンでは各地のフードバンク(※)と提携することで、賞味期限が近い商品を活用してもらい、店舗での商品廃棄ゼロで運用を行っています。

(※)※フードバンク=安全に食べられるのに包装の破損や過剰在庫、印字ミスなどの理由で、流通に出すことができない食品を企業などから寄贈してもらい、必要としている施設や団体、困窮世帯に無償で提供する活動

▲注目商品が目に入りやすいよう、立体的に展開。近くの棚でSDGs関連の書籍もあわせて展開し、コーナーとしての発信力を高めている

▲クラダシコーナーと「本袋」を並べて展開することで、よりエコへの取り組みが際立つ店頭に(リブロ南町田グランベリーパーク店)


――店頭展開において課題と考えていらっしゃることはありますか。

補充発注を行ってから店着までに、10日程度と時間がかかることです。賞味期限が近くなり棚から外す場合、補充のタイミングが合わないと棚が空いてしまうことがあります。また当社のレジオペレーション上、商品すべてに本体価格をラベラーで貼り付けなければならないのですが、商品量が多いためその作業に時間がかかっています。またセール商品に貼る値引きシールについても同様ですね。

――おもな購買層や販売傾向を教えてください。

購買層は幅広く、日中はご年配の方、夕方以降は会社帰りの方が多いです。気軽に手に取りやすい甘いものや元の価格が高い缶詰などがよく売れています。

概ね好評な反応が多く、なぜ安く販売されているのかなど、KURADASHIの取り組み自体に興味をもって質問してくださるお客様もいらっしゃいます。

――今後の展開についてはどのようにお考えですか。

各店舗では催事と思ってご来店されるお客様が多いため、プロモーションに力を入れて、地域に根差した活動として長く取り組んでいきたいです。ONE ECO PROJECTでも展開店舗の認知度を上げるため、プロモーション活動を積極的に行っていただきたいです。

会社としては旗艦店をつくり、催事で展開する店舗の残在庫もそのお店で吸収できるように運用していきたいと考えています。

「KURADASHI」コーナーは書籍を一緒に置くことで、商品やPOPだけでは伝わらないSDGsに関する発信ができます。さらに展開規模を増やして取り組んでいきたいですね。

 

➁リピーター増による店舗の活性化に期待

あゆみBOOKS仙台一番町店 店長 土屋修一氏

――「KURADASHI」コーナーを導入された理由について教えてください。

書籍の売上が伸びない中、文具・雑貨も導入し、さらに売上が取れる商材を探していたところ「KURADASHI」の提案を聞き、当店の客層に合うと思ったからです。

――店頭ではどのように展開されていますか。

缶詰や味噌汁、健康食品、お菓子などジャンルごとに展示しています。また、新しく入荷した商品は店舗入口の平台に陳列。賞味期限が近くなったものは1か所に集めPOPでアピールしています。

一方で、在庫が多く賞味期限がある程度長いものは同じ場所で展開しがちになり、売行きが鈍くなる傾向があります。

――よく買われる年齢層や人気商品の傾向はありますか。

40歳以上の女性客がメインで、当店の来店客層とも一致しています。一般のスーパーで販売しているものよりも安く、缶詰や味噌汁が1つから、手軽に購入できる便利さも喜ばれているようです。

一番売れているのは味噌汁です。最近ですと、シャーベットなどの季節商品もよく動きます。
多くのお客様に好印象を持っていただいており、「いつまでやっているの?」と聞かれることもよくあります。売上が取れることもありますが、お客様がこのコーナーを目当てにリピーターになってくださるのが魅力です。今後も引き続き展開していきたいです。

――まさにお店を起点に“楽しみながら行うエコ活動”につながっているのですね。

今まで当店ではSDGs関連の書籍を販売するだけでしたが、今回のように直接取り組みに参加できることは店舗にとっても素晴らしいと感じています。書店という空間は不特定多数のお客様が集まるので、今後もいろいろなご提案ができるのではないでしょうか。

書店の現場は売上が厳しい状況が続いているので、このような取り組みを店頭の活性化につなげていきたいです。

 

クラダシに聞く店頭展開のポイント「社会課題を解決しつつ、気軽に楽しめるコーナーに」

クラダシ 人事広報部長 兼 マーケティング部 BizdevG グループリーダー 徳山耕平氏

――「KURADASHI」コーナーを書店で展開する意義や効果について、どのようにお考えですか?

「KURADASHI」への効果としては、まずは気軽に購入いただき、それをきっかけに「KURADASHI」やフードロス問題について知っていただけることが挙げられます。書店に立ち寄られたお客様に、買い物を通じて身近に感じていただく機会だと捉えています。

また、一方で食品は購買頻度が高い商材です。食品を販売していることがお客様の間で浸透していくことにより、相乗効果として書籍の販売増にもつなげられると考えており、トライアル店舗では実際にそのようなデータが出始めています。

――「フードロス削減」というメッセージを発信するための、異業種にはない「書店という場の魅力」はどのようなところですか。

注目が高まるSDGsや環境問題をテーマとした書籍とともに陳列・販売いただくことによって、フードロスのみならずさまざまな社会課題について発信できる点が魅力だと思っています。

また、駅前や駅ナカ、商業施設の中など、生活に根ざした立地に展開されているため、食品販売の場所として相性の良さを感じています。

――コーナー展開するにあたってのアドバイスや要望があればお聞かせください。

昨今の原料高でも顕在化しているように、食品輸入率の高い日本は将来にわたって食料問題を抱えています。従来の「大量生産・大量消費」の考えでは、食料が不足する恐れすらあり、流通の仕組み自体を最適化させる必要があると考えています。そのためには、消費者の賞味期限に対する正しい知識(消費者庁は「おいしいめやす」と定義)や、行動変容を促していく必要があるのです。

こういった内容をユーザーに啓発しながらお届けすることで、食品メーカー様にもご賛同いただき、協賛価格にて販売できているのが「KURADASHI」というサービスです。ただの「安売り」ではなく、社会課題解決のために、でも「気軽に」買い物をお楽しみいただけるようなコーナー展開をしていただけると幸いです。

――書店店頭での展開を開始したことで、利用者から寄せられている声などがありましたら教えてください。

「こんな商品が廃棄の危機にあるなんて」といったフードロス問題に対する気づきのきっかけになったというご意見や、もともと「KURADASHI」を利用いただいているお客様からは「身近に、かつセット組ではなくバラで買えて嬉しい」といったお声をいただいています。

デジタル化が進み、消費行動の変化も激しい時代ですが、書店様にはこれからも変わらず、人々が集い、学び、楽しみ、考えるきっかけを与える場所であり続けてほしいと考えています。

そのために本取組みを通じて一翼を担いたいと強く願っておりますし、より大きな効果を生み出していくためにご一緒に試行錯誤しながら展開させていただければ幸いです。


(「日販通信」2022年7月号より、一部編集して転載)