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  • 日本神話×ボーイミーツガール!和風ファンタジーの先駆け『空色勾玉』:わが店のイチオシ本(vol.40 ヤマト屋書店TSUTAYA BOOKSTORE 仙台長命ケ丘店)

    2020年11月19日
    本屋を歩く
    日販 ほんのひきだし編集部「日販通信」担当
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    全国の書店員さんが一押し本を紹介する連載「わが店のイチオシ本」。

    第40回は、宮城県仙台市のヤマト屋書店TSUTAYA BOOKSTORE 仙台長命ケ丘店の主任・阿部千尋さんにご登場いただきました。

    空色勾玉
    著者:荻原規子
    発売日:2010年06月
    発行所:徳間書店
    価格:755円(税込)
    ISBNコード:9784198931667

     

    和製ファンタジーの先駆け「勾玉三部作」

    近年、アジアンファンタジーのブームが再燃しています。

    昨年18年ぶりの新刊発売で大きな話題となった小野不由美さんの「十二国記」シリーズは言うに及ばず、第1作の『烏に単は似合わない』で松本清張賞を受賞し、すでにベストセラーとなっている阿部智里さんの「八咫烏」シリーズのほか、雪乃紗衣さんの『彩雲国物語』など、過去のライトノベル作品が再刊行されています。

    このようにアジアンファンタジーが日本文学ジャンルに食い込んでいくさまを、日々楽しみつつ棚を見ています。

    今回ご紹介する『空色勾玉』は、これら和製ファンタジーと肩を並べる、古代日本を舞台にした荻原規子さんのデビュー作であり、「勾玉三部作」の1作目です。

     

    壮大な日本神話の世界を10代の少女の視点から描く

    郷の娘として平凡な生活を送っていた少女・狭也(さや)は、祭の夜に美しい神に見初められて都の神殿へ上がるのですが、そこで隠されていた弟神・稚羽矢(ちはや)と出会います。彼と、彼の守護していた「大蛇(おろち)の剣」を見出し、狭也は自らの出自と向き合い、天上の神と地上の軍勢との争いに巻き込まれていきます。

    物語の筋としては、いわゆるボーイミーツガールのファンタジーですが、古事記・日本書紀の神々や登場人物のエピソードが散りばめられており、物語を楽しみながら壮大な日本神話の世界に触れることのできるシリーズです。

    古事記などといわれると、途端に「歴史の勉強」色が出て敬遠しがちかもしれませんが、10代のちょっと無鉄砲な少女の視点から色鮮やかに描かれているためか、するすると読めてしまいます。

     

    これからたくさんの本と出合う子どもたちに読んでほしい

    当初は児童文学として刊行された本書ですが、私が出合ったのは大学生の時でした。

    古代史の歴史的背景をある程度知った上で読んで夢中になり、今でも繰り返し読む作品の一つですが、重厚な神話ファンタジーでありながら、少年少女の苦難と成長が描かれた等身大の物語としても楽しめるこの作品を、歴史を満足に知らない、もっと子どもの頃に読んでいたらどう感じていたのだろうと思うと、少し悔しくもあります。

    ファンタジーというと西洋が主流ですが、自国の歴史の一端を感じられる和風ファンタジーは、大人世代はもちろん、これからたくさんの本と出合い、じっくりと読書に向き合う子どもたちにも、ぜひ読んでほしいです。

    「もっと早くこの作品に出合っておきたかった」というのは、本好きには尽きぬ思いかもしれません。リアル書店としては、そんな方々に一冊でも多くの本に触れていただけるよう、常に提案性と品揃えを大事にしていこうと思います。

    ◆作り手からのメッセージ◆
    『空色勾玉』の初版が出たのは、昭和末期。まだ、和風ファンタジーはほぼ存在していませんでした。『ナルニア国物語』を愛読して育った作者の荻原規子さんは、「自分が日本のファンタジーを書く」と決意したのです。今では、親子2代のファンも多数! 今後もさらに長く読み継がれることを祈っています。(徳間書店 児童書編集部 上村 令さんより)

    ヤマト屋書店 TSUTAYA BOOKSTORE 仙台長命ケ丘店(Tel.022-342-0611)
    〒981-3212
    宮城県仙台市泉区長命ケ丘2-21-1
    BRANCH仙台 WEST 1F
    ※営業時間 10:00~21:00
    (営業時間短縮中・通常営業時間10:00~22:00)


    (「日販通信」2020年11月号「わが店のイチオシ本」より転載)




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