'); }else{ document.write(''); } //-->
全国の書店員さんが一押し本を紹介する連載「わが店のイチオシ本」。
第39回は、東京都国分寺市の紀伊國屋書店 国分寺店のビジネス書担当・廣瀬哲太さんにご登場いただきました。
当店は、国分寺駅(乗り入れ路線はJR中央線、西武国分寺線・多摩湖線、1日の乗降客数は約11万人)直結の商業施設の8階にあります。駅を利用される方や、近隣にお住まいの方にご来店いただき、お店は日々にぎわっております。
土日は特に忙しく、プライベートでもいらっしゃる版元さん曰く「いつもぜんぜん気づいてくれません」とのこと。すみません……。
当店のイチオシはご存知『FACTFULNESS』です。刊行から1年半以上経った今も、売れつづけています。
そのクールなタイトルと装丁から、難易度高めなビジネス書という印象を持ってしまいそうですが、そんなことはありません。著者ハンス・ロスリング氏のいたって単純な主張が、氏の情熱と人柄とともに伝わってくる、良書です。翻訳が素晴らしく、とても読みやすいですよ。
思い込み、すなわち世界は悪い方向にばかり向かっているかもしれないという誤った認識を取り払い、世界を正しく見ること。そうすることによって、世界をいまある姿よりさらに良いものにしていくということ。これが著者の主張です。
著者によれば、思い込みはネガティブ本能、恐怖本能、犯人捜し本能といった、人間の持つ10の本能に起因します。
こんなことを思ったことはありませんか。インドや中国やそのほかの所得レベルの上昇している国々の人たちが、地球温暖化を引き起こしている。このままだと地球が持たない。もうこの辺で、これらの国々の発展が止まってくれはしないだろうか。
私自身、ずいぶん勝手な言い分だなと理解しながらも、思ってしまいます。犯人捜し本能にとらわれている証拠です。
実際は、先進諸国に住む人々の生活様式が地球温暖化の大きな原因になっており、ここにこそ創意工夫が求められるのですね。
本書を読み終わったとき、「世界中のすべての人が、事実に基づいて世界を見る日がいつかやって来るだろうか? いつかきっとやって来ると思っている」という著者の願いと、「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」とする宮沢賢治の世界認識とがリンクしたのでした。
ぜひ、読んでみてください。
◆作り手からのメッセージ◆
著者のハンス・ロスリングさんは、感染症や人口問題など難しいこともユーモア交じりに楽しく話すTEDプレゼンで有名です。翻訳者のお二人のおかげで、プレゼン同様にいきいきとした声が聞こえるような本になりました。正しく世界を見てほしいという、読者への深い愛にあふれています。(日経BP 書籍編集1部 中川ヒロミさんより)
紀伊國屋書店 国分寺店(Tel.042-325-3991)
〒185-0021
東京都国分寺市南町3-20-3
セレオ国分寺8F
※営業時間 10:00~20:00
(営業時間短縮中・通常営業時間10:00~22:00)
(「日販通信」2020年9月号「わが店のイチオシ本」より転載)