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誰かと誰かが一緒にいるかたちはさまざまだ。でも結婚式についてイメージすると、典型的な映像ばかりが頭に浮かぶ。もっとそれぞれのスタイルに合った結婚式があってもいいはず。個別のライフストーリーに根差した新しい結婚式を提案し続ける「CRAZY WEDDING」に、パートナーシップの多様性と向き合う方法を聴いてみた。
松田 佳大
(https://www.crazy.co.jp/people/yoshihiromatsuda/)新卒でリクルートエージェント(現社名:リクルートキャリア)へ入社。入社4年目には、大手クライアントを担当する社内の花形部署へ異動。採用コンサルタントとして、社員数数万名規模のクライアントを担当する。プライベートでスタートした音楽活動では、2011年にフジテレビ系列番組「ハモネプリーグ」にて優勝を果たす。その後、アマチュアながらも1,000名規模のコンサートステージに立ち、歌声を武器に感動を呼ぶパフォーマンスを創り上げる。仕事とプライベートの両面で充実した日々を送る中、ある時立ち止まって考え、人生を懸けて達成したいことは、「心が震えて鳥肌が立つ程の感動が渦巻く空間を創る」ことであるという強い想いに出会う。その想いとCRAZYの目指すものが重なり、これまで積み上げてきたものを捨て、ジョイン。これまで100組以上の結婚式をプロデュースし自身もCRAZY WEDDINGで結婚式を挙げた。現在は新規事業開発および法人クリエイティブチームのプロデューサーを務めている。
―― オリジナルウェディングをはじめたきっかけはなんですか?
結婚する2人の関係性はさまざまです。でもずっと結婚式は式場やホテルなどの場所とセットで画一化されたパッケージが中心でした。関係性が違えば、結婚式のスタイルも変わるのが自然です。多様な価値観に合わせて、その人らしい結婚式を挙げること。CRAZY WEDDINGは、それを当たり前にしたいんです。
―― その人らしい結婚式にたどり着くためにしていることを教えてください。
ほとんどの人は、ノーマルに生きているだけだと、100%の自分が分からないと思うんです。自分が誰かのことをどう思っているかも、本当はわからない。親密な関係でも、時間が経てば、相手への感情の理由や強さを問わなくなります。「なぜその人と結婚するのか」を毎日考え続けている人はいないでしょう。結婚式は、そこを考えれば考えるほど魔法がかかるんです。
―― 常に一緒にいる相手のことを考えるのは難しいですよね。どうやって考えるようにするんでしょう?
3時間ほどじっくりお話を聴いていきます。どんな結婚式にしたいかではなく、お二人の生きてきた経験を話していただいてます。たとえばこんな質問をしていますね。「幼少期のあなたについて教えてください」「その頃の自分と今の自分はどう変わっていますか?」私たちが知ることももちろん必要ですが、最も重要なのはお二人にお互いを知ってもらうこと。
―― 松田さんご自身もCRAZY WEDDINGで結婚式を挙げられたそうですが、ヒアリングを受けていかがでしたか?
パートナーの話をあらためて聴いて、気づきがありました。私は好奇心が強く、新しい方向に身を削って進んで行く性格です。といっても自分勝手に進むというよりは、未知の冒険をして家族を楽しませたいという想いがあるんです。パートナーは、そんな私に日常に転がっている幸せも感じて欲しくて一緒にいると言ってくれたんですね。第三者に聴いてもらうからこそ出てくる言葉がある。
―― 面と向かっては言い辛いことも第三者が間に入ることで言えたりもしますよね。
そうなんです。結婚式自体よりもヒアリングが印象に残っているという方もいらっしゃいます。お互いのライフストーリーを開いて、関係性をつなぎ直す。自分と相手の関係性を新しく認識するきっかけになると考えています。
―― CRAZY WEDDINGでは結婚式を人生の中でどう位置づけていますか?
実は結婚式って、入籍したカップルの半数程度しか挙げていないんですよ。挙げる人も挙げない人もいる。挙げる人の中でも、結婚式にどんな意味を持たせるかは人によって異なります。強いて言えば、結婚式は究極の言い訳ですね。
―― 何に対する言い訳でしょう?
パートナーと向き合うための言い訳です。きっかけですかね。問題を解決するためのサービスは需要がはっきりしています。夫婦関係を修復するコンサルティングは3週間先まで予約が埋まっていることもあるそうです。でも問題が無い時に、向き合って愛情を強めたいというニーズはなかなか顕在化しない。私たちがヒアリングをする時も、最初はなかなか話しが弾まないんですよ。でも話しながら新郎新婦様がだんだん乗り気になってくださるんです。
結婚式を挙げるメリットのひとつは、きっかけを与えてくれること。結婚式というきっかけがあるからこそ、お互いと向き合うことができる。関係を見つめ直すためのきっかけですね。パートナーとの関係だけでなく、ゲストとの関係もそうですね。呼んだら来てくれるかなとか考えたりするんです。
―― どんなパートナーシップが理想でしょう?
理想像は決めないようにしています。パートナーシップは人それぞれです。理想的な関係性をトレースするだけではだめで、自分たちで築いていく必要があると思っています。
たとえば、パートナーと生活する上でもめごとがあったとします。あるカップルは、対話によってルールを明文化することで対処する。でも一方で、明文化せずに想像することで補い合う方がうまくいるカップルもいるでしょう。それぞれのスタイルがあっていいんです。
―― これからの結婚式はどうなっていくと思いますか?
多様になっていくと思います。パートナーシップの形と同じでひとつにまとまっていく未来は無いと思っています。夫婦別姓が当たり前になったり、入籍しない形もあると思います。家族の形もどんどん変わっていくでしょう。
―― 多様性と向き合うために意識していることはありますか?
目の前の相手の個別の価値観に寄り添うことです。全体として見ると多様性ですが、目の前にして向き合った時は個別性。「多様性」という言葉は思考停止ワードかも知れないと感じています。想像しているよりもずっと粒感が細かいんじゃないかと思っています。オーダーメイドでの結婚式を手掛けていると、結婚についての価値観の多様さに驚きます。異なる価値観と向き合うことで、自分の価値観が明確になったり、少しずつ変化したりします。多様性の先にある、個別性と向き合いたいんです。
テーマ:「パートナーシップのレッスン」
他者と向き合うことは難しい。自分の当たり前と相手の当たり前は違う。誰かと向き合っているとき、お互いに見える世界は反転するのだ。親密な他者であればなおさら途方に暮れてしまう。いつの間にか視界が狭まって息苦しくなる。そんな時は誰かの文章が深呼吸みたいに感じられる。誰かの文章を読むのは、誰かの思考を頭の中で再生することだ。目の前の誰かと向き合うために、空間も時間も隔たった他者の声に耳を傾けてみる。いつだって想像の向こう側に遠のいてしまう。そんな他者とのつながり方を考えるための本を選んだ。
自分たちの結びつき方を手探りする。どこかで見た男と女ごっこをやめて、自分と相手との関係性を実験する。どうしたら居心地がいいのか、本当には、まだ知らない。
一対一という恋愛スタイルは自明ではないのかも知れない。複数のひとを本気で愛するポリアモリーというライフスタイル通して、親密な他者との関係性を考えてみる。
会話には落とし穴があって、はまると対立が生まれる。誰でも自分が正しいと思いたい。その落とし穴を避けるには技術がいる。人と向き合うことの半分は自分と向き合うことなのだ。
話しかけたかった。誰かに向けて書かれた、それでも届かないことばをいくつ持っているだろう。届くか届かないかわからない。そんなことばを投げかけることについてのことば。
人の手でつくられたものは、人の手によくなじむ。職人たちの手に握られた道具は、自分よりも自分に近く感じられる存在という意味でパートナーと言えるかもしれない。
他者とどんなふうにつながるかなんて、本当にわからない。名前のつけられないつながりばかりが集まった小説集。
一緒に暮らす人のことを言葉にする。かんたんなようで難しく、複雑なのにすっきりしている。繰り返される日常の中の個別性が日記の向こうに透けて見える。
言葉がないところで共に生きる。ヒトはいつから動物をパートナーとしてきたのだろう。途方もない歴史と、今目の前にある息づかいが衝突する。どんなふうにつながっている?
思い込み抜きで見ることは難しい。相手の意図も自分の考えも忘れて、行動そのものをじっくり観察できるなら、思い込みのベールを剥ぐことができるかも知れない。
性質の違いがあっても生活を共にできるだろうか。ぐうたらな人と、しっかり者の暮らしのなかで起きること。
相手の骨と自分の骨が触れ合う、その質量に気づいたことがあるだろうか? 社会の中で自分がメタリックになっていく時に読んで欲しい。
もっとも距離の近いパートナーは自分だ。自分との付き合い方が、他の人間関係のベースになっている気がする。日々淡々と、自分と向き合っていこう。
月刊koé JUNE 2020 |
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EDITOR IN CHIEF 有地 和毅 ARUCHI KAZUKI |
ART DIRECTOR イケダマサヤ IKEDA MASAYA(DEGICO) |
DESK 武田 建悟 TAKEDA KENGO |
DESIGNER 弓田 雄貴 YUMITA YUKI(DEGICO) |
EDITOR 西條 陽香 SAIJO HARUKA |
PROJECT MANAGER 中谷 琢弥 NAKATANI TAKUYA(DEGICO) |
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PUBLISHER 岩見 俊介 IWAMI SHUNSUKE |