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全国の書店員さんが一押し本を紹介する連載「わが店のイチオシ本」。
第37回は、富山県富山市にあるBOOKSなかだ ファボーレ店の店長・堀井麻衣さんにご登場いただきました。
堀井さんの“イチオシ本”は、『アラン・デュカスのナチュールレシピ 改装版』。フレンチの巨匠のレシピが、初心者でもすぐに作れる一冊です。
当店は、昨年10月に増床リニューアルオープンした富山市のショッピングモール「フューチャーシティ・ファボーレ」の中にあります。ファボーレはイタリア語で「親しまれる・愛される」という意味です。この言葉の通り、お客様からいつまでも「親しまれ、愛される」、笑顔あふれる明るい売場を目指しています。
今回私が紹介するのは『アラン・デュカスのナチュールレシピ』です。これはフレンチ界の巨匠デュカス氏の書いた自然派家庭料理のレシピ本で、表紙をめくると、こんなことが書いてあります。
「もともとフランスで出版したものなので、レシピにはフランス人にとって身近な食材を使いましたが、日本のみなさんは、自分がお住まいのなるべく近くでとれた食材で作ってください。『地元のもの』をシンプルに料理して食べることは、生きていく原点にある食の姿です。地元の食材と生産者を尊重し、愛情を込めて作った料理を大切な人たちとゆっくり味わうとき、わたしたちの心はより豊かになれます。アラン・デュカス」
昨今の社会情勢から外食する機会が減り、毎日のメニューにも飽き飽き。休日の食事だけでも心が弾むような料理が食べたいと思うと、この本からメニューを選びます。
そんなとき、富山の食材の豊かさに改めて気づかされます。お米はもちろんのこと、旬のお魚はどれもお刺身にできるほど新鮮で安いです。
先日は本書のレシピより「メルランの海藻蒸しと青野菜のほんのりソテー」という名前の魚料理を、鱈を代用して作ってみました。お皿にはレタスやアスパラガスを散らし彩り豊かに、味付けはオリーブオイルと塩コショウで、実にシンプルです。
そして、その日の食卓は鱈の煮つけが並ぶ普段とは雰囲気が違いました。いつものコップが切子のグラスに、お箸がナイフとフォークに替わりました。会話も弾み、実に楽しい食事の時間となりました。
余談ではありますが、先日年配の女性と小さなお子さんが、店内でこんな会話をしているのを耳にしました。
「ばあちゃん、ちぼ芋(里芋)買ったけぇ?」
「さっきスーパーで忘れんと買ったちゃー」
「ちぼ芋」というディープな方言と明るく楽しそうな会話。このお二人には、食を通した豊かで密接な時間があるのだなと感じました。
先に紹介したデュカス氏の言葉に通じる出来事でした。この言葉を多くの方へ伝えたいという気持ちを込めて、今日も陳列しています。
◆作り手からのメッセージ◆
「キュイジーヌ・テロワール」=その土地で収穫した作物を使って料理をし、その土地で食べるという考え方がフランスにはあります。日本でいう「地産地消」ですね。本書は巨匠アラン・デュカスが、美味しいものをさらに美味しくするアイディアをぎゅっと詰め込んだ究極のレシピ集です。シンプルで体によく、心豊かになれる一冊です。(世界文化社 編集企画部 井澤豊一郎さんより)
BOOKSなかだ ファボーレ店(Tel:076-466-1888)〒939-2716
富山県富山市婦中町下轡田165-1
〉BOOKSなかだ 公式サイト http://www.books-nakada.co.jp/
(「日販通信」2020年5月号「わが店のイチオシ本」より転載)