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4月7日(火)、2020年本屋大賞の発表会が行なわれました。
新型コロナウイルス感染防止のため、異例の“収録映像配信”で行なわれた今回の発表会。翻訳小説部門、発掘部門、本屋大賞の受賞作が発表されたあと、「実行委員から、大事な大事なお話があります」と、実行委員の高頭佐和子さんが次のようなメッセージを発信しました。
※全文書き起こし
皆さん、こんにちは。本屋大賞実行委員の高頭佐和子と申します。今日はここまで動画をご覧くださって、本当にありがとうございます。
こちらの受賞作(凪良ゆう著『流浪の月』)は、祝福もされないし理解もされないけれど、どうしても一緒にいなければならない2人の関係を描いた小説で、私も読み始めたら一気に世界に引き込まれてしまいました。
凪良さんのファンの書店員はすごく多くて、しかもすごく熱心で、これに決まったと聞いて、涙ぐんで喜んでいた人を私は何人も知っています。今日はこちらの会場に来られませんでしたが、私たちの熱意には、何一つ変わるところはありません。このPOPを見ていただければよく分かると思うので、皆さんぜひこのPOPを見ていただきたいと思います。
私たちが本屋大賞を始めた理由というのは、「何かベストセラーができればいいよね」っていうことではなくて、「皆さんにもっと本屋に足を運んでいただきたい」、そういう気持ちからです。
私は本屋に勤めて20年くらい経つんですけど、仕事については「ちょっと大変だな」と思ったこともいっぱいあるんですが、本屋という場所、ここで働けるということを、喜びではないと思ったことは一度もないです。
本屋というのは、ワクワクすることとか、すごく困った時に助けてくれることとか、新しい情報とか、人の気持ちをわかるようになることとか、たくさんの情報があって、いつもそれに励まされてここまでやってきました。きっと多くの皆さんにとっても、本というのはそういう存在なのではないかと思います。
このような状況になり、本をいつもより身近に感じてくださっている方はすごく多いんじゃないかと思うんですね。ただ、今こういう状況で、店頭に来られないという方も、一方ですごくいらっしゃるのではないかと思います。
私たちは本屋が、いつでも皆さんの身近な存在であれればいいと、それを心から思っています。そして本は、絶対に皆さんにとって大切な存在になれるものだと、それについては信じて疑うところは一つもありません。
今外出を控えられている方もいらっしゃると思いますが、いらっしゃれるような状況になりましたら、ぜひ店頭にいらしてください。
ここからは、全国の書店員を代表して申し上げます。
「皆さん、店頭でお待ちしております」。
本屋大賞は書店員有志によって立ち上げられ、少しずつ規模を広げながら、17年続けて毎年開催されてきました。
普段はライバル同士でもある全国の書店員が、社員・パート・アルバイトの別なく(さらにいえば店頭に出ていない経営者や事務スタッフも含めて)、自身の“一番売りたい本”に投票して大賞を決定するのが特徴です。
今回も、一次投票に全国477書店から586人、二次投票には300書店から358人が参加。二次投票の参加者は、全員ノミネート10作をすべて読み、全作品に感想コメントを書いたうえで、ベスト3に順位づけをして投票を行なっています。
高頭さんがスピーチで「ぜひ見てほしい」と紹介したPOPは、そんな書店員たちの熱意が強くあらわれているものの一つです。
書店へお立ち寄りの際はぜひ、「この本をぜひ読んでほしい」という書店員の熱意を、POPから感じてみてください。
・夢眠書店開店日記【最終話】本をもっと盛り上げたい!全国の書店員が参加する「本屋大賞」の話
・漫画家志望から本屋大賞作家へ 凪良ゆうに聞く、創作のルーツといま思うこと
・2020年本屋大賞は凪良ゆう『流浪の月』 “普通”を揺さぶる、引き離された男女の物語