• 万引きは“若者の犯罪”ではない!?書店が頭を抱える「万引きの深刻化・複雑化」と対策のいま

    2018年12月26日
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    日販 ほんのひきだし編集部「日販通信」担当
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    店舗数の減少傾向が止まらない書店において、万引き被害による損失は非常に深刻です。

    そんななか〈これ以上書店を減らさない〉というスローガンを掲げ、万引き犯罪根絶に向けて出版業界挙げての活動に取り組んでいるのが、出版業界の6団体・1企業で構成される「万引防止出版対策本部」。

    今回は同組織の阿部信行事務局長に、書店の万引き被害の現状と、組織設立の背景・活動内容を伺いました。

    万引防止出版対策本部
    NPO法人全国万引犯罪防止機構(略称:万防機構)の提案で、2017年9月に設立された組織。日本書籍出版協会、日本雑誌協会、日本取次協会、日本書店商業組合連合会、日本出版インフラセンター(JPO)、日本医書出版協会と、日本図書普及から成る。

    目次
    ・全体の減少傾向に対して万引き件数は変わらず “若者”と“高齢者“が逆転
    ・主目的は「窃盗品のネットオークション出品」 ネットフリマ普及の影響も
    ・ここ数年で変わってきた「万引きの目的」
    ・出版業界のこれまでの取り組み
    ・業界ぐるみで万引き根絶を目指す

     

    全体の減少傾向に対して万引き件数は変わらず “若者”と“高齢者“が逆転

    ――はじめに、万引き犯罪全体の近年の状況を教えていただけますか。

    平成27年・28年「警察庁犯罪統計資料」のデータを参照しながら説明していきましょう。まず、【図1】の「全国における全犯罪認知件数と万引き犯罪の認知件数の推移」を見てください。

    平成16年(2004年)の犯罪認知件数は2,562,767件。一方、同年の万引き犯罪認知件数は158,020件で、全犯罪認知件数に占める割合は6.2%でした。

    それが平成28年(2016年)にはそれぞれ996,120件、112,702件、11.3%。犯罪全体に占める万引きの割合は年々増加しているというデータが出ています。

    【図1】全国における全犯罪認知件数と万引き犯罪の認知件数の推移(平成28年警察庁犯罪統計資料より)

    続いて【図2】は、「全国における万引き検挙人数の年齢構成別割合推移」です。

    平成16年(2004年)には少年(20歳未満)が34.5%、高齢者(65歳以上)が18.3%という割合でした。

    これが平成23年(2011年)に逆転して、高齢者27.7%、少年25.7%。以来、高齢者の割合が増え続けています。平成27年(2015年)には高齢者36.7%、少年14.9%となりました。

    【図2】全国における万引き検挙人数の年齢構成別割合推移(平成27年警察庁犯罪統計資料より)

     

    主目的は「窃盗品のネットオークション出品」 ネットフリマ普及の影響も

    【図3】は、「ネットオークションへの盗品流通」に関するデータです。

    窃盗全体の検挙件数が減少する中で、ネットオークションに出される盗品は平成16年(2004年)の904件から平成21年(2009年)の3,026件へと急増。以降減少の傾向が見られますが、このデータはあくまでも被疑者にヒアリングした結果です。

    現在もネットオークションが盗品の捌き先となっているという構造は変わりありません。

    【図3】ネットオークションへの盗品流通(平成28年警察庁犯罪統計資料より)

    さらに、新たに盗品の処分先として台頭してきたのがインターネット上のフリーマーケット(ネットフリマ)です。

    新古書店は「古物商」、ネットオークションは「古物競りあっせん業者」として、それぞれ古物営業法上の義務・罰則があります。しかしネットフリマは、「マーケット形式の指値取引の場所を提供する事業」であるとして、同法が適用されません。法的な義務・罰則が一切ない状態となっています。

    万防機構の調査によると、自社の万引き被害品をネットオークションに出品された経験が「ある」と答えた企業は8%、一方で「わからない」と答えた企業は約75%に上りました(【図4】)。「自社から盗まれた商品が出品されていることを、警察からの連絡で初めて知った」などの回答も寄せられています。

    つまり、万引き被害品のネット出品が判明した事例は、氷山の一角に過ぎないと考えられるのです。

    【図4】万引きされた商品がネットオークションに出品された経験(万防機構「平成27年度 全国小売業万引被害実態調査」より)




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