2015年、今年一番本が売れた日はいつか? 「休日前+ジャンプコミックス発売日」が勝利の方程式!?

2015年11月24日
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古幡瑞穂(日販 販売企画G)
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大村智
著者:馬場錬成
発売日:2012年02月
発行所:中央公論新社
価格:2,268円(税込)
ISBNコード:9784120043260

そろそろ年の瀬も近づき、今年の漢字や流行語、重大ニュースなどが発表される季節となっています。どうしても重いニュースが気になってしまいますが、今年は良いニュースもいっぱいありました。

ノーベル賞受賞者が2人出たというのも大変嬉しいニュースの一つです。HONZでも話題になっていた『大村智 2億人を病魔から守った化学者』はどんな人に読まれているのでしょう?読者クラスタがこちら(日販 WIN+調べ)。

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テレビなどでも研究以外の生き様が多く取り上げられている大村先生。年輩層の読者比率が高く若い世代に広がっていないのが残念です。もっともっと若い世代に読んでもらって、後に続く人材が育っていくような種になるといいですね。

さて、このノーベル賞のニュースや、先月の実話誌売上と山口組抗争の相関を眺めながら「出版界はいかに様々な事象に影響を受けてなりたっていることか」と、そんなことをしみじみ考えました。書店店頭の売上はもちろんですが、世の中の流れは出版物の傾向にも大きく影響を与えています。

「ノーベル賞受賞のニュースで世の人が書店に走る」ということにはなっていなかったようですが、では今年一番本が売れた日っていつなんでしょう。……ということで、さっそく調べてみました。2014年11月1日~2015年10月31日までのデータから書籍・雑誌の売り上げ冊数をカウントしています。

RANK 日付 平均比 その日、もっとも売れたもの
1 2014/12/27 180.3% 『ONE PIECE 76』
2 2014/12/20 156.6% 『東京喰種トーキョーグール:Re 1』
3 2014/12/13 153.6% 『進撃の巨人 15』
4 2015/2/28 151.9% 『東京喰種トーキョーグール:Re 1』
5 2014/12/28 151.8% 『きょうは会社休みます。8』
6 2014/12/23 150.3% 『ONE PIECE 76』
7 2015/1/24 143.7% 『東京喰種トーキョーグール:Re 1』
8 2015/10/3 142.9% 『ONE PIECE 79』
9 2015/1/5 142.9% 『青の祓魔師 14』
10 2015/1/24 141.8% 『君に届け 23』

この1年間で最も本が売れた日は、2014年12月27日でした。1年間の売上の平均値をとってその値との比較を行っているのですが、180.3%というダントツぶり。いったいその日に何があったのかというと、その日はジャンプコミックスの発売日。『ONE PIECE』『ハイキュー!!』『暗殺教室』というジャンプの珠玉のラインナップが一斉に発売されていたのでした。ちょうど年末年始のお休み期間にもあたり、親子揃って買い物に来て発売に気付き購入された……というご家族が多かったのではないでしょうか?

あまりに12月が強すぎますが、記憶に新しいところでは2015年10月3日もランクインしています。しかし、なんとこの日もジャンプコミックスの発売日。先述した3銘柄が仲良く上位に並んでいます。いやはや恐るべきジャンプコミックス……。

これだとおさまらないのでもう一つ。2015年2月28日も見てみましょう。ちなみにこの日も土曜日です。東京は晴天に恵まれた一日だったようで、ウィリアム王子が蔦屋書店に来店されるなどのニュースはありましたが、特段目立つ銘柄への売上集中は起きていないようです。

参考までに“書籍”(雑誌やコミック単行本を除く)が最も売れたのは2014年11月22日。この日はポケモンの攻略本と東野圭吾『ナミヤ雑貨店の奇蹟』の発売日でした。

読書週間がランクインするとか、芥川賞や本屋大賞の発表日がランクインするとかという期待を込めてデータを抽出してきましたが、そうそう世の中は甘くなかったようです。せっかくなので、売上が悪かった日がどうだったのかも見てみることにします。

日付 曜日 平均値比 ニュース
2015/5/8 74.5% 財務省から「国の借金」が1053兆3572億円となったとの発表
2015/5/12 66.1% 台風6号の影響で首都圏の鉄道大混乱。箱根の火山性地震継続中
2015/5/14 70.8% 安保法案午後閣議決定
2015/5/18 74.9% 新国立競技場の見直しが決定。大阪都構想消滅
2015/5/19 72.5% 維新の党 新代表に松野氏選出
2015/6/2 73.6% 年金情報流出問題
2015/6/9 70.3% 東京商工会議所で職員のパソコンから1万件超の個人情報流出
2015/6/16 71.7% 週間売上ランキングで『絶歌』が1位になり話題に
2015/7/14 71.1% 気温上昇。今シーズン初の39℃超え。翌日安保法案の委員会採決を行うことが決定
2015/9/3 74.0% 改正マイナンバー法成立。医療費がこれまで最高額となったと発表
2015/9/8 67.5% 台風上陸。日経平均433円安、昨年末終値下回る
2015/9/9 72.7% 台風18号の影響で河川の増水、運休などが相次ぐ
2015/9/17 73.0% 安保法案が参院特別委で可決。関東東北に豪雨の予想

売上の平均値と比較してマイナス25ポイント以上の日を並べ、その日に起こった主な出来事を調べています。出版業界ならずともだと思いますが、大打撃を与えるのはやはり天候。出来事の起こった当日だけではなく、その前後もどうしても消費が低調となります。台風・大雨・地震・噴火……とさまざまな天災が続いた今年は辛い年となりました(なお、このデータにはオンライン書店は入っていません。あちらでは逆に売上UPの要因になっている可能性があります)。また、なぜか火曜日が目立ちました。

また2015年9月8日は日経平均がガクッと下がった一日でしたが、この他にも急落日の当日・翌日は売上の悪い日が多いようです。日々何かの事件が起こっている中、ここに出た事例だけで理由を見つけるのは無理があるでしょう。しかし、安保法案が大きく動いた日の売上が軒並み悪かったのは若干寂しい気がします。こういう時こそ、書店へ行って確かな情報を得てほしいものですね。

穏やかに一年の終わりを迎えたいという希望はテロリストによってあっけなく砕かれました。一日も早く事態が収束し平和がもたらされることを祈っています。


(「HONZ」で2015年11月17日に公開された記事に、一部編集を加えています)
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