• アメトーーク!で読書芸人が選んだ本はどうなった?

    2017年11月27日
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    ほんのひきだし編集部 浅野
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    11月16日(木)に放送された「アメトーーク! 本屋で読書芸人」(テレビ朝日系)。光浦靖子さん、カズレーザーさん、又吉直樹さんというおなじみの“読書芸人”に東野幸治さんが加わり、それぞれの「今年読んだ好きな本」などが紹介されました。

    “読書芸人”特集は、お笑い芸人の方々が熱量たっぷりに本を紹介することで、これまでにも本の売上が急伸長するきっかけを作ってきました。中でも2015年6月放送の第2弾で紹介された『教団X』は、なんと前日比40倍もの売上実績を残しています。

    “読書芸人”放送で文芸書に大波が!「アメトーーク!」の多大なる影響

    今回放送された第4弾でも、カズレーザーさんが「15年ぶりに泣いた」と熱弁をふるった『妻に捧げた1778話』の緊急重版が決定するなど、相変わらず影響力は抜群の様子。

    それでは具体的にはどんな影響があったのでしょうか? 「放送後どれくらい売れたのか」「どんな本が特に売れたのか」を調べてみました。

     

    番組放送後の売上冊数が多かった本 トップ10

    まずは、番組放送翌日(11月17日)から3日間の売上冊数を調べてみました(日販 POS調べ)。第1位~第10位は下記のとおりです。

    第1位:『サピエンス全史(上)』(ユヴァル・ノア・ハラリ/河出書房新社)
    第2位:『応仁の乱』(呉座勇一/中央公論新社)
    第3位:『蜜蜂と遠雷』(恩田陸/幻冬舎)

    第4位:『残像に口紅を』(筒井康隆/中央公論新社)
    第5位:『ルビンの壷が割れた』(宿野かほる/新潮社)
    第6位:『罪の声』(塩田武士/講談社)
    第7位:『サピエンス全史(下)』(ユヴァル・ノア・ハラリ/河出書房新社)
    第8位:『R帝国』(中村文則/中央公論新社)
    第9位:『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』(若林正恭/KADOKAWA)
    第10位:『生者と死者 酩探偵ヨギガンジーの透視術』(泡坂妻夫/新潮社)

    最も売上冊数が多かったのは、カズレーザーさんが紹介した『サピエンス全史』の上巻。下巻も第7位にランクインしています。

    『サピエンス全史』は2016年9月に刊行され、「クローズアップ現代+」(NHK)に取り上げられたことで話題沸騰、人文書でありながら2017年度の「ビジネス書大賞」にも選ばれたタイトル。人類史の形成を生物学的な観点から概観し、文明の誕生・発展をたどるとともに「それらの文明は人類を幸福にしたか」という問いを読者に投げかけます。

    実はこの『サピエンス全史』は、東野幸治さんがカズレーザーさんにすすめた本なのだそう。東野幸治さんに“読書家”というイメージをお持ちの方はそう多くないかと思いますが、東野さんはよくInstagram(@higashinodesu)で、ご自身の読んだ本を紹介しています。ぜひチェックしてみてくださいね。

    サピエンス全史 上
    著者:ユヴァル・ノア・ハラリ 柴田裕之
    発売日:2016年09月
    発行所:河出書房新社
    価格:2,052円(税込)
    ISBNコード:9784309226712

    第2位の『応仁の乱』は歴史学者・呉座勇一さんの著書で、応仁の乱をくわしく解説しつつ「地味すぎる」「知名度抜群なのがかえって残念」とバッサリ切り捨てるキャッチーさが受け、新書ながら大ブレイクした一冊。こちらもカズレーザーさんが紹介したタイトルです。

    応仁の乱
    著者:呉座勇一
    発売日:2016年10月
    発行所:中央公論新社
    価格:972円(税込)
    ISBNコード:9784121024015

    そして“新たな読書芸人”東野幸治さんが紹介したのが、第3位の『蜜蜂と遠雷』。国際ピアノコンクールを舞台に、それぞれに才能とバックグラウンドをもつピアニストたちがその情熱をぶつけ合う姿を描いた青春群像劇です。

    魅力的なキャラクターと、音だけでなく“圧”も伝わってくる演奏シーンの描写で読者を増やし、直木賞・本屋大賞をダブル受賞したことでも注目を集めました。

    蜜蜂と遠雷
    著者:恩田陸
    発売日:2016年09月
    発行所:幻冬舎
    価格:1,944円(税込)
    ISBNコード:9784344030039

     

    番組放送後に売上が大きく伸びた本 トップ10

    続いて、放送前(11月1日~16日)の平均売上冊数と放送後3日間の平均売上冊数を比較し、売上が何倍に伸びたかでランキングにしてみました。

    第1位:『残像に口紅を』(筒井康隆/中央公論新社)
    第2位:『ゴランノスポン』(町田康/新潮社)
    第3位:『ゆらぐ玉の緒』(古井由吉/新潮社)

    第4位:『臣女』(吉村萬壱/徳間書店)
    第5位:『僕と妻の1778話』(眉村卓/集英社)
    第6位:『ねこのおうち』(柳美里/河出書房新社)
    第7位:『ビニール傘』(岸政彦/新潮社)
    第8位:『生者と死者 酩探偵ヨギガンジーの透視術』(泡坂妻夫/新潮社)
    第9位:『ピンポン』(パク・ミンギュ/白水社)
    第10位:『紀州のドン・ファン』(野崎幸助/講談社)

    最も売上が伸びたのは、カズレーザーさんが「変わったギミックの本」として紹介した『残像に口紅を』でした。売上の伸びは、なんと放送前の約267倍!! さっそく重版も決定しています。

    『残像に口紅を』は、小説の文面から五十音が一文字ずつ消えていくのにあわせて、物語の中でもその音を含む言葉が使えなくなり、ほかの言葉で代替できない場合はその存在自体が消えてしまう……という内容の実験的な小説です。

    ストーリーの面白さもさることながら、当時刊行された単行本は後半が袋とじになっているというユニークなつくりの一冊。

    なお第8位の『生者と死者 酩探偵ヨギガンジーの透視術』も“袋とじ”を使った小説で、短編小説として読んだ後に袋とじを開け、長編小説として楽しめるという面白い作品です。

    残像に口紅を
    著者:筒井康隆
    発売日:1995年04月
    発行所:中央公論新社
    価格:802円(税込)
    ISBNコード:9784122022874
    生者(せいじゃ)と死者
    著者:泡坂妻夫
    発売日:1994年11月
    発行所:新潮社
    価格:594円(税込)
    ISBNコード:9784101445069

    第2位の『ゴランノスポン』は、又吉直樹さんが東野さんに選んだおすすめ本。こちらは放送前と比較して、約101倍に売上が伸びました。

    『ゴランノスポン』は、「楠木正成」「ゴランノスポン」「一般の魔力」「二倍」「尻の泉」「末摘花」「先生との旅」の7作がおさめられた短編集です。東野幸治さんからのオーダーが「あまり分厚くないこと」「いかにも“ファンタジー”な作品でないこと」という内容だったため、試しに手に取ってみるにもハードルが低い本だと思います。

    又吉さんのおすすめコメントは「独特の文体だが、それに慣れるとすごく気持ちいい」というもの。読んでみて“気持ちいい”と感じたら、ぜひほかの町田康作品にも触れてみてくださいね。

    ゴランノスポン
    著者:町田康
    発売日:2013年12月
    発行所:新潮社
    価格:529円(税込)
    ISBNコード:9784101319339

    第3位の『ゆらぐ玉の緒』は、又吉直樹さんが「今年読んだ好きな本」に挙げた作品。こちらも短編集で、売上の伸びは約64倍でした。

    小説でありながらエッセイのようでもあり、この世のことのような幻のような、自分のことのような他人のような、今のことのような過去のことのような……境目が曖昧な状態でゆらゆら漂う心地が味わえる一冊。又吉さんによれば「難しい表現が多いが、体調によっては読める」とのこと、ぜひ体調のいい時にチャレンジしてみてください(笑)。

    ちなみに出版元である新潮社の公式サイトには、作家による『ゆらぐ玉の緒』の書評が掲載されています。

    この書評を書いているのが、先ほど紹介した町田康さん。こんなふうに作品や作家がつながっていくのも、読書の楽しみの一つです。

    ゆらぐ玉の緒
    著者:古井由吉
    発売日:2017年02月
    発行所:新潮社
    価格:1,836円(税込)
    ISBNコード:9784103192114

    〉町田康さんによる書評はこちら
    http://www.shinchosha.co.jp/book/319211/

    冒頭で「緊急重版が決定した」と紹介した『妻に捧げた1778話』は、もともとの在庫数が少なかったためトップ10入りはならず。1778話から選んだ52篇とエッセイが収録されている『僕と妻の1778話』が、第5位にランクインしています。

    僕と妻の1778話
    著者:眉村卓
    発売日:2010年11月
    発行所:集英社
    価格:648円(税込)
    ISBNコード:9784087465419

    なお書店店頭に在庫がほとんどなかったこともあり、「本屋で今検索されている本ランキング」ではダントツの検索数で『妻に捧げた1778話』が第1位になりました。

    『妻に捧げた1778話』は、19篇の物語とエッセイを収録したもの。重版分が11月28日(火)頃から店頭に並び始めますので、こちらを手に入れたい方はもう少しだけ待ちましょう。

    妻に捧げた1778話
    著者:眉村卓
    発売日:2004年05月
    発行所:新潮社
    価格:734円(税込)
    ISBNコード:9784106100697

    今回の「アメトーーク! 本屋で読書芸人」では、さまざまな切り口から実に39冊もの本が紹介されました。

    「どんな作品が紹介されたか」「誰が紹介した本か」についてはオンライン書店「Honya Club.com」に一覧が公開されていますので、番組の復習や読みたい本選びの参考にしてみてください。




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