• 鳥か?虫か?この夏注目したい“生き物本“はこれだ!

    2017年07月05日
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    古幡瑞穂(日販 販売企画部)
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    気がつけば、もう目の前に夏が迫ってきました。書店の売場もそろそろ夏模様。文庫フェア、コミックフェア、図鑑のフェアと賑やかさを増しつつあります。

    特に子ども向けの図鑑は新作も続々。昨今は定番に加えて『危険生物』が子どもたちの心をつかんでいるようです。

    さて、大人たち(特にHONZのレビュアーの皆さん)も生き物は大好き。今年に入っても様々な生き物がHONZのサイト上を騒がせています。中でも『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』と『バッタを倒しにアフリカへ』の2作は多くの方の注目を集めました。

    今回は、その2作を中心にこの夏注目したい生き物本について調べてみたいと思います。

    鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。
    著者:川上和人
    発売日:2017年04月
    発行所:新潮社
    価格:1,512円(税込)
    ISBNコード:9784103509110

    バッタを倒しにアフリカへ
    著者:前野ウルド浩太郎
    発売日:2017年05月
    発行所:光文社
    価格:994円(税込)
    ISBNコード:9784334039899



     

    まずは読者層から

    ▼『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』購入者クラスタ

    ▼『バッタを倒しにアフリカへ』購入者クラスタ

    上が『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』、下が『バッタを倒しにアフリカへ』の読者層です。かたや単行本、かたや新書と判型が違うものの、読者層は比較的似ています。

    新書で発売された『バッタを倒しにアフリカへ』は、他の新書と比べて比較的若い読者が多いようです。装幀の強烈さも効いているかもしれません。

    『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』の方も、10~20代の読者数が多め。以前ブレイクした『最後の秘境東京藝大』に装幀が似ており、その読者の相当数がこちらも購入しているようです。これが、年齢層を下げたポイントかもしれません。

     

    続いて、併読商品を見てみましょう

    ▼『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』読者の過去1年の併読本

    ▼『バッタを倒しにアフリカへ』読者の過去1年の併読本

    どちらも上位に『最後の秘境東京藝大』が! この読者の多くはHONZ読者なのかもしれません(というか、そうだと信じたい結果です)。

    共通してランクインしているのは『応仁の乱』。自然科学だけでなく、歴史をはじめ話題になっている分野の話にはアンテナが高い方々のようです。

    かたや単行本、かたや新書ですが、併読商品はどちらも新書率が高め。ただ『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』の方は、「週刊新潮」の購入履歴のある読者が多くいらっしゃいました。「雑誌で知って、書店に行って購入」という流れが一定程度ありそうです。

    *

    それではこの読者の併読本から、注目作品を紹介していきましょう。

    カラー図解古生物たちのふしぎな世界
    著者:土屋健 田中源吾
    発売日:2017年06月
    発行所:講談社
    価格:1,296円(税込)
    ISBNコード:9784065020180

    恐竜に負けず劣らず、恐竜以前の古生物も人気があります。それぞれ独特な姿をしていますが、進化を見ていくと納得できたり、切ない気持ちになったりと栄枯盛衰の歴史に心が動きます。

    カラーイラストを眺めているだけでも楽しい一冊。鳥が好きな人、虫が好きな人どちらの心もつかんでいます。

    美少女美術史
    著者:池上英洋 荒井咲紀
    発売日:2017年06月
    発行所:筑摩書房
    価格:1,026円(税込)
    ISBNコード:9784480098009

    こちらも図版が豪華な一冊。文庫にしておくのはもったいない! 児童ポルノは所持しているだけで犯罪ですが、美少女というのは常に芸術の対象にもなっています。一方で、その「美少女」という存在はエロスを呼び起こすものとして使われていたり、性をそぎ落としたものであったりと、時代によって様々に形を変えてきたのだそう。非常に興味深い作品です。

    「夜遊び」の経済学
    著者:木曽崇
    発売日:2017年06月
    発行所:光文社
    価格:799円(税込)
    ISBNコード:9784334039929

    夜遊びと聞くとちょっとイケない香りが漂いますが、サブタイトルには「ナイトタイムエコノミー」の文字。地下経済の話では全くなく、日が落ちたあとのまっとうな経済活動のことを示すそうです。キャバクラへ行っていくら使って、その総額は……的な話を期待する方には、門倉先生の本がおすすめ。

    とにもかくにも、夜の経済をまっとうに活性化することには世界的な興味が集まっています。その取り組みについて詳細に語った一冊です。

    ぐるぐる・博物館
    著者:三浦しをん
    発売日:2017年06月
    発行所:実業之日本社
    価格:1,728円(税込)
    ISBNコード:9784408537078

    著者は直木賞作家でもある三浦しをんさん。大の博物館好きだそうで、興味のおもむくままに全国の博物館をぐるぐるめぐり、博物館への溢れんばかりの愛が詰め込まれています。

    そもそも三浦さんのエッセイというのは、考えるだけでもくすくす思い出してしまうような面白さ満載のもの。今回もご本人の妄想が炸裂していて、それに対峙する各館の学芸員の皆さんもこれまた傑物揃いと、面白い予感しかしません。なじみの博物館の違う顔も見えてくる、かも?

    ***

    今回に限ったことではありませんが、ノンフィクションはベストセラーになることで、理系と文系の壁をやすやすと越えていきます。

    存在を知れば、人は理系・文系関係なく興味を惹かれる作品に手を伸ばすのです。すべてに共通するのは“知識欲”でしょう。鳥にも、バッタにも、そして応仁の乱にも興味を持ってくれた方々が次に注目するのは何なのか? 夏の書店店頭には、面白い作品が盛りだくさんです。ぜひ面白い一冊を発見してください。


    (「HONZ」で2017年6月27日に公開された記事に、一部編集を加えています)

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