• 「週刊文春」や「週刊新潮」の読者は、どんな本を読んでいるのか?

    2017年06月09日
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    古幡瑞穂(日販 販売企画部)
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    週刊文春 2017年 5/18号
    著者:
    発売日:2017年05月10日
    発行所:文藝春秋
    価格:420円(税込)
    JANコード:4910204030573
    週刊新潮 2017年 5/18号
    著者:
    発売日:2017年05月10日
    発行所:新潮社
    価格:420円(税込)
    JANコード:4910203130571

    「文春砲」という言葉が世の中に広く認知されて、まだ1年足らず。今年はどんなスクープを?と思っていた矢先、「週刊新潮」が「週刊文春」についてのスクープ記事を出すという、思いもしない展開に突入。出版業界を戸惑わせています。

    相変わらず雑誌の売れ行きは厳しく、再生までの道のりは長そうです。しかし一方で雑誌というのは、書店店頭にお客様を定期的に呼び込む大事な商品でもあります。毎月、毎週、決まった時にお店に足を運ぶからこそ、出会うことのできた本も多いはず。今回は、話題になっている週刊誌について調べてみたいと思います。

    先日、日本雑誌協会が印刷証明付き部数(2017年1月~3月)を公表しました。その情報をもとに、一般週刊誌ジャンルの雑誌について、読者の男女比を出してみました。それが下記の表です。

    ※男女比は日販 WIN+調べ。
    ※各誌とも3月末発売の号の読者データを参照しています

    あくまで「書店での購入」をもとにしたデータになりますが、このデータを見るだけでも、「週刊文春」と「週刊新潮」の特徴・類似点は明らかでしょう。同じ曜日に発売されているだけでなく、どちらも男性より女性に読まれている雑誌なのです。参考までに「女性自身」の男女比を調べてみると、女性週刊誌だけに、女性の読者比率は70%程度ありました。

    併読率が高いのもこの2誌の特徴です。「週刊新潮」5/18号の購入者のうち、54%が同日発売の「週刊文春」を購入しているというデータが出ています。この傾向は、他の号においてもほぼ変わりません。

    続いて、読者層を見てみましょう。もちろん男女比だけとってもこれだけ各誌特徴がありますので、一概には言えませんが、部数ナンバーワンとなった「週刊文春」5/18号の読者は下記の通りです(日販 WIN+調べ)。

    雑誌のほとんどは60代が読者層のピークで、80代まで読者が広がっている雑誌も珍しくありません。一方で、30代を境に購入者は激減。この層に雑誌を読む習慣を根付かせることは出版業界にとっての大きな課題です。

    さて、ここからは、週刊誌読者が併読している商品から注目作品を紹介していきたいと思います。芸能から事件、経済までさまざまなことに敏感な読者の皆さんは、数々の新作を手に取っていらっしゃいました。

    ケモノの城
    著者:誉田哲也
    発売日:2017年05月
    発行所:双葉社
    価格:820円(税込)
    ISBNコード:9784575519952

    どこまでがフィクションなのか……これを超える現実があったことを知れば知るほど、読者が受ける衝撃は大きくなるはず。北九州監禁殺人事件を彷彿させる事件を背景に、フィクションだからこそ書けた「現実」が見えてきます。怖いけれど、先が気になる問題作。

    京都の壁
    著者:養老孟司
    発売日:2017年05月
    発行所:PHP研究所
    価格:918円(税込)
    ISBNコード:9784569838229

    『バカの壁』に始まり、我々に数多くの“壁”を提示してくれている養老先生。最新作は京都がテーマです。

    こちらの作品の併読本ダントツトップは『京都ぎらい』でした。やっぱりそうかという感じですね。『京都ぎらい』『応仁の乱』『京都の壁』と、時代は違えど京都研究本がまだまだ人気です。

    三つの石で地球がわかる
    著者:藤岡換太郎
    発売日:2017年05月
    発行所:講談社
    価格:994円(税込)
    ISBNコード:9784065020159

    文系・理系問わず、地形や地面の成り立ちに興味が集まっています。「ブラタモリ」の影響もあるのでしょうが、気になる本の出版も相次いでいます。

    講談社ブルーバックスの5月の新刊で、手に取った人が多くいらっしゃるのがこちら。美しい石の写真が並んでいるわけでもなく、歴史や文化的な面から石を語るでもなく、たった3つの石だけを選んで解説したという一冊です。石初心者にもおすすめ。

    電機メーカーが消える日
    著者:大西康之
    発売日:2017年05月
    発行所:講談社
    価格:864円(税込)
    ISBNコード:9784062884266

    直近では『ロケット・ササキ』が話題になった著者の大西さんが、大手電機メーカーを分析し、今後を考えた一冊。電機業界の歴史を知るのにも役立つため、業界OBから就職を検討している学生にまで、幅広く手に取られています。

    江戸春画絵巻
    発売日:2017年05月
    発行所:ブレインハウス
    価格:1,404円(税込)
    ISBNコード:9784865454659

    一部の週刊誌読者の併読本には、官能小説なども目立ちます。そういった艶っぽいタイトルに混じって目をひいたのがこの春画本。春画掲載の是非が話題になったのは2015年のことですが、春画には、やはり未だに根強い人気があるようです。


    週刊誌の低迷が続くと言われたままの昨今ですが、それでも週刊誌発のスクープは連発されており、メディアとしての存在感は一昔前よりも高まったかのような感覚も受けます。

    このスクープがまた、今年の流行語大賞にノミネートされるような話題になることを、一読者としても心待ちにしています。


    (「HONZ」で2017年5月31日に公開された記事に、一部編集を加えています)

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