• 合言葉は「たかが餃子」―頑張ることを潔くあきらめる、按田餃子の『たすかる料理』

    2018年06月25日
    くらす
    ほんのひきだし編集部
    Pocket

    「一汁三菜でなく、一汁一菜でじゅうぶん」。そんなコンセプトのレシピ本に、心が軽くなった経験のある方は多いのではないでしょうか。

    でも本当は一汁一菜ですらなくていいし、もっと言えば「作らない」という選択肢だってあるんじゃないだろうか?
    “お手本”から目をそらしたときに見えてくる、一番心地いい料理のあり方ってどんなだろう?

    代々木上原の飲食店「按田餃子」による『たすかる料理』が、今年1月の刊行以降じわじわと支持を拡大しています。

    この本のポイントは、紹介されているのが「思わずうなる絶品レシピ」ではなく「ふつうの味」だということ。ミシュランガイドのビブグルマンに2年連続で選ばれた“行列のできる名店”から、この本が生まれたのはなぜなのか? 編集を担当したリトルモアの當眞さんにご紹介いただきました。

     

    きっと真似したくなる しなやかで潔い「按田餃子」と「按田式自炊」

    東京の代々木上原にある「按田餃子」は、料理研究家の按田優子さんと写真家の鈴木陽介さんが出会い、はじめたお店です。看板メニューは、ハト麦を練りこんだもっちり皮の水餃子、煮豚ときくらげがたっぷりご飯にかかった、ラゲーライス。そんな他では味わえないメニューや居心地のよさが評判の人気店です。そもそも飲食店経営がはじめて、というふたりが、なぜ餃子屋を? そのゆかいな経緯はおおむねこの本に書かれています。……が、本の内容は、お店の話にとどまりません。本を作る過程で、按田さんから出てきたのは「上京してひとり暮しを始める息子に母が持たせる本にしたい」という想いでした。キーワードは「自炊」。ひとり暮しの方に限らず、生活の根っこのところにインプットしておくと重宝する「按田式自炊」の考え方が、この本で語られています。

    「ひとりでは食べきれないくらいの肉の塊を、ドサっと水から茹でたら放っておき、その過程でできあがっていくものを必要な分だけ切り崩して食べつないでいます。そのほうが性に合っているのです。(省略)豚を茹ではじめたけれど、やっぱり今夜は友だちと飲みに行こう、となった時にも、その豚は一度火が通っているので、そのまま常温で置いておいて大丈夫。私はそのやり方が楽なので、パターンにして繰り返すだけ。」(本書より)

    これまでに、パン製造の仕事をしたり、冷蔵庫をもたない暮しをしたり、南米のジャングルで料理をしたり、家族のために食事療法を実践したり、と食にまつわる経験を重ねてきた按田さん。食事は大切だけど、台所にしばられて料理をする必要はない、という言葉が、私たちの気持ちをすっと楽にしてくれます。その時々で食べたいものを食べてOK、臨機応変な生活のあり方は、しなやかで潔く、きっと真似してみたくなります。按田餃子と、按田式自炊を味方につけて「たすかって」もらえたらうれしいです。

    (文:リトルモア編集部 當眞 文)

    たすかる料理
    著者:按田優子 鈴木陽介
    発売日:2018年01月
    発行所:リトル・モア
    価格:1,728円(税込)
    ISBNコード:9784898154724




    タグ
    Pocket

  • GoogleAd:SP記事下




  • GoogleAd:007



  • ページの先頭に戻る