• 「ここまで母親が責められる国はほかにない」西原理恵子さんに“サイバラ流育児論”を聞く!「卒母」宣言の背景とは?

    2018年02月18日
    くらす
    ほんのひきだし編集部
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    足かけ16年の連載を経て、2017年6月にフィナーレを迎えた漫画『毎日かあさん』。同作は著者・西原理恵子さん自らの子育て体験をユーモアたっぷりに描き、多くのママたちから支持を集めました。

    そんな『毎日かあさん』の最終14巻に収録されているのは、「卒母編」。今回は「卒母」という言葉と、その根底にある“西原流育児論”について語っていただきました。

    毎日かあさん 14
    著者:西原理恵子
    発売日:2017年09月
    発行所:毎日新聞出版
    価格:980円(税込)
    ISBNコード:9784620770949

     

    「子育て神聖論」がはびこっていた

    ――2002年10月から『毎日新聞』で連載していた「毎日かあさん」が2017年6月に終了し、単行本は第14巻の「卒母編」で完結しました。娘さんが16歳になり反抗期が始まったことで、西原さんが「卒母」を宣言された経緯からお聞かせください。

    娘は16歳で舞台を始めたり、自分の道を歩み始めました。朝は自分で起きて学校に行き、塾にも通っている。精神的にも自立しているので、あとは本人に任せるしかないと感じました。現在大学生の息子が、突然アメリカに留学すると言い出したのも、16歳のときでした。わが家の場合は、16歳が自立する節目なのかもしれないな、と。

    ――子どもに対して親がどれだけ介入するか、放任するかは難しいところです。

    ある友人から「子どもに手を貸さないのは難しいことでしょう」といわれたことがあります。家庭によって置かれた環境が違うので、一概にはいえませんよね。たとえば学校でいじめられていたり、不登校だったりという場合は、親が支えになる必要がある。成人しても、ブラック企業に呑み込まれて抜け出せなかったら、親が助けなければならない場合もあるでしょう。

    ただ私の子どもは2人とも生意気で(笑)、ある意味強いんです。友人もいるみたいだし、単独行動もできる。「自立したい」といっている子に親が干渉しても、反発を生むだけ。夫婦でも恋人でも、一緒に居すぎるとだいたい喧嘩になってしまうでしょ? 不毛な言い合いをしていても、お互い気分が悪いだけ。親子関係も同じで、適切な距離感がいるなと思っています。

    ――連載開始当初は、西原さんの仕事と子育ての両立に対する風当たりが厳しかったようですね。

    10年以上前の日本には、ある種の「子育て神聖論」がはびこっていました。家事や育児で「そこまで必要?」といいたくなることを求めるんです。食材はオーガニックでないと、水は〇〇のもの、加湿器はこのメーカーで、とか……。ご飯もちゃんと手作りしないと怒られるでしょ。「子どもがかわいそうだ」とかいって。

    仕事をしているお母さんは、家に帰ったらくたくたです。専業主婦だって、小さな子どもを見ながら家事を完璧にするのは大変ですよ。いまのご時世、お店に行けばおいしい冷凍食品やお惣菜が簡単に手に入ります。余計な労力を使う必要はない。それでも少し手を抜くと、「育児を放棄している」といわれる風潮がありました。ここまで母親が責められる国はほかにないと思いますよ。

    ――約16年間の連載を経て、世間の子育てへの考え方は変わったと感じますか?

    だいぶ変わってきましたね。出産でいうと、私がTwitterで無痛分娩の必要性を訴えたことに対して、大きな反響があったのは、嬉しかったです。かつては、自然分娩がいちばんで母親にはそれに耐えうる力がある、という言説が広がっていました。そんなものは根性論でしかない。無痛分娩に文句がある人には、「麻酔なしで開腹手術をしてみろ」といってやりたいですね(笑)。

    ――仕事をする母親への理解は深まってきたとはいえ、育児と両立した完璧な母親像を求める風潮はいまだにありますね。

    日本は子育てに対する神聖論・根性論が根強いので、気を病んでしまうお母さんがたくさんいます。学校のPTAはその典型です。PTAの活動に時間を取られることに不満を抱くママ友の声をよく聞きます。「子どものため」にやらざるをえないものの、そのほとんどが子どものためになっていない。保護者同士で役職を押し付け合うことに時間を使うくらいなら、どんなブラック校則よりも先に、PTAをなくすべき。

    ※本記事は、PHP研究所発行の雑誌「Voice」2018年3月号(2月10日(土)発売)に掲載されたインタビュー「著者に聞く 西原理恵子氏の『毎日かあさん14 卒母編』」を一部抜粋したものです。全文は同誌3月号をご覧ください。

    Voice (ボイス) 2018年 03月号
    著者:
    発売日:2018年02月10日
    発行所:PHP研究所
    価格:780円(税込)
    JANコード:4910080590383

    西原理恵子さん 画像西原理恵子
    1964年、高知県生まれ。武蔵野美術大学卒業。1997年、『ぼくんち』で文藝春秋漫画賞を受賞。2004年、『毎日かあさん カニ母編』で文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、2005年、『上京ものがたり』『毎日かあさん』で手塚治虫文化賞短編賞、2011年、『毎日かあさん』で日本漫画家協会賞参議院議長賞を受賞。著書に『ゆんぼくん』『鳥頭紀行』『できるかな』『女の子ものがたり』『いけちゃんとぼく』『パーマネント野ばら』『この世でいちばん大事な「カネ」の話』『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』など多数。




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