• いま「教養」が必要な理由。科学者×随筆の新しい形「STANDARD BOOKS」

    2016年02月12日
    知る・学ぶ
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    平凡社から刊行されている「STANDARD BOOKS」というシリーズをご存知でしょうか? 書店員さんも注目しているシリーズで、ほんのひきだしが取材に伺った荻窪の書店「Title」でも平積みされていました。
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    「STANDARD BOOKS」とは?

    「STANDARD BOOKS」は、科学と文学の双方を横断する知性を持った科学者・作家の随筆集です。2015年12月に『寺田寅彦 科学者とあたま』『野尻抱影 星は周る』『岡潔 数学を志す人に』の3冊が刊行され、今年2月12日には最新刊『中谷宇吉郎 雪を作る話』が発売されました。今後は隔月で刊行される予定だそうです。

    中谷宇吉郎
    著者:中谷宇吉郎
    発売日:2016年02月
    発行所:平凡社
    価格:1,512円(税込)
    ISBNコード:9784582531541

    そんな「STANDARD BOOKS」を担当した編集者・岸本洋和さんに、気になっていた質問をいろいろとぶつけてみました。
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    ―随筆はさまざまな方が書いていらっしゃると思うのですが、なぜ今「科学者×随筆」というシリーズを創刊なさったんですか?

    岸本:かつては科学者が自分の専門を活かしつつ、専門ではない世界も面白おかしく書くというか、科学の目線を利用して書いた随筆が多くあったんです。それを今の読者にも読んでいただきたいと思ったのが、今回「STANDARD BOOKS」を創刊した理由の一つです。やはり科学者だけあって、論理が明確なんですよね。随筆なので時代性はややありますが、なるべく今に通じるような内容を選ぶようにしました。

    岸本:また漫画家の高野文子さんが科学者を取り上げた『ドミトリーともきんす』が話題になるなど、科学者の随筆に世間の関心が集まってきたことも大きいです。

    ドミトリーともきんす
    著者:高野文子
    発売日:2014年09月
    発行所:中央公論新社
    価格:1,296円(税込)
    ISBNコード:9784120046575

    不思議な学生寮「ともきんす」に暮らす“科学する人たち”、朝永振一郎、牧野富太郎、中谷宇吉郎、湯川秀樹…。彼らが遺した文章を、ひと組の母娘が読み解いていく物語。待望のコミックス。

    ―「刊行に際して」でも触れられていましたが、今「教養」が必要だということについては共感しています。「ほんのひきだし」が始まったときに新入社員が読んでいる本を調べてみたら、ハウツー本よりも『哲学用語図鑑』のほうが売れていて、本質的な「知」の必要性への関心が高まっているのを感じたんです。

    「今の世の中に足りないもの、それは現代に渦巻く膨大な情報のただなかにあっても、確固とした基準となる上質な知ではないでしょうか。自分の頭で考えるための指標、すなわち「知のスタンダード」となる文章を提案する。そんな意味を込めて、このシリーズを「STANDARD BOOKS」と名づけました。」(「刊行に際して」より)

    岸本:教養は次の一歩を踏み出す指針になりますよね。今の世の中の「なんでもあり」という状態は、逆に暗闇にいるようなものだと思うんです。教養や知を身につけていくことは懐中電灯を持つのと同じで、私たちが進む道を照らしてくれます。今回の「STANDARD BOOKS」シリーズで、読者の道を照らすという役割が少しでも果たせるといいなと思っています。

    ―「知」という表現をされていますが、岸本さんご自身は「知識」と「知恵」の違いをどのように捉えていらっしゃいますか?

    岸本:知識は「モノ」ですよね。それを活かすのが「知恵」だと思っています。「おばあさんの知恵袋」という言葉がありますが、おばあさんには必ずしも世界史や数学といった知識があるわけではありません。知恵袋はおばあさんの人生経験を活かしたものです。したがったこのシリーズで言っている「知」は、知識ではなく「知恵」ですね。

    ―このシリーズは、どんな方々に特に読んでもらいたいですか?

    岸本:「名前は知っているけれど本は読んだことがない」という方に読んでいただけると嬉しいですね。そんな方たちにも興味を持っていただけるよう、装丁も工夫しています。「持っておきたい」と思ってもらえたらいいなと思って、デザイナーと相談を重ねました。

    tkr_text014―私もまさに「持っておきたい」と思った1人だったんですが、思いのほか読みやすいことに驚きました。あと、プロフィールページが変わっていますよね。

    研究以外のことには無頓着。(中略)外出時も髪はボサボサ、服はヨレヨレ、革靴は「直接前頭葉に響いて脳によくない」と晴雨にかかわらずゴムの長靴を愛用する独特のスタイルを貫いた。

    (『岡潔』より引用)

    岸本:プロフィールから、なんとなく人となりが分かるようにしたんですよ。面白がっていただけてよかったです。彼らの文章は、無意識にわれわれが考えていること、気づいていなかったことを言葉にしてくれるところがあります。よく分かっていなかったことを分かるように見せてくれている気がするんですよね。

    ―最後に、最新刊『中谷宇吉郎 雪を作る話』のおすすめポイントを教えてください!

    岸本:中谷宇吉郎は雪の研究をしていた物理学者で、「雪は天から送られた手紙である」という名言を残しています。それだけでなく日常で経験するできごとを分かりやすく科学的に解説して、科学的なものの見方の大切さを伝えてくれているんです。たとえば今回の本にも収録した「立春の卵」という作品では、「立春の日にだけ卵が立つ」というニュースが本当かを自ら卵を立てて検証しています。実際に立春の日にだけ卵が立つのかは……、ぜひ本を読んでみてください(笑)。


    「科学者の随筆」と聞くと堅苦しくて読むのが大変そうに思えますが、実際は論理がしっかりしているおかげか、意外と読みやすかったです。かなり昔に書かれている作品も多いのですが、「今も昔もあまり変わらないことを言っているんだな」と驚いたり、科学者の目から見える世界は少しだけ変わっていて日常がちょっと楽しくなったり。「STANDARD BOOKS」はそんなシリーズです。ぜひ直感で1冊選んで、読んでみてください!

    寺田寅彦
    著者:寺田寅彦
    発売日:2015年12月
    発行所:平凡社
    価格:1,512円(税込)
    ISBNコード:9784582531510
    野尻抱影
    著者:野尻抱影
    発売日:2015年12月
    発行所:平凡社
    価格:1,512円(税込)
    ISBNコード:9784582531527
    岡潔
    著者:岡潔
    発売日:2015年12月
    発行所:平凡社
    価格:1,512円(税込)
    ISBNコード:9784582531534
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