• “ご褒美”でやる気がなくなる!?ヘンテコな心理の謎がわかる『行動経済学まんが ヘンテコノミクス』

    2018年04月20日
    知る・学ぶ
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    今年1月、ある読者がこちらの漫画をTwitterで紹介し、3万件以上RTされるほどの大反響を呼びました。

    エピソードのタイトルは「塀のらくがき」。漫画には「子どものいたずら描きに悩むおじいさん」と、いたずら描きの犯人である子どもたちが登場します。

    おじいさんがどんなに注意しても、いたずら描きをやめない子どもたち。しかし青年にアドバイスをもらったおじいさんの“ある行動”によって、面白がってしていたはずのいたずら描きが、いつのまにか子どもたちにとってまったく違うものに変わってしまいます……。

    この漫画は『行動経済学まんが ヘンテコノミクス』に収録されているエピソード。

    誰しもが経験のある“行動の不思議”をわかりやすく漫画で紹介し、行動経済学を〈なんだか難しそうなもの〉から〈身近なもの〉にぐっと近づけてくれる一冊です。

    今回は本書が生まれたきっかけや執筆の舞台裏、「そもそも行動経済学って何?」という素朴な疑問まで、編集を担当したマガジンハウス書籍編集部の瀬谷さんにお話を伺いました。

    行動経済学まんがヘンテコノミクス
    著者:佐藤雅彦 菅俊一 高橋秀明
    発売日:2017年11月
    発行所:マガジンハウス
    価格:1,620円(税込)
    ISBNコード:9784838729722

     

    今回取材にご協力いただいた方

    マガジンハウス 書籍編集部 瀬谷由美子さん

     

    「行動経済学」って何?

    ――「行動経済学」というと何だか難しそうなのですが、具体的にはどんなことを扱う学問なんですか?

    直球ですね。それを端的に言うために、本づくりの最後に、著者チームと説明文を整えたのを思い出しました。たぶん、私がこういう場でちゃんと説明できるようにという配慮かもしれません(笑)。

    ただ、最初の頃に、佐藤雅彦さんから短い文章を預かっていたんです。それが、本文の1ページ目に配置された「人は、なぜそれを買うのか? 安いから、質がいいから。そんな真っ当な理由だけで、人は行動しない。そこには、より人間的で深い原理が横たわっている」というもので、このあと2行ほど続くのですが、まさにこの学問の肝だと思いました。

    今までの経済学が合理的な経済行動を前提にしている一方で、行動経済学が示したのは、非合理でヘンテコな人の経済行動。そこに一つひとつ「◯◯効果」などという名称がついているなんて、ご存じだったでしょうか?

    ――「極端回避性※1」や「プラセボ効果※2」など、専門的な呼称は知らなくても経験のある心理現象がたくさん紹介されていました。「なるほど、そうだったのか!」というスッキリ感が心地よかったです。

    どの話も日常でよく起こっていることですよね。読者の方からもたくさん感想が寄せられているんですが、経済を身近なものとして感じてくださっているようで、とても嬉しいです。小学生から「頭が良くなった気がする」というコメントをいただいたり、年配の方から「明日からの生活が変わると思います」と言っていただけたりして。

    ※1「極端回避性」…極端なものを避けて真ん中を選ぶという性質。松竹梅の法則とも呼ばれる。

    ※2「プラセボ効果」…有効成分が含まれていない“薬”を服用しても、患者の思い込みによって症状が改善する場合があるという現象。プラシーボ効果、偽薬効果ともいう。服用の必要がないにもかかわらず「薬を飲まないと不安だ」という高齢者に対して、体に負担をかけずに不安を取り除くという医療介護目的にも応用されている。

     

    佐藤雅彦ら著名クリエイターが制作! 連載のきっかけは「行動経済学」の面白さにハマったこと

    ――『行動経済学まんが ヘンテコノミクス』は、雑誌「BRUTUS」で1年間連載されていましたね。連載のきっかけを教えていただけますか?

    あとがきにもくわしく書かれていますが、「BRUTUS」の編集者と縁があり、持ち込んでいただいたのがきっかけです。その時すでに漫画の形になっていて、編集長が「すぐに連載を始めたい」と即決、スタートした企画です。

    本書の原作者は東京芸術大学大学院映像研究科教授の佐藤雅彦さんと、多摩美術大学美術学部統合デザイン学科で専任講師を務めている映像作家の菅俊一さんですが、2人がいち早く行動経済学の面白さに気づいて、「BRUTUS」に声がかかるまでに、その表現方法をかなり研究されていたようです。

    佐藤さんは「ピタゴラスイッチ」の企画・監修や、「だんご3兄弟」のプロデュースでも知られています。菅さんは学生時代、慶應大学の佐藤雅彦研究室にいて、その後、佐藤さんと『差分』という面白い本を出されていますが、この2人が夢中になるテーマだった、というところですでに興味が湧いてきませんか?

    差分
    著者:佐藤雅彦 菅俊一 石川将也 ジェレミー・ハーレイ
    発売日:2008年12月
    発行所:美術出版社
    価格:2,808円(税込)
    ISBNコード:9784568503654

    ――漫画は、クリエイティブ・ディレクターの高橋秀明さんが担当されています。佐藤雅彦さんの熱烈なオファーで決定したそうですが、高橋さんは漫画家の方ではないですよね?

    そうですね。高橋さんは広告のお仕事をされていて、佐藤さんとは、NEC「バザールでござーる」からの縁のようです。

    漫画は本当に初めてだったそうで、そのために漫画専用のペンを買われたとか。登場するキャラクターがユニークで、動物の絵もとってもかわいいので気に入っています。




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