• 夢眠書店開店日記 第16話:ねむちゃん、本の装幀に挑戦!⑤

    2018年02月24日
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    夢眠書店開店日記 第16話「ねむちゃん、本の装幀に挑戦!」では、「装幀ってどんな仕事?」を自ら体験すべく、ねむちゃんが自著『本の本―夢眠書店、はじめます―』の装幀に挑戦しています。

    今回は画面上で組んでいたデザインを紙に出力して、手に取ったときの印象や、“本”としてのたたずまいを確認してみます。あわせて「装幀という仕事そのもの」について、今回ご協力いただいた黒田部長と二宮さんにお話を伺いました。

    〉これまでのお話を見る

    本の本
    著者:夢眠ねむ
    発売日:2017年11月
    発行所:新潮社
    価格:1,620円(税込)
    ISBNコード:9784103513810

     

    今回の対談相手

    (写真左)新潮社 装幀部 二宮由希子
    1964年生まれ。芸術新潮編集部を経て装幀部へ。イラストレーションやデザインが好きで、会社勤めのかたわらセツ・モードセミナーやパレットクラブスクール、鳥海修氏の文字塾に学んだ。

    (写真右)新潮社 装幀部部長 黒田貴
    1964年生まれ。多摩美術大学デザイン学科卒業(ねむちゃんの先輩!)。東京書籍を経て、1995年より新潮社装幀部に勤務。

    〈こちらの方にもご協力いただきました〉
    新潮社 新潮文庫編集部 小川寛太
    1987年生まれ。営業部を経て、文庫編集部へ。『本の本―夢眠書店、はじめます―』の編集を担当した。

     

    モニターの画面と紙とで印象が全然違う!

    夢眠:パソコンのモニターで見るのと、印刷して手に持って見たのでも、また印象が変わりましたね。ちょっとスミ(黒色)が重たく感じるかも……。黒色を薄くするというよりは、ザラザラ度を上げて軽い印象にしたいです。

    二宮:では色をもう少し調整しましょう。ザラザラ度をもうちょっと上げて、出力してみます。……どうですか?

    夢眠:おお! めっちゃいい!! いいですね~! ハンコの感じもすごくリアルに出てる!

    小川:帯を巻いた時は、こんな感じになりますね。どうですか?

    夢眠:あらためて見てみると、帯の写真、表紙側と背表紙側を逆にしたほうがいい気がします。

    小川:なるほど……。

    夢眠:色味もそうだし、小川さんが書いてくださった「この一冊が、あなたの手に届くまで。」っていうコピーと、書店で本を選んでいる姿が一緒にあるとすごくしっくりきませんか?

    小川:確かに! いいかもしれないです。

    ――ドキュメンタリー感があっていいですね。

    夢眠:それで背表紙側は、本棚から私がひょっこり顔を出してると。

    黒田:じゃあ帯の写真を逆にして、出力したものを巻いてみましょう。

    小川:うん、いいですね! そうしましょう。

    二宮:いい装幀ができましたね。

    夢眠:やったあ! 完成です!!

     

    本の内容に合わせた装幀もあれば、あえて離す装幀もある

    夢眠:私、よく本をジャケ買い・装幀買いするんですけど、装幀って本当に大切ですよね。中身に興味があっても、装幀がダサかったら手がのびないというか……。その本を手に取ってもらえるかどうかが、装幀のセンスにかかってるなといつも思うんです。

    二宮:そうですね。手に取ってもらうために、いろんな工夫をしています。

    夢眠:本を選ぶときの判断材料として、装幀から感じた作家さんの作風、作品のテイストというのが結構大きいなと。なんというか、手に取ってみて「私に合いそう」「これは合わないかも……」っていうのを感じるんですよね。

    二宮:そうですよね。装幀もある意味“広告”なので、本の内容に寄せることもあれば、あえて離すこともあります。書店にものすごくたくさんの本がある中で、とにかく一人でも多く立ち止まってもらうにはどうすればいいかというのを考えます。

    夢眠:ちなみに「1冊の本をつくる」ということについては、まず作家さんがいて、コンセプトや具体的な内容といった“ソフト面”は編集さん、ものとしてのつくりをどうするかという“ハード面”は装幀さんというイメージがあるんですけど、どんな役割分担になってるんでしょうか?

    二宮:中心としては、その3者が1つのチームです。もちろん校閲や営業、宣伝も関わりますが。

    夢眠:今回は、議論のベースになる提案をまずいただいて、話し合ったり実際に作ってみたりしながらデザインを決めていきましたよね。普段本を作る時には、どんな手順で決めていくんでしょうか?

    二宮:人によってそれぞれだと思いますが、私の場合はまず原稿を読みます。読み込んでイメージを膨らませて、それにぴったり合うイラストレーターさんを考えて、何を描いてもらうかを考えるんです。

    夢眠:誰に描いてもらうかは、装幀の人が考えるんですね。作家さんの希望だと思ってました。

    二宮:そういうケースもありますが、そうじゃないことのほうが多いですね。いずれにしても、考えたうえでいくつか方向性を考えて、編集者にプレゼンして、それからイラストレーターさんに依頼します。

     

    同時に装幀を担当する本は、なんと約20冊!

    夢眠:1冊の本に、装幀担当は1人ですよね? 同時に何冊くらい担当するんですか?

    二宮:1冊につき1人ですね。だいたいひと月に4冊くらいかなあ……。部長の黒田もそうですが、多い人は7冊くらいの時もありますよ。

    黒田:それがだいたい4か月単位で同時に動くので、常に20冊くらい抱えてる感じですね。

    夢眠:ぎょえ~! 部長なのにめっちゃ働いてるじゃないですか(笑)。

    夢眠:でも、単行本が出る時は大変ですけど、逆に文庫化される時はもうデザインが決まってるから楽ですよね。

    二宮:いや、それがそうでもないんですよ。実は、単行本のデザインをそのまま踏襲するということはめったにないんです。単行本と文庫で読者層が違ったりするので、まったく新しいデザインにすることが多いです。

    夢眠:そうなんだ……。楽できると思ったのに。

    二宮:デザインを踏襲する場合でも、サイズが変わると見え方が異なるので、それにあわせて調整が必要です。

    夢眠:そうか! 確かに『本の本』も、そのまま文庫本サイズにしたら全然違う雰囲気になっちゃいますね。手抜きはできないんだ……。

    夢眠:帯も装幀部で考えるんですか?

    二宮:キャッチコピーは編集者が考えますが、帯は装幀部が作ります。販売促進の面からも帯は非常に重要なので、何パターンか作って会議で決めるんです。

    夢眠:今回もそうですけど、帯とカバーの組み合わせって大事ですよね。

    二宮:文芸の場合は普通、先に本体のデザインを考えて、帯は最後に決めるんですよ。今回の場合は帯に写真も入るので、カバーと一緒に考えました。


    ついに『本の本―夢眠書店、はじめます―』のデザインが決定! 紙に出力してみるまで、実は帯の写真は表と裏が逆だったんですよ。

    題字や印影のかすれ具合、カバーのほどよいザラザラ感、手に持った時の重みなど、装幀ではいろんなことを考えました。装幀は、それがどんな本であるか、どんな人の目に留まりたいかを伝える役割を担う大切なもの。「本を作る人」というと作家さんや編集者さんが浮かぶかもしれませんが、一冊の本を作るのには、もっと多くの人の思い・考えが詰まっているんですね。

    次回で第16話はおしまいです。更新をお楽しみに!




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