• 高齢者に席を譲る理由が「いいことすると気持ちいいから」ってどうなの?―北野武『新しい道徳』文庫版が発売

    2018年01月28日
    知る・学ぶ
    日販 仕入部 小川
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    2015年に刊行された北野武さんの『新しい道徳』が文庫化され、1月24日(水)に発売されました。

    タイトルにもあるように、本書のテーマは「道徳」。お笑い芸人や映画監督として芸能界の第一線を走り続けてきた北野さんは、道徳についてどのように考えているのでしょうか?

    新しい道徳
    著者:北野武
    発売日:2018年01月
    発行所:幻冬舎
    価格:497円(税込)
    ISBNコード:9784344426931

     

    いつでも・誰にでも通用する「絶対的な道徳」なんてない!

    『新しい道徳』のサブタイトルは、「『いいことをすると気持ちがいい』のはなぜか」。とはいえ、本書は「いいことをすると気持ちがいい」から「積極的にいいことをしなさい」と説いているわけではありません。

    むしろ『新しい道徳』の根底にあるのは、「いつの時代も、どんな人間にとっても通用する絶対的な道徳はない」という考え。道徳は「時代や社会に左右される相対的なもの」だとして、ある種の行動規範を“絶対的な善”とするような道徳教育に辛口なツッコミを入れています。

    なんの議論もなしに、「これが道徳です」と、数学の真理と同じ調子で、子どもたちに教えるのは間違いなのだ。それはひとつの価値観、あるいは思想を、子どもたちの脳みそに刷り込むということだ。

    (本書p.16より引用)

    一般に、電車やバスではお年寄りに席を譲ることが奨励されています。しかし、その理由を「いいことをすると気持ちがいいから」と教えるような教育には、下記のように反論しています。

    席を譲るのは、気持ちがいいという対価を受け取るためなのか。
    だとしたら、席を譲って気持ち良くないなら、席なんか譲らなくていいという理屈になる。
    年寄りに席を譲るのは、人としてのマナーの問題だ。美意識の問題といってもいい。
    マナーにわざわざ小理屈をつけて、気持ちいいから譲りなさいなんていうのは、大人の欺瞞以外の何ものでもない。

    (本書p.24-25より引用)

    このように「価値観の押し付け」としての道徳教育を批判している『新しい道徳』。しかし、道徳そのものの価値を否定しているわけではありません。

    時代や共同体ごとに異なる道徳規範があり、それに従うことが人間関係を円滑にするコツであるとしています。

    向上心のある芸人は、自然にこの世界の掟を身につける。上に行こうとする奴は、放っておいても道徳的になる。

    (本書p.153より引用)

    時代、社会、コミュニティ……。そして、それぞれに紐づいている多種多様な道徳。それらはすべて、当人らが自ら選び取っていくべきだというのが北野さんの主張です。

    日本における道徳が形成された社会的背景や、IT革命が人々に与えた影響についても考察されている『新しい道徳』。2018年度より小学校で道徳が教科化されることを目前に、道徳の意味を改めて考えさせてくれる一冊です。

    新しい道徳
    著者:北野武
    発売日:2018年01月
    発行所:幻冬舎
    価格:497円(税込)
    ISBNコード:9784344426931

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