夢眠書店開店日記 第2話:ついたくさん買っちゃう本屋さんの秘密③

2015年09月05日
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でんぱ組.incの夢眠ねむが、自らが店長を務める「夢眠書店」の開店を目指し、出版業界の「先生たち」を訪ねて本や書店について学ぶ連載「夢眠書店開店日記」。第1話では「本ってそもそも何なんだろう?」をテーマに、本の販売会社・日販を訪れました。

第2話は、ねむきゅんも馴染みの深い秋葉原の本屋さん「有隣堂ヨドバシAKIBA店」が舞台!行きたくなる本屋さん、買いたくなる本屋さんの秘密を探ります。

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今回の対談相手

nemu2001宮尾美貴子 有隣堂ヨドバシAKIBA店 店長

 PROFILE 
有隣堂横浜駅西口店を皮切りに、お店一筋20数年。「有言実行」をモットーに、お客様に愛され、店員も楽しく仕事ができる店作りに日夜励んでいる。得意技は高速カバー折り。

 

宮尾店長が書店員になった理由

夢眠ねむ(以下夢眠)「司書になりたい」とか「本に関わる仕事に就きたい」と思う人って、「本が好きだから」というのが最初の理由だと思っているんですけど、宮尾さんの当時の夢は何だったんですか?

宮尾店長(以下宮尾)最初は「出版社で働いてみたい」と思っていたんですよ。本を作る側になりたいなと。あっ、もっと小さい頃は、本を書く人になりたかったですね。

夢眠:作家さんに。

宮尾:「小説家になりたい」と思っていたんですが、年を追うごとに「才能が必要だ」ということが分かってきて。「それなら作る方はどうだろう」と思って出版社の採用試験を受けていたんですが、出版社って本当に狭き門なんですよ……。

夢眠:そうなんですね。私が関わる出版社の方って、割とのんきな方が多くて……(笑)。

宮尾:あはは(笑)。

夢眠:馬鹿にしているわけじゃないですよ。ほんわかしている方が多いから、バリバリ働いているイメージがなくて。

宮尾:皆さん実は優秀なんですよ。

夢眠:「能ある鷹は……」的な?余裕があるからのんきに見えるのかなぁ。……書いとこ。“実は優秀”と。(ノートにメモをとる)

夢眠:話を戻しますね。書店を就職先に選んだのはなぜですか?

宮尾:そうですねぇ。出版社を受けて、でもなかなか受からなくて、どうするか考えたら、いわゆる「普通のOLさん」ってちょっと考えられなかったんですよ。それで、「本を作れないんだったら、売る方になるのはどうだろう」って。それで書店の採用試験を受けるようになって、こちらに受かったので、お世話になっております。

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―有隣堂を選ばれたのは、子どもの頃から馴染みがあったからですか?

宮尾:馴染みは全然なかったんですよ。私は東京生まれの東京育ちなんですが、私が書店の採用試験を受けていた頃は、まだ東京には店舗がなかったので。ただ、神奈川県に住んでいる友人は皆「本屋といえば有隣堂」と話していたんですよね。

夢眠:なるほど。

宮尾:有隣堂って、もともと神奈川県の書店なんですよ。神奈川県内では相当なシェアを占めているので、横浜出身の人は皆「有隣堂」「有隣堂」って言っていましたね。

夢眠:私、普通に生活していたら本と一番関わる場所って書店だと思うんですよ。「本屋に行かないと本は買えない」という時代に生まれたので、もちろん本は作らないと売れないけれど、売れないと作れないとも思うんです。だから消費者にとっては、結局のところ書店が一番重要な位置にいるのではないかと。

宮尾:そうなんですよ。消費者と最初に接する場所は書店ですからね。

 

それじゃあ ねむ店長、「夢眠書店」どうします?

夢眠:夢眠書店は、本好きが唸るような、でも本を全然読まない人も気になるようなお店にしたいんです。

宮尾:「気になる」か……。それ、結構難しいですね(笑)。

夢眠:書店に来る人って、既に本好きだと思うんですよ。夢眠書店では、遠のいている人に戻ってきてもらったり、新たに「やっぱり本って面白いんだな」って思ってもらえたりできたらいいなと思っていて。夢眠書店で「行きたくなる仕掛け」をして、来てくれた人にはそれをきっかけに書店に行く人になってほしい。背中を押したいなあと。

宮尾:なるほど。例えば、さっきねむさんが興味を持っていたピザの本『Pizza L-Size』だと、本の形からして「これ、何が載ってるんだろう」って思いますよね。そして実際に開いてみたら本当にピザだっていう。そういう変わった本を紹介するのも、面白いと思いますよ。

Pizza LーSize
著者:カーラ・バルディ 渡辺裕子
発売日:2014年12月
発行所:CLASSIX MEDIA
価格:3,024円(税込)
ISBNコード:9784198638689

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夢眠:あの本、面白かったですよね。私、「文字は怖くないよ」って伝えたいなあと思っているんです。そういうのって結構重要な気がしていて……。私が着ている服を「着てみようかな」と思うような感覚で、文字も読んでもらえたらなと。例えば、最近縁あって谷崎潤一郎の小説を読んでいるんですが、最初はもう少し読みやすい本から紹介した方がいいのかなと。

宮尾:あとは、ねむさんが「この本はこういう風に面白い」って書くときに、「最初の30ページは我慢してください」と書くとか。他店舗のスタッフの話なんですが、下巻は面白いけれど上巻はちょっとまったりしている感じの本があったらしくて、「我慢して上巻を読んでください!下巻はすごく面白いです」ってPOPに書いたことがあったんですよね。

夢眠:作家さんからすれば「ぴー!」って感じだけど、お客さんは「それなら上下巻一緒に買おう」って思うでしょうね。上巻だけ先に買っちゃって下巻が面白いことを知らずに「下巻はいいや」って離れちゃったらもったいない。

宮尾:そうですよね。だから、そういう取り組みもひとつ方法としてあるかもしれませんね。

夢眠:宮尾さん、夢眠書店にはどんな本を並べたらいいと思いますか?店長は私ですが、もし宮尾さんが名誉店長だったら。

宮尾:名誉店長(笑)。

夢眠:勝手に役職つくっちゃいました(笑)。

宮尾:そうですねえ……。やっぱり、まずはねむさんのファンが来店されると思うので、ファンの方に読んでもらいたい本でいいんじゃないでしょうか。「ねむちゃんが紹介していたから読んでみよう」と買って読んで、その1冊をきっかけに「漫画ばっかり読んでいたけど、こういう小説も結構面白いんだね」と思ってもらう。そういう、本を読むきっかけになりそうな、難しくないけれど今まであんまり読まれていない本がよさそうですね。

夢眠:なるほど。

宮尾:あとは、『夢眠軒の料理』ならたいてい皆さん持っていらっしゃると思うので、ねむさんがお料理の参考にしているレシピ集もいいでしょうね。それと、ねむさんってエッセイもお好きじゃないですか、料理関係の。そのエッセイについて「私はここのこういう考え方にすごく共鳴しています」と発信すると、「ねむちゃんが関心のある◯◯さんってどんな人なんだろう?」と興味を持ってもらえるかなと思います。肝心なのは「どうやって興味を持ってもらうか」ですね。

夢眠:それを聞いて頭に浮かんだのは、東海林さだおさんの「丸かじりシリーズ」ですね。私、擬音語をよく使うんですけれど、東海林さんの使う擬音語って一見おいしさにつながるわけじゃないのに、食感がしっかり頭に浮かぶんですよ。

アンパンの丸かじり
著者:東海林さだお
発売日:2015年04月
発行所:文藝春秋
価格:572円(税込)
ISBNコード:9784167903466

宮尾:そういうことをPOPにするといいですよね。本に登場している擬音語をいくつか出して、「“ポリポリ”ってたくあんを食べている音に聞こえませんか」と書くとか。そういう感じで書けば、読む人も「あぁ、そういうことか」って思うんじゃないでしょうか。

夢眠:おー、すごい!そういうことなんだ!

―ねむちゃんに書いてみてもらいたいPOPは何かありますか?

宮尾:『哲学用語図鑑』とかどうでしょうか?そういう方が面白いかなと思ったんですよ。小説がいいかなとも思ったんですが、結構ベタじゃないですか。

夢眠:好きですよ、哲学。夢占いなんか見ていても、最終的に哲学の話になったりするんですよね。以前、仲のいいカメラマンさんと喋っているときに、私が覚醒モードで喋っていたみたいで、「意思疎通するために『哲学用語事典』買ってくるわ」って言われたことがあって(笑)。

宮尾:難しい哲学を図解してくれているのが『哲学用語図鑑』。ああいう感じの本が、ちょっと変わっていて面白いかなと。

夢眠:それ、いいですね。

哲学用語図鑑
著者:田中正人 斎藤哲也
発売日:2015年03月
発行所:プレジデント社
価格:1,944円(税込)
ISBNコード:9784833421195

▼今回もねむさんに直筆POPを書いてもらいました!

哲学用語図鑑2

 

―夢眠書店は特殊な書店だと思うんですが、チャレンジしてほしいことはありますか?

夢眠:このお店は結構イベントを開催されていると思うんですけれど、「やりたいけど、うちじゃ無理かも」っていうアイデアを盗ませてください(笑)。単刀直入に。

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